更新日: 2023.09.04 その他暮らし

年収1000万円で自己破産してしまう人がいるのはなぜ? 個人再生を選ぶメリットとデメリットは?

年収1000万円で自己破産してしまう人がいるのはなぜ? 個人再生を選ぶメリットとデメリットは?
年収1000万円は、1つの到達点として、憧れる人も多いでしょう。国税庁による「民間給与実態統計調査」によると、令和3年度における年収1000万円以上の給与所得者は、4.9%です。
 
「年収が1000万円あれば、すごく余裕がありそう」と思われがちですが、実は意外にも自己破産が多いのは「夢の年収1000万円」を稼いでいる人たちです。本来なら、破産とは縁遠いはずの収入を稼いでいたはずが、気づいたときには、収入より出ていくお金が多かったということなのかもしれません。
 
この記事では、高額所得者と思われている年収1000万円の人が、なぜ破産してしまうのか?また、高額所得者向けの債務整理の方法として、「個人再生」を選ぶメリットとデメリットを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年収1000万円なのに、なぜ自己破産?

最高裁判所事務総局「令和4年司法統計年報概要版(民事・行政編)」で報告されている令和4年版の破産事件は、年間約7万件、そのうち個人による自己破産は約6万5000件です。
 
その中でも年収1000万円超の給与所得者の一定数が、債務整理におちいっています。なぜ高収入と思われる年収なのに、破産してしまうのでしょうか?
 
それは、「うちは高収入だから」という思い込みからくる浪費が、元凶かもしれません。年収1000万円の手取り額は、所得税や社会保険料などを引くと額面の7割ほどで、約720万円〜750万円です。
 
文部科学省の令和3年度調査によると、私立小学校の年間の学習費は160万円以上ですので、そこに、甘く見積もった住宅ローンなどが重なった場合、実際はあまり余裕がありません。
 
私立小中学校への受験を始め、見栄から高級車を買ってしまったり、タワーマンションに引っ越したりなど、家計が苦しくなって初めて、生活水準を上げ過ぎたことに気がつく人もいます。あまり生活水準を上げ過ぎると、家計が苦しくなりかねない収入帯と言えるでしょう。
 
まわりもうらやむ高収入家庭の破産、それは生活レベルを下げられない、家計管理の甘さが多くの原因といえるでしょう。
 

自己破産よりも「個人再生」をお勧めする理由。メリットとデメリットを解説

自己破産してしまうと、自宅や車などを手放さなければなりません。「住み慣れた家を引っ越すのはつらい。子どものためにもなんとかならないか」そう考えたときに使える方法があります。
 
それは、「自己破産」ではなく、「個人再生」を選ぶことです。「個人再生」は、基本的に住んでいる住宅や車を残せることも「自己破産」との大きな違いです。
 
ここからは、自己破産とは違う「個人再生」のメリットとデメリットを解説します。
 

個人再生のメリット

・借金が5分の1〜10分の1程度に大幅減額される。
例えば借金が1000万円であれば、5分の1に減額され200万円の返済で済みます。(最大で10分の1)
 
・返済は3年間(最長で5年)の分割が認められる。
減額された分を3年かけて返済でき、子どもの進学に重なるなど、事情により返済が厳しい場合は最長5年の返済も認められます。
 
・自宅や自動車も残せる
自己破産と違って自宅以外にも、自動車(ローンが残っていないもの)も残せます。また株式や投資信託、生命保険も処分しなくて済みます。
 
・借金の理由が、浪費や投資の失敗なども対象になる。
自己破産の場合には「免責不許可」とされる浪費や、FX・株式投資などが原因の借金でも、個人再生では対象になり、借金の原因は問われません。
 
・職業の資格制限がない
自己破産をすると、1部の職業(金融系、法律系、宅建士、保険の募集人、会社役員など)には一定期間、就業することができなくなります。このため、仕事がクビになったり、収入が途絶えたりする恐れがありますが、「個人再生」は職業の制限がありません。
 

個人再生のデメリット

また、個人再生には以下のようなデメリットもあります。

●債務は全額が免除されないため、返済できる資力が必要。
 
●保証人がついている借金がある場合には、保証人に一括請求が行ってしまう。
 
●個人再生は5000万円以下の債務が対象
 借金の合計が住宅ローンを除いて5000万円を超える場合は、個人再生は利用できない。
 
●手続きが複雑
住宅ローンのほかに、車、保険解約返戻金、株やFX、投資信託など、清算する価値の計算や再生計画の作成など個人では難しく、弁護士への依頼が必要になる場合が多い。

 

まとめ

元々、きちんと収入があった年収1000万円超の人であれば、債務整理ができれば立て直せる人も少なくないのではないでしょうか。裁判所でも心から反省をして、しっかりやり直そうとしていれば「個人再生」を認めることが多いようです。
 
高年収の世帯でも、債務整理の段階まで行く前に、まずは客観的に家計を見直し、必要に応じて、FPや弁護士に相談してみてはどうでしょうか。
 

出典

最高裁判所事務総局 「令和4年 司法統計年報概要版(民事・行政編)」
日弁連 「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果について
裁判所 個人再生手続利用にあたって
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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