更新日: 2023.09.04 その他暮らし

10月から中古車の「販売価格表示」が変わる?従来の価格表示の「問題点」とは?

10月から中古車の「販売価格表示」が変わる?従来の価格表示の「問題点」とは?
2023年10月より、中古車の販売価格表示は、車両価格ではなく「支払い総額」にすることが義務付けられます。これは、消費者にとってどういった意味があるのでしょうか? 
 
そこで今回は、従来の価格表示の問題点と、支払い総額に何が含まれるのかを調べてみました。
FINANCIAL FIELD編集部

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2023年10月より中古車の販売価格の表示は「支払い総額」へ!

自動車公正競争規約・同施行規則の改正により、中古車の販売価格の表示が「支払い総額」に変わることになりました。「支払い総額」とは、「車両価格」に、中古車を購入する際に最低限必要な「諸費用」を加えた価格のことです。
 
自動車公正取引協議会が、2020年11月から2021年1月に実施したアンケート調査によると、約8割の会員事業者が販売価格を支払い総額で表示していることが分かりました。
 
しかし残りの約2割は、支払い総額表示を実施していませんでした。その理由として、「手間がかかる」「価格が高く見えてしまう」などが挙げられました。
 
今回の総額表示義務化により、なんらかの項目を「諸費用」として別途請求して、実際に表示価格で購入できない場合は、「不正表示」として重大な規約違反となります。
 

従来の価格表示の問題点とは?

これまででも、多くの中古車業者では、車両価格と併せて「支払い総額」を表示していました。しかし、一部の中古車業者の中では、安価な車両価格を表示する「おとり広告」が常態化していました。このような不当な価格表示では、さまざまな諸費用が別途請求され、結局、表示価格では購入できません。
 
格安価格にひかれて来店したユーザーに、「保証」「整備」などの購入を強制する不適切な販売行為も、問題となっていました。
 
また、「諸費用」の内容も不透明で、本来は車両価格に含まれるべき「納車準備費用」が、請求されることもあったようです。見せかけの販売価格が表示され、結局は多額の諸経費が上乗せされる問題行為が横行することになり、自動車公正取引協議会には、消費者から相談が寄せられていたとのことです。
 

改正後の中古車の「支払い総額」には何が含まれるのか

支払い総額に含まれるのは、「車両価格」と「諸費用」です。以下で、それぞれの内訳をまとめました。
 

・車両価格

店頭で車両を引き渡す際の、消費税を含めた現金価格です。展示時点で装着している、ナビ・オーディオ・カスタムパーツなども含まれます。「定期点検整備」や「保証」を付ける場合は、諸費用ではなく、車両価格に含めて表示しなければなりません。
 
納車前に行う車内清掃・洗車・クリーニング・ワックスがけなども、中古車販売で当然行うべき作業であると見なされ、車両価格に含めて表示します。土日祝日納車費用・利益・販売手数料・オークション陸送費・広告掲載料なども、車両価格に含まれるべき項目として扱われます。
 

・諸費用

自動車損害賠償責任保険(自賠責)保険料をはじめ、自動車重量税・自動車税種別割・自動車税環境性能割・法定費用・リサイクル預託金相当額など各種税金が含まれます。
 
「検査登録手続き代行費用」「車庫証明手続き代行費用」は、購入者が販売店に依頼する際に発生する費用で、「諸費用」に含まれる項目です。任意保険や希望ナンバー申請費用など、購入者によって要否が異なるものは、諸費用に含まれません。
 

中古車の支払い総額の詳細を理解したうえで愛車探しをしよう!

中古車の価格表示が「支払い総額」になることで、消費者は、予算に合わせた愛車探しをしやすくなることが、期待できます。
 
しかし、支払い総額は、中古車を購入するにあたって、必要最低限の金額です。車検が切れていれば、車検費用が発生しますし、カーナビやバックモニターなどを追加したければ、支払い総額以上の費用がかかります。
 
支払い総額の詳細を理解して、任意保険などの、それ以外に必要な項目も計算したうえで、予算に合った愛車探しをすることが大切です。
 

出典

一般社団法人 自動車公正取引協議会 中古車の販売価格の表示が「支払総額」に変わります!!
一般社団法人 自動車公正取引協議会 中古車の販売価格の表示が、「支払総額」に変わります。
一般社団法人 日本自動車会議所 健全な中古車小売り市場へ一歩 自動車公取協、総額表示義務化
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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