更新日: 2023.08.30 その他暮らし

手取り16万円ですが、家賃が8万円で生活が苦しいです…奨学金の返済はどうするべきですか?

執筆者 : 柘植輝

手取り16万円ですが、家賃が8万円で生活が苦しいです…奨学金の返済はどうするべきですか?
物価の上昇が続く中、生活が困難な状況となったことで、大学進学などに当たって借り受けた奨学金の返済に悩んでいる方も多くいるようです。
 
今回は、毎月の手取りが16万円で家賃が8万円のため、奨学金が返せず困っているという方からの相談を基に、奨学金の返済が難しくなった場合の対応について説明します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

奨学金は踏み倒せるのか? 返済を放置するとどうなる?

奨学金の返済を踏み倒すのは、現実的には不可能と考えられるでしょう。
 
独立行政法人 日本学生支援機構の貸与型奨学金を借りる際に機関保証制度による連帯保証を選択している場合、長期間にわたって返済を延滞し、督促にも応じずに踏み倒そうとしても、最終的には保証機関による返済(弁済)が行われます。
 
弁済が行われた金額については原則として一括で請求されますが、返済に応じない場合は法的措置によって給料や銀行口座のお金など財産が差し押さえられ、それが返済に充てられることになります。
 
なお、奨学金の借受時に機関保証ではなく人的保証制度を選択したときは、返済を延滞すると連帯保証人や保証人に対しても請求や督促が行われ、本人に代わって返済する義務が生じます。
 
返済を延滞した場合は、延滞分の金額に加えて年3%の割合で日数に応じた延滞金、また弁済額の返済の滞納については年10%の遅延損害金が発生します。
 
また、奨学金の返済開始から6ヶ月が経過した後に3ヶ月以上の延滞が発生すると、信用情報機関の登録対象となり、クレジットカードの作成時やローンを組む際に影響を及ぼすというデメリットもあります。
 
そもそも、日本学生支援機構の貸与型奨学金は、大学などの卒業後に返済するという条件で借り受ける公的な制度なので、特別な事情がない限り、きちんと返す方向で考えるべきです。
 

まずは家計を改善して返済の原資を確保

奨学金を返せないほど生活に行き詰まってしまったときは、家計の支出を見直してみましょう。
 
今回のケースの場合、月16万円の手取りに対して8万円という家賃が大きな問題です。手取りに見合わない金額の家賃を支払っている現状では、奨学金の返済がなくても生活自体が苦しい状態なので、まずはその点を改善する必要があります。
 
家賃の目安としては一般的に手取りの2割から3割の間が適正といわれているため、手取りが月16万円であれば、例えば家賃は3万2000円から4万8000円程度の範囲に収めておきたいところです。
 
初期費用はかかりますが、引っ越しによって家賃を下げることができれば、毎月その分は手取りが多く残ります。さらに他の支出も節約することで、奨学金の返済は不可能ではなくなるでしょう。
 
また、転職するほか、アルバイトや副業を行うなど、収入を増やして対応する方法もあります。いずれにせよ、支出を減らす、または収入を増やして家計を改善し、奨学金を返済するための原資を確保すべきです。
 

奨学金を返すのが難しいときに利用できる救済制度

今すぐ家計を改善しても奨学金の返済が難しい場合は、「減額返還」または「返還期限猶予」の手続きを取るようにしてください。
 
減額返還とは、傷病や経済困難などを理由に決められた金額での返済ができない場合、1回の願い出により1年以内の期間、毎月の返済額を2分の1または3分の1に減額する制度です。
 
また、返還期限猶予は傷病や経済困難などで返済が難しくなった場合に、同じく願い出によって1回につき1年以内の期間、返済の期限を先送りできる制度です。
 
いずれも本人による願い出と審査を必要としますが、適用が認められることで、奨学金の返済を無理なく続けられます。詳細については日本学生支援機構のホームページをご確認ください。
 

奨学金の返済を延滞しても苦しくなるだけ! 家計の見直しや所定の手続きで今すぐ対応を!

現実的に奨学金を踏み倒すことは不可能であり、返済が滞っている間に延滞金が発生するほか、信用情報に傷がつき、最終的には財産が差し押さえられます。
 
奨学金の返済が難しいときは、まず家計を見直し、それでも返済が厳しいという場合は日本学生支援機構に相談して、減額返還や返還期限猶予といった救済制度を頼るようにしてください。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 令和4年度 返還のてびき(全体版)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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