更新日: 2019.01.07 その他暮らし

社長よりも正社員になりたい人が増加!?起業家が減っているワケ

社長よりも正社員になりたい人が増加!?起業家が減っているワケ
SNS上で「起業したい」という投稿があったり、若い起業家のベンチャーが登場したり。
 
今、世の中では「起業ブーム」が起きているように見えてきます。
 
ところが実態を調べてみると、起業を希望する人の数は、増えているどころか逆に減っており、より正確には“激減”していることがわかってきました。その実態と、起業を増やすための国の支援について紹介します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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起業希望者の数は30年ほどで半分以下に!?

「中小企業白書」は、中小企業庁による中小企業・小規模業者の動向を分析した調査。その「中小企業白書2014年」に、日本の「起業希望者数」の推移を調べたデータが掲載されています(※図1:第2章182ページ「起業の担い手」より独自に作成)。
 

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「中小企業白書2014年」では、現在、日本政府が日本を米国のようにベンチャー企業がどんどん生まれる「起業大国」にしようと考えていると伝えています。
 
ところが上グラフから見えてくるのは、起業希望者の大幅な減少です。1979年には約170万人いた起業希望者が、多少上下はあるものの徐々に減っていき、2012年には半数以下の83.9万人にまで減少しています。
 
なぜ起業希望者がここまで減ったのでしょう。はっきりとした原因はわかりませんが、ひとつ考えられるのは、雇用情勢の変化でしょう。上グラフを見ると、2002年を境に起業希望者の数が目立って減少しています。
 
2002年の翌年、2003年には当時の小泉政権下にて労働者派遣法の改正があり、その施行後、「派遣切り」など派遣労働者の雇用問題がメディアで大きく取り上げられるようになりました。
 
こうした雇用情勢の変化が、起業を志す人ではなく、「正社員になりたい」という安定志向の人を増やす要因のひとつになったのかもしれません。
 

起業希望者が起業の一歩を踏み出す際の“壁”って?

ではどうすれば起業する人を増やすことができるのでしょうか。
 
そのヒントとなりそうなデータも「中小企業白書2014年」の中に掲載されています(※※図2:第2章201ページ「起業の準備に踏み切らない理由」より独自に作成)。これは、起業を希望してはいるけれど、実際の起業に踏み切らない人にその理由を聞いたもの。若者、女性、シニア別にその理由をまとめています。
 

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まずチェックしたいのが、「自分の『やりたいこと』をどうしたら事業化できるか分からない」という項目をあげる女性とシニアが多いこと。
 
やってみたいことや興味があることはあるのに、それをどう事業化したらよいのかがわからない女性やシニアが多いようです。これについては起業セミナーなどが盛んに開催されることで、起業の道に踏み出そうとする人を増やせるかもしれません。
 
もうひとつ気に留めたいのが、「事業、企業を立ち上げるための具合的な段取りや手続き(資金面含む)が分からない」という項目です。
 
起業準備に踏み込まない理由として、若者が多くこの項目をあげています。
 
起業の志はあるものの、まだ社会に出て間もない若者であるため、段取りがわからず、資金もないため、起業に踏み込めないといった状況でしょうか。この場合も、若者が受けられる起業セミナーや資金提供の仕組みがあると、起業の増加につながるかもしれません。
 

起業希望者を増やすために、国や自治体が行っている公的な支援がある!?

では実際に起業する人や起業希望者を支援する公的な仕組みはないのでしょうか? 実はすでにあります。そのひとつが2014年に施行された「産業競争力強化法」(※※※)です。
 
「産業競争力強化法」とは、市区町村が、民間の創業支援事業者(地域金融機関やNPO法人、商工会議所・商工会など)と連携して、創業セミナーの開催や相談窓口の設置、コワーキング事業などの創業支援を行う「創業支援事業計画」を提出すると、国が認定したものには支援が得られるという仕組みを定めたもの。
 
国はこうした法律を施行することで、地域に創業支援事業者を増やし、それにより起業する人や起業希望者を増やそうとしているようです。
 
では、この法律によって認定された市区町村はどのような支援をしてくれるのでしょうか。千葉県柏市を例に見てみましょう。
 
柏市の創業支援事業計画(※※※※)は、2014年3月に国の認定を受けました。これにより柏市内で創業・起業する人は、柏市が用意したインキュベ—ションマネージャーによる経営や販路に関する個別アドバイスを受けられたり、市内にある柏の葉イノベーションラボ「KOIL」のスタートアップアッププログラムを受けることができたり、さまざまな支援を得られるようになりました。
 
さらに特定創業支援事業として認められた「かしわ創業塾」(全5回)の修了者には、柏市内で株式会社を設立する際の登記にかかる登録免許税が、従来必要な資本金の0.7%から0.35%まで減らせ、最低税額が従来の15万円から7.5万円にまで軽減されるといった特例の適用などを受けることも可能になりました。
 
このように国も自治体も起業する人や起業希望者を増やすためにいろいろな支援策を打ち出しているようです。ただ問題は、各地でさまざまな支援が行われているにもかかわらず、今ひとつ認知されていないこと。
 
また支援制度があると知り調べてみようとすると、公的機関のホームページはあれこれ情報が雑多に配置されており、知りたい情報にたどり着くまでに時間がかかってしまうことです。この辺りを改善してくれると、起業する人や起業希望者がさらに増えるのかもしれませんね。
 
出典
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/07Hakusyo_part3_chap2_web.pdf
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/07Hakusyo_part3_chap2_web.pdf
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/index.html
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/090700/p018792.html

Text:FINANCIAL FIELD編集部

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