更新日: 2023.09.04 子育て

「児童手当があるなら養育費はいらないじゃん」と元夫から連絡が来たけど、児童手当と養育費は同時にもらっていいの?

「児童手当があるなら養育費はいらないじゃん」と元夫から連絡が来たけど、児童手当と養育費は同時にもらっていいの?
行政書士として活動していると「児童手当を理由に養育費を払い渋られます。」といった相談を受けることも珍しくありません。本年もそういった相談が度々寄せられています。
 
そこで本記事では、児童手当と養育費の関係について解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

児童手当とは

児童手当とは、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に対して支給される、子育て支援のための手当です。児童手当は子どもの年齢と数によって、子ども1人当たりの支給額が月額最大1万5000円にまでなります。
 
図表1

出典:内閣府 児童手当制度のご案内
 
なお、児童手当には所得制限が存在しています。所得が一定額以上になり、所得制限限度額以上になると支給額が一律で5000円(特例給付)になります。さらに所得が上がり、所得上限限度額に達すると、この特例給付も支給されなくなります。
 
図表2

出典:内閣府 児童手当制度のご案内
※「収入額の目安」は、給与収入のみで計算しています。あくまで会社員等給与所得者を想定した目安であり、実際は給与所得控除や医療費控除、雑損控除等を控除した後の所得額で、所得制限を確認します。
 

養育費とは

続いて養育費の性質についても確認していきましょう。養育費とは、子どもが経済的、そして社会的に自立するまでに必要な費用です。例えば、衣食住、教育、医療などにかかるお金をいいます。養育費は、離婚によって親権を有しなくなったとしても、その子の親として負担する義務が残るものになります。
 
具体的な養育費の金額は、当事者となる親が、それぞれの収入や子どもの年齢などを加味して話し合って決めるものになりますが、協議が整わない場合は家庭裁判所にて調停をすることも可能になります。
 

児童手当と養育費は同時にもらってもよい

児童手当と養育費は異なるもので、同時に受け取っても問題ありません。どちらも元妻が子どもを育てている場合、元妻には両方受け取る権利があります。元妻の側から養育費の支払いを断ることや合意によって内容を変更することはできても、元夫の側から「児童手当があるなら養育費はいらないじゃん」と、一方的に養育費の支払いの有無や金額を変更することはできません。
 

児童手当を理由に元夫が養育費の支払いを止めてきたときは?

元夫が児童手当を理由に養育費を払わないというときは、まずは「児童手当を理由に養育費の支払いを止めることはできない」ということを説明し、支払いを求めるべきです。その際、必要に応じて支払いを求める内容証明郵便の作成と送付を依頼すると効果的です。
 
それでも支払いが滞る場合は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てて、司法の力を頼るという方法で解決することになるでしょう。
 

児童手当と養育費については正しく理解を

児童手当と養育費は、基本的に同時に受け取ってもよいものになります。しかし、そのことを正しく理解していないと、元配偶者から「児童手当があるなら養育費はいらないじゃん」と支払いを止められ、自分自身も「そうなのかな」と思って納得してしまう可能性もあります。
 
子どものためにも、児童手当と養育費については親として正しく理解しておくことが必要でしょう。
 

出典

内閣府 児童手当制度のご案内
法務省 養育費
裁判所 養育費請求調停
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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