督促状が届いても「放置違反金」を払わないと差し押さえに!? 無視を続けるとどうなるか解説
配信日: 2023.08.22
「ほんの少しの時間、車を駐車していただけなのに」と、納得いかない人もいるでしょう。しかし、納得がいかないからといって放置違反金を納付せず、督促状がきても納付を渋っていると、大変なことになるかもしれません。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ズバリ! 違反金の滞納を続けるとどうなる?
ズバリ結論からいうと、駐車違反金の滞納を続けると、以下などの処分が行われます。
・滞納処分・・・財産の差し押えや換価などにより強制的に放置違反金を徴収される。
・車検拒否・・・車検時に放置違反金を納付したこと、または徴収されたことを証する書面を提示しなければ、自動車検査証の返付を受けることができない。
警察庁交通局によると、令和3年中の放置車両確認標章(黄色いステッカー)の貼付件数は、91万2603件にのぼるとのこと。この件数のうち、督促を受けても放置違反金を納付しなかった人に対して行われた滞納処分件数はなんと1万32件(徴収件数)にもなり、車検拒否件数は1万126件になるそうです。
また、放置違反金納付命令を繰り返し受ける悪質的・常習的な違反者に対しては、車両自体の使用制限命令が実施されます。令和3年には1683件もの車両使用制限命令が発せられているのです。
放置駐車違反に対する責任追及
放置車両確認標章を車に貼られた場合、どのような流れで責任が追及されるのでしょうか?
運転手責任の追及の流れ
(1)放置車両確認標章を貼られた車の運転手が標章記載の警察署に出頭すると、警察官から交通反則告知書(青切符)と(交通反則金)納付書が渡され、通告を受けます。
ここでいう通告とは「反則金を国庫に納付しなさい」という行政処分のことで、反則金を納付すれば刑事事件として刑罰が科されなくなります。
(2)-1 通告を受けて納付書で反則金を納付した場合、行政処分として3点から2点の違反点が加算され、それで運転手の責任追及は終わりになります。
(2)-2 通告を拒否した場合、つまり交通反則告知書(青切符)の受領を拒否した場合は、道路交通法違反事件として、成人であれば検察庁に送致され、少年であれば家庭裁判所に送致されることになります。
それでは反則金は誰が払うのか、ということになりますが、運転手が放置駐車違反の責任を果たさない場合、「使用者責任」を追及することになります。
使用者責任の追及
(1)通常、警察官や駐車監視員は、放置車両確認標章を車に貼った時点では誰が放置車両違反をしたのか分かりません。ですから、放置車両確認標章を車に貼付したにもかかわらず、当該車両の運転手が警察署に出頭しなかった場合、車両のナンバーから車の使用者(車検証記載の使用者)を割り出して、仮納付書と弁明通知書を送ることになります。
仮納付書と弁明通知書が送られてくるのは、早くて1週間、遅いケースだと1ヶ月ほどかかります。
(2)-1 弁明することなく、送られてきた放置違反金仮納付書で違反金を納めれば、行政処分としての点数は加算されることなく、この放置車両違反に関して責任の追及は終わりになります。
(2)-2 一方、車両の使用者には弁明の機会が与えられています。弁明書を提出する場合には、「どうしてもそこに駐車せざるを得なかった理由」や「実際に違反したのは自分ではないこと」などを記載・作成し、該当する公安委員会宛に提出することになります。なお、この弁明書に決まった書式や様式はありません。
しかし、弁明書を提出したからといって、必ずしも違反の責任を免れるということはありません。なぜならば弁明が認められるのは、以下のように条件が厳しいため、なかなか弁明は認められないようです。
・事実誤認などにより違反が成立していない場合
・当該違反日において、放置車両の使用者でなかった場合
・当該車両に係る違法駐車行為が天災などの不可抗力に起因するなど、当該車両に係る違反を当該車両の使用者の責に帰すことが著しく相当性を欠くことが明らかである場合
弁明書を提出し、弁明が認められれば、この放置駐車違反に関する責任追及は終わりになります。弁明が認められなかった場合、追って放置違反金納付命令書が送られてくることになります。
(3)送られてきた放置違反金納付命令書で違反金を納めれば、行政処分としての点数は加算されることなく、この放置車両違反に関して責任の追及は終わりです。
放置違反金納付命令書を無視し続けた場合
問題は、この送られてきた放置違反金納付命令書を無視し続けた場合です。近年、各都道府県警察は「逃げ得は許さない」と、放置違反金を滞納している人に対して、最終手段として財産の差し押えや換価などにより強制的に放置違反金を徴収しています。
ただし法令に定められたとおり、放置違反金納付命令書をたった一度無視しただけでは財産の差し押えまではしません。
前歴がなければ、放置違反金納付命令書を送付して無視されても、警察は再度、放置違反金納付命令書を送付します。それでも無視されれば、またも放置違反金納付命令書を送ります。
この間、約6ヶ月。仏の顔の三度まで、ではありませんが、さすがに3回も無視されれば強制的に放置違反金を徴収することになります。
駐車違反は絶対にダメ!
警察庁によると、交通規制は、(1)道路における交通事故等の危険を防止するため、(2)道路を通行する者が、安心かつスムーズに移動できるような道路交通環境を確保するため、(3)車の走行に伴い発生する大気汚染、騒音及び振動により人の健康又は住民の生活環境に生ずる被害(交通公害)を防止するため、の目的を達成するために行われています。
放置車両が関係する交通事故では、「駐車違反車両に車両が衝突した」「駐車違反車両を避けるために進路変更をして他の車両に衝突した」「駐車違反車両が死角となって他の車両の発見が遅れて衝突した」など、人の命に関わる事故も少なくありません。
駐車違反金納付命令書を無視し続ければ財産を強制的に徴収されるということを覚えておくとともに、自身の駐車違反によって交通事故が引き起こされる可能性があることを心に留め、交通ルールを遵守しましょう。
出典
警察庁交通局 駐車対策の現状
警視庁 放置駐車違反に対する責任追及の流れ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー