更新日: 2023.08.31 その他暮らし
「小規模企業共済」でお金を借りられる! 借り方や金利はどうなっている?
この記事では小規模企業共済の貸付制度について解説します。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
そもそも小規模企業共済とは?
小規模企業共済は、中小企業経営者や個人事業主(自営業者やフリーランス)などが加入できる制度です。コツコツと掛金を支払って積み立てていき、廃業や退職などのタイミングでまとまった資金を受け取ることができます。いわば「自分で用意する退職金」のようなものです。
税制面でとても優遇されていて、掛金は全額が所得控除の対象になり、受け取るときも大きな控除の対象になります。また、お金が必要になったときには貸付制度を利用できます。
小規模企業共済と似た制度に、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)があります。しかしiDeCoは途中でお金を引き出したり貸付を受けたりすることはできません。
小規模企業共済の貸付制度とは?
小規模企業共済の貸付制度は、民間の金融機関などと比べて金利が低い傾向があります。しかも、早ければ即日融資(申し込んだその日のうちに借りること)も可能です。
借りられる金額は、今まで積み立てた掛金の7~9割程度までです。具体的な金額は中小企業基盤整備機構(小規模企業共済の実施団体)から送られてくる「貸付限度額のお知らせ」などで確認できます。
また、貸付にはいくつかの種類があり、借入限度額や金利などが異なります。利用目的に合わせて選択しましょう。
●一般貸付け
●緊急経営安定貸付け
●傷病災害時貸付け
●福祉対応貸付け
●創業転業時・新規事業展開等貸付け
●事業承継貸付け
●廃業準備貸付け
2023年8月30日時点の金利は、一般貸付けが年利1.5%、その他は年利0.9%となっています。
貸付制度を利用するにはどうすればよい?
小規模企業共済の貸付制度を利用するには所定の手続きが必要です。一般貸付けの場合、以下のような手順で進めます。
ステップ1. 必要書類を準備する
●本人確認書類(運転免許証など)
●実印
●印鑑登録証明書
●貸付金額に応じた収入印紙(200円~2万円)
ステップ2. 金融機関の窓口で手続きする
ステップ1の書類を持って、事前に登録してある借入窓口の金融機関に行き、「貸付金借入申込書」を受け取って手続きします。
未登録の場合は商工中金(商工組合中央金庫)の本店か支店で手続きできます。商工中金なら即日融資が可能です。登録した金融機関がわからないときは、小規模企業共済のコールセンターに問い合わせれば確認できます。共済契約者番号がわかる書類を用意しておくとスムーズです。
ステップ3. 借入金を受け取る
手続きが終わったら、「貸付金」のほか「貸付金計算書」や「金銭消費貸借契約証書(借主控)」を受け取ります。借入期間や返済方法は契約ごとに異なるので、あらかじめよく確認しておきましょう。
※一般貸付けの場合は上記のとおりですが、災害時貸付けは商工中金、その他の貸付けを利用する場合は小規模企業共済融資課に申し込みます。
まとめ
中小企業経営者や個人事業主の節税対策として知られる「小規模企業共済」ですが、いざというときにお金を借りられるという特徴もあります。
低金利ですぐにお金を調達できる可能性があるので、「事業を拡大したいけどお金が足りない」「資金繰りが難しい」「病気になった」など困ったときに頼る先としても役立ちます。もしもの対策として、貸付制度の利用を検討してみましょう。
出典
中小企業基盤整備機構 制度の概要
中小企業基盤整備機構 貸付制度について
中小企業基盤整備機構 貸付制度の最新の利率について
中小企業基盤整備機構 事業資金の借入れ
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表