更新日: 2023.08.30 その他暮らし

コロナ禍で「コミュ障」が増加!? 注目される「塾講師」などの意外な職業を解説

執筆者 : 老田宗夫

コロナ禍で「コミュ障」が増加!? 注目される「塾講師」などの意外な職業を解説
2022年7月に株式会社グローコムが全国1200名を対象に行ったインターネット調査によると、約2割の人がコロナ禍によって「コミュニケーション力が衰えた」と回答しています。特に20歳未満の若い世代でその傾向が強く見られ、10代女性においては3人に1人がコミュニケーション能力の衰えを実感しています。
 
しかし、この傾向はコロナ禍の前からすでに始まっているといえます。2016年に株式会社マイナビが男子大学生186名を対象に行った調査によると、「自分はコミュ障だと思うか?」という質問に、実に半数以上(54.3%)の男子大学生が「はい」と答えています。
 
一方、採用活動において企業が重視している学生の能力の1位が「対人コミュニケーション能力」という調査結果もあります。
 
そこで今回は、コミュニケーションが苦手だと感じる人に向いている職業について紹介していきます。なお、本記事では「コミュニケーション障害(コミュ障)」という言葉は、医学的な疾患である「コミュニケーション障害」とは全く別のものとして扱っています。
老田宗夫

執筆者:老田宗夫(おいだ むねお)

キャリアコンサルタント

一般的に言われている“コミュ障”ってどんな人?

「コミュ障」とは「コミュニケーション障害」の略で、会話など対人コミュニケーションが苦手であることを意味します。自虐的に自分に対して用いるケースが多い、いわゆる「コミュ障」は、以下の2つのタイプに分類されます。
 

ダウナー系コミュ障(自分の意見が言えないタイプ)

・人と正対すると緊張して話せない
・言葉がどもってしまう
・人との距離感をうまくはかれない
・自分に自信がなくて人との関わりを避ける
・人間関係のストレスをためこんでしまう

 

アッパー系コミュ障(自己主張が強いタイプ)

・その場の空気を読めず、場にそぐわない発言をしてしまう
・会話のキャッチボールができず、一方的に話し続ける
・少しでも批判的なことを言われると怒り出してしまう
・自己主張が強く助言を聞かない
・人の話を聞くのが嫌いで、自分の話をするのが好き

 

“コミュ障”が向いている意外な職業とは?

人とのコミュニケーションが苦手な人が向いている職業というと、工場の作業員や清掃員、警備員など一人で黙々と作業をするタイプの仕事を思い浮かべる人も多いかと思います。しかし、こういった仕事以外にも、コミュニケーションが苦手な人が活躍できる職業は存在します。
 
また、前述のような一見仕事上では人との接点は少ない職業に見えても、実は職場の同僚との綿密なコミュニケーションが必要とされる職業・職場もあるので、注意が必要です。ここからは、人との接点がある仕事ではあるが、コミュニケーションが苦手な人にも向いている意外な職業を紹介します。
 

塾講師

「教師」は対人の場面が多く、高いコミュニケーション能力が求められる職業の一つといえるでしょう。確かに、学校に勤務する教師は授業だけでなく生活指導も担当し、生徒や保護者などと密なコミュニケーションをとる場面が多いです。
 
しかし、仕事内容の似ている職業として「塾講師」がありますが、集団塾の塾講師は実はコミュニケーションが苦手な人にも向いている職業といえる側面があります。
 
塾によるところはありますが、担当するクラスは1年間変わらないことが多く、つまり担当する生徒もほぼ変わらないので、ある程度固定化した人間関係の中で仕事ができます。生徒は学力や成績の向上という目的のために来ていますので、授業などで相手にわかりやすく学習内容を伝えるという発信力は必要ですが、集団塾の授業は対話とは異なります。
 
