更新日: 2023.09.28 その他暮らし

入居時に払う敷金や礼金の「支払い拒否」はできますか?そもそもなぜ払わないといけない?

執筆者 : 柘植輝

入居時に払う敷金や礼金の「支払い拒否」はできますか?そもそもなぜ払わないといけない?
賃貸物件に入居する際、初期費用として大きな負担となるものに「敷金」や「礼金」があります。敷金や礼金は、一体どのような理由で請求されるのでしょうか。また、相場はどれくらいの金額であり、減額や支払いの拒否は可能なのでしょうか。敷金や礼金に関する疑問に回答していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

敷金と礼金って何?

まずは敷金と礼金について、どのようなお金か確認していきましょう。
 
敷金とは、家賃の滞納や物件の破損などによって生じた損害を担保するために差し入れられるお金です。それゆえ、原則として退去時に物件に何も損害が生じなければ、全額返還されます。
 
一方で、礼金とは、大家さんに対して入居のお礼として支払うもので、返還がされないお金になります。かつては敷金も返還されないことが往々にしてあったようですが、近年では国土交通省によってガイドラインが作成されたことから、返還されることが増えてきているようです。
 

敷金と礼金の相場はどれくらい?

敷金と礼金の額は、一般的にそれぞれ家賃の1ヶ月分程度になります。例えば、家賃7万円の物件であれば、敷金と礼金を合わせて14万円程度が一般的な額になります。新築や一戸建て物件である、都心部の人気物件であるなど特殊な場合は、2ヶ月分程度となることもあるようです。
 
ただ、この金額は地域によっても異なります。近年では「ゼロゼロ物件」と呼ばれる、敷金と礼金が0円の物件も出てきています。いずれにせよ、正確な地域の相場を知るには、賃貸物件のサイトで比較して調べることが大切です。
 

減額や支払いの拒否はできる?

結論から言うと、敷金や礼金の支払いの拒否は難しいでしょう。大家さんや管理会社としては「万が一の備えとして敷金を確保しておきたい」と考えていることから敷金の減額や拒否は難しいと考えられます。
 
礼金については、毎月の家賃が安い分だけ礼金で利益を調整しているということもあり、支払いの拒否は難しいでしょう。
 
しかし、礼金の減額ならば交渉の余地はあるかもしれません。例えば、敷金と礼金がそれぞれ家賃の1ヶ月分で、7万円ずつ生じているような場合、礼金が安くなれば入居しますと交渉してみるという具合です。もし礼金が半分になれば、3万5000円も初期費用を抑えられることになります。
 
仮に大家さんから「礼金の減額が難しい」と言われた場合でも、代替案として月額家賃を多少値下げしてくれたり、1ヶ月のフリーレント(一定期間家賃が発生しない特約)を提案されたりすることもあります。
 
家賃7万円の物件で1ヶ月のフリーレントを受けることができれば、礼金が0円になっていることと同義です。また、家賃を1ヶ月当たり2000円程度下げることを提案された場合、年間で2万4000円の削減となります。この物件に3年程度住めば礼金以上の金額が下がったことになり、長く住むほどお得になります。
 
なお、契約が成立した後の減額は困難であるため、敷金や礼金の額に納得がいかなければ必ず契約前に交渉するようにしてください。
 

うまく敷金や礼金を交渉するコツは?

敷金や礼金が少しでも安くなるよう交渉するためには、不動産会社選びが大切です。通常、賃貸物件は不動産会社で探すのですが、熱心に交渉をしてくれるかどうかは担当者によって異なります。
 
不動産会社は基本的に、物件の多くを「レインズ(不動産流通標準情報システム)」と呼ばれるシステムで別の会社と共有しているため、担当者が合わないと感じたら、別の会社で同一の物件について相談してみるのも手です。
 

まとめ

敷金と礼金は必ず払わなければならないものではありませんが、入居契約の必須条件とされていることが多くなっています。
 
もし、提示された額で敷金や礼金を支払うことに納得がいかなければ、ゼロゼロ物件に入居したり、不動産会社の担当者を通じて交渉してそれらを減額してもらったり、あるいは他の初期費用や家賃の減額で折り合いをつけたりすることになります。
 
敷金や礼金にまつわるトラブルは、度々報告されています。トラブルを避け、納得して入居するためにも、敷金や礼金について疑問に思うことや納得いかない点があれば、質問や交渉などを行い、理解と納得をした上で契約と入居をするべきでしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

ライターさん募集