更新日: 2023.08.28 その他暮らし

退職前の「有休消化」を拒否されました。泣き寝入りするしかありませんか? 買い取ってもらうことはできないのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

退職前の「有休消化」を拒否されました。泣き寝入りするしかありませんか? 買い取ってもらうことはできないのでしょうか?
退職前にたまっていた有給休暇を消化しようと考えていたのに、会社から有給休暇の消化を拒否されてしまった……そんな場合は泣き寝入りをするしかないのでしょうか? また拒否された場合、「有給休暇の買い取り」をしてもらえるのかも気になるところです。
 
そこで本記事では、企業側が有給休暇の消化を拒否することが認められるのかについて解説していきます。有給休暇の買い取りについても紹介するので参考にしてください。
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そもそも有給休暇とは?

有給休暇は労働者の心身の疲労を回復するために付与される権利で、 文字どおり“有給”であることから、給料の減額の心配をせずに自分の指定した日に休むことができます。正社員だけでなく、要件を満たせばパートタイム労働者やアルバイトなどの短時間労働者にも付与される権利です。
 
要件は、「半年間継続して雇われていること」「全労働日の8割以上に出勤していること」の2つです。これら2つの要件を満たすと半年間の勤務で、フルタイム労働者であれば10日間、所定労働日数の少ないパートタイム労働者なら最大7日間の有給休暇をそれぞれ取得でき、その後も勤続期間に応じて付与されていきます。
 
また、年10日以上の有給休暇が付与される全従業員に対して毎年5日間は有給休暇を取得させることが企業側に義務付けられているので、年間で5日未満しか有給休暇を取得していない場合は労働基準法違反となり、企業側が罰せられます。
 

有給休暇の請求は基本的に拒否できない

有給休暇が付与されたら、有給休暇の請求をすることで自分の好きな日に休むことが可能です。しかし、会社側から有給の取得を拒否されることもあり得ます。これは泣き寝入りをするしかないのでしょうか?
 
確かに会社側には有給取得時期を変更してもらう権利「時季変更権」があります。しかし、時季変更権が認められるのは「事業の正常な運営」に支障をきたす場合のみです。これは「繁忙期だから」というだけでは理由にならず、特定の日に複数の従業員がいっせいに有給休暇を申請したため会社運営に支障をきたすような場合に限られます。
 
そのため、基本的に会社側は有給休暇の取得を拒否することができず、労働者は自分の好きな日に有給休暇を申請・取得することができます。退職前にたまっていた有給休暇を消化することは労働者の権利なので問題ありません。自身に合ったタイミングで有給休暇を消化することをおすすめします。
 

有給休暇の買い取りは可能?

有給休暇の申請を拒否されたり、同僚の仕事が増えることを気にしたりして有給休暇を消化しない選択をすることもあると思います。この場合、有給休暇を買い取ってもらうことは可能なのでしょうか?
 
原則として有給休暇の買い取りは認められていません。有給休暇は心身の回復を目的に付与される労働者の権利だからです。有給休暇の買い取りは趣旨や目的と異なった行為なので認められないことになります。
 
ただし法定を上回って付与された有給休暇で、退職時までに取得しきれていないケースでは、会社側の買い上げが認められています。しかしこれは義務ではないため、就業規則を確認した上で会社側に相談してみましょう。
 

有給休暇は労働者の権利なので自由に請求しましょう

有給休暇は労働者の権利なので、自由に請求しても問題ありません。特に退職前は有給休暇を消化する最後の機会になるので、まとめて請求しましょう。有給休暇は2年で時効になってしまいます。労働者の大切な権利ですから、自分に付与された有給休暇の日数をしっかり確認してください。
 
また、有給休暇の取得を拒否された場合は労働基準法違反になります。万が一、有給休暇を拒否されるようなことがあれば労働基準監督署や法律の専門家に相談することも検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。
厚生労働省 鹿児島労働局 Q8 年次有給休暇の買上げをしても法律違反にはなりませんか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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