そのため授業を行う上で生徒一人ひとりと密なコミュニケーションをとることはほとんどありません。一対一で質問をされる場面もありますが、勉強を教えるという目的に限られているため、場の空気は一定しています。
 
また、仕事の責任の所在は個々の授業に対してであり、チーム力を発揮するような仕事は基本的には発生せず、協調性などを問われる場面も少ない職場環境だと考えられます。以上のことから、塾講師はダウナー系の人にも、アッパー系の人にも向いている職業と言えます。
 

ルート営業

営業職というと、常に新しい顧客に対して売り込みをする「新規開拓営業」をイメージする人が多いと思います。しかし、営業職には様々な仕事内容が存在しています。
 
その中で、「ルート営業」という職業は、訪問先が決まっており、同じ顧客に対して定期的に営業活動を行います。従って、初対面の人とのコミュニケーションが苦手であっても、ルート営業であれば時間をかけてその場に慣れることができる可能性があります。
 
ルート営業は、顧客とのなれ合いが生まれ不正が起こることを防止するという観点で、顧客とは一定の距離感を保つことを求められます。従って、距離感などを考えながら顧客対応する必要が少ない職種です。
 
また、ルート営業は相手の希望や要求を聞いて、その要望を叶えることが目的ですので、顧客の話をしっかり聞くことができれば問題ありません。自己主張が苦手な人でも十分活躍できる可能性があります。以上のことから、ルート営業はダウナー系の人に向いている職業と言えます。
 

プログラマー

パソコン上で稼働するシステムやソフトウェアなどを作ることが仕事のプログラマーは、基本は一人で行うデスクワークです。仕様書の内容を正しく読み取り、正確にプログラミングすることが求められます。大人数で一つのシステムを作るケースもあり、その場合は打ち合わせなどに参加することもあります。
 
しかし、打ち合わせの後は一人で取り組むことになりますので、コミュニケーションが苦手な人でも、精神的な負担を感じる時間は少ない職種といえます。プログラマーはダウナー系に向いていますが、アッパー系でも対応可能な職種です。
 
なお、似たような仕事に「コンサルタント職」や「システムエンジニア職」などがありますが、こちらの仕事は顧客との打ち合わせがメインです。多方面の部署との複雑なコミュニケーション能力が必要とされますので注意が必要です。
 

オペレーター・コールセンター業務

オペレーター業務と聞くと、電話を介して顧客対応をする仕事というイメージが強いため、高いコミュニケーション能力が必要だと思う人も多いでしょう。しかし、対応事項の多くは、しっかりとマニュアル化されているので、コミュニケーションや対話力というよりは、問い合わせ内容に対して正確に回答を選び、打ち返す能力が求められることが多いです。
 
また、電話対応ではなく、チャットなどのツールを使用する場合もあり、直接人と会話することがない仕事内容であるケースもあります。
 
一方で、ポジションによってはクレーム対応など、臨機応変な対応力を求められる職場もあります。つまり仕事内容によって、コミュニケーション能力の必要度合いが大きく変わると考えてください。オペレーター・コールセンター業務は仕事の内容によって、ダウナー系が向いているケースもあれば、アッパー系が向いているケースもあります。
 

自分の特長の活かし方を考えよう

人とのコミュニケーションが苦手だと感じているからといって、誰とも話をしたくないという人ばかりではないでしょう。コミュニケーションと一口にいっても、いろいろなコミュニケーション手法があります。
 
「学校の先生」と「塾講師」、「新規開拓営業」と「ルート営業」というように、似たような仕事に見えても、実は求められるコミュニケーション能力が違うというケースも珍しくありません。自分にとってどのようなコミュニケーションが苦手なのかをしっかり把握して、自分の特長にあった仕事を探すとよいでしょう。
 

出典

株式会社グローコム コロナ禍が日本人のコミュニケーションに与える影響について
マイナビ 学生の窓口 自分のことをコミュ障だと思うかどうか
 
執筆者:老田宗夫
キャリアコンサルタント

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