音信不通だった友人から「100万円」貸してほしいと頼まれました…。お金を貸す際の注意点は?
配信日: 2023.09.25
そこで、「友人に100万円を貸してほしいと頼まれた」と仮定して、友人にお金を貸す際の注意点について考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
お金を貸す前に、もう一度100万円の重みについて考える
まずはお金を貸す前に、100万円の重みについて考えてみてください。
100万円は大多数の人にとって、苦労してようやくためられるという額になるでしょう。会社員など一般的な社会人の年収は、400万円から500万円程度といわれています。つまり、100万円という金額は、一般的な会社員の年収の20%から25%の額に相当するわけです。
そんな重みのあるお金を、友人とはいえ家族以外の人間に貸してしまい、最悪返ってこなかったらどう思うでしょうか。「ここで返ってこなかったら嫌だ」と感じたら貸すべきではないでしょう。本当に必要なお金を借りるなら、親や兄弟など身内に借りることを最初に検討するでしょうし、車や家、学費などであればローンを組むでしょう。わざわざ友人にお金を借りることは考えづらいです。
その点を踏まえると、わざわざ友人に100万円を借りるというのは「訳アリ」の可能性が高く、返ってこない可能性も十分考えられます。
悩むくらいならお金は貸さない
お金を貸すかどうか悩むくらいなら「自身の経済的な状況から、やはり難しい」と友人に断りを入れるべきです。それによって疎遠になるような関係であれば、どのみちお金は貸すべきではないでしょう。その後お金に振り回されてしまい、今までの友人関係が崩壊することもあり得ます。
悩むのであれば友人だからこそ、お互いの今後のためにもきっぱりと断り、家族や目的に応じた銀行などのローンを利用するように促すべきです。
貸すなら契約書を必ず作成し、返済条件と期限などを定めること
お金を貸す際は、どんなに親しい間柄であっても契約書は作成してください。そこには必ず、最低でも下記の事項を記載しておくべきです。
・何円のお金を貸したのか
・貸した日と返済期限はいつか
・返済条件(毎月1回返済で分割するのか、期限までに一括して返済するのか)
・借主貸主双方の氏名と住所、そして署名捺印
契約書がなければ、お金の返済について問題となることがあります。例えば、自分は100万円を「貸した」と主張していても、相手が「もらった」と主張してくると、証拠がなければ話し合いが平行線のまま終わらなくなります。仮に裁判など司法の力を借りるとなったとしても、証拠がなければどうすることもできず、泣き寝入りとなってしまいます。
SNSでのやり取りやメールなどでも上記が記載されていれば、一応有効な証拠として扱うこともできますが、データなので消えてしまうこともあり、証拠としては不安が残ります。また、相手からすれば「契約書じゃないから」と心理的拘束が弱くなってしまうこともあるため、極力契約書を作成すべきです。
なお、契約書があったとしても、必ず相手から100万円を取り立てられるわけではありません。本人が任意に返済しなければ、裁判などの手続きを経なければなりません。諸費用や時間を考えると、裁判を起こしても貸した額に近い、あるいは貸した額以上の費用がかかる可能性もあります。
まとめ
友人に100万円ものお金を貸すことを、簡単に決断してはいけません。自分にとって、返ってこなくてもよいお金だと思える額であれば別ですが、大金だと思うのであれば、貸すべきではないでしょう。
もし貸す場合でも、そのことについてしっかり考え、条件を明確にした契約書を作り、「最悪、返ってこなくても仕方ない」と割り切ることも必要になってくるでしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士