更新日: 2023.08.29 子育て

児童手当と児童扶養手当、違いが分かりません! どのような違いがあるかを解説

執筆者 : 林智慮

児童手当と児童扶養手当、違いが分かりません! どのような違いがあるかを解説
児童手当と児童扶養手当、名前は似ていますが制度の内容はまったく異なります。どのような違いがあるのか、分かりやすく解説します。また、「異次元の少子化対策」により、児童手当が拡充されます。今後どのように変わるのかも確認しておきましょう。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

中学卒業までの子どもがいる家庭に・・児童手当

児童手当制度は、
「家庭等の生活の安定に寄与する・時代の社会を担う児童の健やかな成長に資する」
を目的とした制度です。
 
国内に住所がある、中学卒業までのすべての児童が対象で、住民基本台帳に登録があれば外国人でも対象です。対象児童を監護し生計を維持する者(父母等)に児童手当が支給されます。申請は、お住まいの市区町村です(公務員は所属庁に申請します)。
 
手当金額は、受給資格者の所得により異なります。

○所得制限限度額未満の場合、
・3歳未満 1人1万5000円
・3歳以上小学校修了まで 第1子・第2子は1万円、第3子以降は1万5000円
・中学生以上 1万円
○所得制限限度額以上、所得上限額限度額未満 5000円
○所得上限限度額以上 支給なし

所得制限となる所得額・収入目安は図表1のとおりです。
 
【図表1】

 

(参考)異次元の少子化対策で、児童手当はどう変わる?

令和5年6月13日、『子ども未来戦略方針』が閣議決定され、「児童手当」の拡充として、

●所得制限の撤廃
●支給時期を18歳の3月まで(高校卒業まで)
●3子目以降3万円

という具体的な内容が発表されました。
 
これにより、所得に関係なく、第1子、第2子は1人につき、

●3歳未満 1万5000円
●3歳以上小学校修了まで 1万円 
●中学生以上 1万円

が、18歳の3月まで(高校卒業まで)毎月支給されます。
 
第3子以降は、生まれてから高校卒業までずっと3万円が支給されるようです。これまでのように、上の子が高校卒業の度に、第3子が第2子、第1子と扱われることはなく、ずっと3万円が支給されるようです。
 
(2024年10月から実施予定となっています(2023年8月現在))
 

ひとり親家庭の児童の育成と自立のために・・児童扶養手当

一方、児童扶養手当制度は、『父または母と生計を同じくしていない児童が育成される、ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について手当を支給し、児童の福祉の増進を図る』を目的とするものです(引用:こども家庭庁「ひとり親家庭等の支援について」)。
 
受給対象者は、児童が18歳になって最初の3月31日まで(障害者の場合は20歳未満)の児童を監護している母親等です。親が離婚や死別によりひとり親である児童、親の一方が一定程度の障害の状態である児童、ひとり親の生死が分からない児童を監護している事が受給要件です。
 
手当金額は以下のとおりです(令和5年4月~)
■月額
・全部支給:4万4140円 ・一部支給:4万4130円~1万410円
 
■加算額
(児童2人目)
・全部支給:1万420円 ・一部支給:1万410円~5210円
(児童3人目以降1人につき)
・全部支給:6250円 ・一部支給:6240円~3130円
 
また、所得制限限度額は図表2のとおりです。
 
【図表2】


 
ただし、受給対象者本人の所得が全部支給に該当しても、生計を同じくする同居家族が所得限度額を超えている場合、手当金の支給はされないことに注意が必要です。
 

こんな時受給額が調整される・・児童扶養手当の注意点

児童扶養手当は18歳まで(高校卒業まで)の子が対象となるものの、支給開始から5年、(支給要件に該当してから7年)を経過した時は、一定の事由を除き、支給金額の2分の1が停止されます。

●すでに就業している
●就職活動など、自立を図るための活動をしている
●障害があって働くことが困難である
●ケガや病気で、就業が困難である
●家族の介護のために働くことができない

児童扶養手当は、ひとり親になった生活を安定させる他、「ひとり親家庭の自立の促進に寄与する」ことを目的とするためです。
 
児童扶養手当制度の受給要件を満たしていれば、児童手当と児童扶養手当の両方を受け取れます。その一方で、児童を監護している者が公的年金を受け取っている場合は、児童扶養手当が受け取れない場合もあります。これは、どちらも稼げない場合の所得保障としての性質があるためです。
 
障害年金以外の公的年金を受給している場合、児童扶養手当より年金額が少ないとその差額を児童扶養手当として受け取れます。障害年金を受給している場合は「子の加算額」が調整対象になり、児童扶養手当より「子の加算額」が少ない場合は、差額を児童扶養手当として受給できます。
 
以上のように、児童手当と児童扶養手当には明確な違いがありますので、確認しておきましょう。
 

出典

こども家庭庁支援局家庭福祉課 ひとり親家庭等の支援について(令和5年4月)
内閣府 児童手当
内閣府 児童手当制度のご案内(令和4年度版)
内閣官房 こども未来戦略方針 〜次元の異なる少子化対策の実現のための「こども未来戦略」の策定に向けて〜(令和5年6月13日)
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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