海外移住の足がかりは「親子留学」? 将来のリスクにおびえる夫婦が冷静に考えるべき7つのポイント
配信日: 2023.09.14
このようなニュースばかり目にしていると、「日本で生活し続けても大丈夫だろうか? 」と不安に感じてしまうのは仕方のないことだといえます。
今回は日本の将来性に疑問を感じ、親子留学を経て、海外移住を検討している夫婦の例を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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日本の将来性に絶望する若夫婦
「私たちが65歳以上になったら、年金はきちんともらえるかわからないと思います」とAさんは話します。Aさんは妻のBさん、子のCさん(3歳)との3人暮らし。現在、お子さんを保育園に預けて共働きをしており、世帯年収は約1000万円だとのことです。
「将来性が不安な日本に住み続けるよりも、今後の成長性が見込める海外へ移住することを検討しています。その前準備として、今は親子留学に関する情報を集めています。日本は人口が減り続けるし、経済成長率も低いので、早く日本を脱出したほうがいいと思っています」
なお、Aさん世帯の資産状況は下記のとおりです。
・Aさん(28歳):年収600万円
・Bさん(26歳):年収400万円
・世帯の貯蓄:1000万円
現在は賃貸マンションに暮らしており、家賃は毎月15万円程度とのこと。Aさん夫婦は俗にいう「パワーカップル」であり、毎月10万円程度の貯金ができているようです。現在の貯金は1000万円ほどあるため、家計状況は良好といえます。
「私たち夫婦は日本に住み続けるメリットはないと考えています。税金や社会保険料はとられるけれど、将来、自分たちがもらえるか分からないからです。今後の経済成長が見込める国に移住すれば、賃金の上昇が期待できるし、充実した社会保障が得られるのではないでしょうか」
確かに、止まらない円安や実質賃金の低下、過去最低の出生率など、日本の将来性に関するマイナスなニュースは非常に多いと感じる人も多いでしょう。Aさん夫婦はニュースの影響を受け不安を感じているようだが、果たして親子留学と将来の海外移住に向けて、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
費用のシミュレーションと生活面・社会保障制度の確認が必須
近年は親子留学をする人や、実際に海外移住をする人が増えているようです。Aさん夫婦のように、ある程度、経済的なゆとりがあれば、親子留学も海外移住も充分に検討する余地があるでしょう。
親子留学にかかる費用は、渡航先や滞在期間にもよりますが、1カ月につき1人あたり最低でも50万円程度は必要となるでしょう。Aさん家族が3人で親子留学をした場合、例えば、滞在期間が3カ月なら約500万円が必要となります。
親子留学をしている期間も、解約しない限りは現在の賃貸マンションの家賃が発生するため、総額ではさらに大きな負担となるでしょう。親子留学中の仕事はどうするのかも、考えなければなりません。
実際に海外移住する際には、移住先の国や家族構成によるものの、初期費用としては、物価が安い国であれば30万円から50万円、先進国の場合は100万円程度が必要となるでしょう。それとは別に、毎月の家賃や食費などの生活費が必要になることから収入を得る手立てを確保した上で、500万円は確保しておきたいところです。
国によっては海外移住の条件に、総資産の金額など、一定の条件を設けていることがあるため、合わせてチェックすることが欠かせません。
また、親子留学や海外移住をするうえで、次のポイントには気を付ける必要があります。
・物価
・治安、犯罪率
・食文化
・気候
・医療体制
・社会保険制度
・教育水準
今は日本より物価が安くても、将来的に日本との物価が逆転する可能性がないとは言いきれません。また、日本は非常に治安がよいため、海外での治安の悪さに驚いてしまうリスクもおり込む必要があるでしょう。
また、日本は少子高齢化で将来の給付が先細りする可能性が高いとはいえ、国民皆保険制度をしいています。自己負担を抑えながら医療を受けることができ、医療水準も高いといえます。海外でも、日本と同じ自己負担額で同じレベルの医療を受けられるとは限らないため、事前に確認することが欠かせません。
人口が増え続ける見込みがあり、物価が安かったとしても、社会保険制度がぜいじゃくな状態では意味がないでしょう。治安が悪いと安心して生活できない上、文化が違うことから、日本と同じ感覚で生活しているとストレスを感じることもあるかも入れません。
海外移住をする前段階として、親子留学を行う意義は大きいはずですが、経済的な負担をシミュレーションすることが大切でしょう。あわせて、留学先候補の文化や気候、社会保険制度など事前に調べることは欠かせません。
まとめ
日本は今後も少子高齢化が進んでいく公算が高く、将来に向かって社会保障給付が先細ってしまう可能性は高いと一般的に考えられています。
国民負担率は上昇しており、出生率は低下していることから、日本の将来性に絶望してしまう感情は理解できます。また、親子留学や海外移住をすることで、将来性の高い国で生活できるメリットがあると考えられます。
しかし、留学や移住にかかる費用はもちろん、留学先・移住先の治安や社会保障制度をきちんと事前確認することがなにより重要となるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー