江戸時代の侍はお金がなくて「傘」ばかり作っていたって本当? 侍の収入や暮らしぶりについて解説

配信日: 2023.08.29

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江戸時代の侍はお金がなくて「傘」ばかり作っていたって本当? 侍の収入や暮らしぶりについて解説
時代劇を見ていて、内職として侍が傘を作っているシーンを目にしたことはないでしょうか。内職をしなければ生活できないほど、侍の暮らしは困窮していたのか疑問を持つ人もいるかもしれません。今回は、そもそも侍が傘を作っていた事情や傘作りで得られるおおよその金額、江戸時代の侍の位置付けや本来の収入源などを解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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そもそも「侍」とはどういった位置づけだった?

侍(武士)は、もともとは武芸を主な職業としていましたが、江戸幕府が置かれて以降は幕府や大名に仕えるなど政治的な役割が濃くなっていきました。侍も武士も現代では同じような意味合いで使われていますが、実は身分の違いがあったといわれています。
 
侍は高い地位に就いている武士を指すことが多く、高貴な人に仕える高い地位の人のことです。乗馬を許されたのも侍であり、侍には貴族に仕えて仕事をするという意味があります。
 
幕府や大名から家臣が与えられる給与は「知行取」と「蔵米取」の2種類がありました。「知行取」とは、あらかじめ領地を与えてもらい、そこで暮らす農民から直接年貢を納めさせるものです。対して、「蔵米取」とは、勘定所に一旦納された米を支給されることをいいます。いずれにしても、幕府や大名に仕えていれば生活に困ることは考えにくいでしょう。
 

傘作りの内職をしていたのは「浪人」と考えるのが一般的

説明したように、幕府や大名などに仕えていれば、身分や武家の格式にふさわしい給与を得ることができます。一方、仕えるべき主君を失った武士や、そもそも誰にも仕えていなかった武士も存在します。それが「浪人」です。浪人は、本来は「牢人」という字が使われていましたが、江戸時代に入って「浪人」という文字に変わっています。
 
浪人は帯刀している以外は庶民との差はなく、主君がいないために決まった給与を得ることはありません。そのため、何らかの仕事で収入を得る必要性が出てきます。時代劇などで傘を作っているシーンに登場するのは、侍ではなく浪人と考えるのが一般的です。
 

江戸時代の傘の相場とおおよその収入は?

日本で傘が本格的に製造されるようになったのは、元禄年間(1688~1703年)頃だといわれています。竹骨と油紙を用いて製造された傘で、現代の貨幣価値に換算すると価格は1万円を超えるものでした。
 
新品で高価で庶民には買えないため、人気になったのがリサイクル傘です。リサイクル傘は、破けた油紙を新しく貼り直して再利用します。この油紙を貼り直すのが、時代劇でよく見られる浪人の内職です。
 
破けて使えない傘を1本100~300円で買い、油紙を張り替えた傘が「張替傘」として売られました。「張替傘」の価格は現代の貨幣価値だと5000~7500円ほどです。本体の他に油紙やノリの代金もかかりますが、内職としては悪くない収入だったといえるでしょう。
 

時代劇でも傘張りは浪人の定番

主君を失った侍(武士)や、誰にも仕えていない浪人はそもそも給与がありません。そのため、安定的な収入を得るのは必須です。江戸時代では新品の傘は高価で庶民には手が届かなかったため、リサイクル傘は人気が高かったといわれています。傘張りは自宅でもできる作業であり、傘をリサイクルする仕事は浪人の定番の内職だったことがうかがえます。
 

出典

国税庁 武士の給与

日本洋傘振興協議会 本当に江戸の浪人は傘張りの内職をしていたのか? —時代考証でみる江戸の仕事事情

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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