更新日: 2023.08.30 子育て
児童手当が「もらえなくなる」のは、年収1200万円から?満額もらえるのは年収いくらの世帯?
本記事では、年収含め児童手当がもらえる条件についてまとめておりますので、見ていきましょう。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
児童手当を受け取れる世帯は?
児童手当は、中学校卒業までの児童を養育している方が受け取れる手当です。ここでいう「中学校卒業まで」とは、15歳の誕生日の後、最初の3月31日までのことをいいます。
支給時期は原則として、毎年6月、10月、2月であり、それぞれの前月分までの手当が支給されます。支給額は子どもの年齢によって、子ども1人当たり月々1万5000円から1万円になっています。
図表1
出典:内閣府 児童手当制度のご案内
※「第3子以降」とは、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目以降をいいます。
児童手当の支給には所得制限が設けられています。児童を養育している方の所得が後述の「所得制限限度額」未満であれば、上記で紹介したように、子どもの年齢や数によって支給される児童手当を受けることができます。
しかし、所得制限限度額に達し、かつ後述の「所得上限限度額」未満となると、児童手当は「特例給付」として月々5000円に減額された上で支給されます。さらに年収が上がり、所得上限限度額に達すると、児童手当そのものの支給がなされなくなります。
児童手当が受け取れなくなる年収は家族構成によって異なる
時折「児童手当は年収〇円から受け取れなくなる」と言われることがあります。しかし、それは正確ではありません。厳密には、世帯の構成によって、次のように異なってきます。
図表2
出典:内閣府 児童手当制度のご案内
例えば、子ども2人と生計を維持している夫、年収103万円以下の妻、という家族構成の場合、扶養親族等の数は3人となり、およそ年収1200万円未満であれば、児童手当の特例給付を受け取れるという具合です。
もし、満額受け取ろうと思ったら年収1200万円ではなく、960万円未満が目安となります。児童手当を満額受け取れるかどうかは一律に収入だけでは判断できず、世帯ごとによって異なるため、必ず自身で確認することが大切です。
児童手当の所得制限が撤廃されるってホント?
先日内閣府の発表した「こども未来戦略方針」によれば、上記の所得制限について、2024年度中に撤廃されることが見込まれています。年収によって支給の有無や額が異なる児童手当については「不平等だ」「少子化対策の意味をなしていない」など批判的な声も上がっており、それに対する対応だと考えられます。
また、支給年齢を現行の中学生の年代から高校生の年代にまで延長し、第3子以降は支給額を3万円とすることも見込まれています。
ただし、「地方自治体の事務負担なども考慮して具体的な実施時期を決める」ともされているため、実施時期が2024年度以降となったり、上記の内容は変更となったりする可能性がある点にも注意してください。
児童手当の年収制限撤廃に合わせて何かしらの控除が小さくなる可能性もある
こちらは既定路線ではありませんが、もしかすると、児童手当による年収制限が撤廃された場合、扶養控除の内容が変化し、何らかの形で家計の負担がこれまでと変わらないよう調整される可能性があります。
事実、先の「こども未来戦略方針」においては、高校生までの児童手当支給年齢延長について「中学生までの取り扱いとのバランス等を踏まえ、高校生の扶養控除との関係をどう考えるか整理する。」としています。
過去、子ども手当が創設された際は、年少扶養親族に対する扶養控除38万円が廃止されたり、高校無償化の際には16歳から18歳までの間の扶養控除の上乗せ分25万円が廃止されたりした背景もあります。この点を踏まえ、児童手当やその関連税制には今後も注視が必要でしょう。
児童扶養手当がもらえなくなるのは年収1200万円からとは限らない
児童手当がもらえなくなる年収は世帯の構成によって異なり、一概に1200万円とは限りません。また、児童手当は2024年中に改正が予定されており、今後内容が変わっていく可能性もあります。
予想外に「児童手当が受け取れない」ということにならないように、今後の改正内容を踏まえ、児童手当を受給予定の世帯あるいは受給中の世帯は、制度の内容についてよく確認しておくことが必要でしょう。
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
内閣府 こども未来戦略方針
財務省 扶養控除の見直しについて(22年度改正)
執筆者:柘植輝
行政書士