更新日: 2023.09.29 子育て

療育(発達支援)って無償化の対象になるの? 未就学児の療育について解説

執筆者 : 蟹山淳子

療育(発達支援)って無償化の対象になるの? 未就学児の療育について解説
子どもの発達が、年齢に応じたいわゆる“発育の目安”から遅れると、心配になってしまう親御さんは多いでしょう。そんな時に見聞きする言葉に「発達障害」と「療育」があります。発達障害がどのような障害で、療育(発達支援)とはどのような内容なのかを確認するとともに、療育が無償になる要件について確認しましょう。
蟹山淳子

執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)

CFP(R)認定者

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。

発達障害とは?

子どもの成長につれ、「なかなか歩き始めない」「あまり言葉を話さない」「お友だちとうまく遊べない」などの心配をされる親御さんもいらっしゃるでしょう。そのような心配も、子どもの成長につれて薄れていくことが多いのですが、心配な状況が続く場合は発達障害の可能性を考えてみましょう。
 
発達障害とは、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などの総称です。これらは生まれつきの脳の特性によるもので、親の育て方や環境によってなるものではありません。
 
発達障害のある人は、他人との関係づくりやコミュニケーションを苦手とするため、その特徴を理解されずに生活しづらいことが多いのですが、優れた能力が発揮されている場合もあります。知的障害とは異なります。
 
文部科学省が令和4年に行った調査では、全国の公立小中学校で発達障害の可能性のある児童生徒は8.8%、つまり11.4人に1人くらいの子どもに発達障害の可能性があるということです(※)。
 

療育(発達支援)とは?

発達障害の可能性があると思ったら、早めに専門家に相談し、必要であれば療育を受けることをお勧めします。
 
療育は、治療と教育が合わさった言葉で、もともとは身体的障害や知的障害のある子どもに対する支援なのですが、最近では、発達障害やその心配がある子どもにも対象が広がってきました。発達支援もほぼ同じ意味で使われています。
 
療育では、その子が持っている障害の特性や発達状況を理解し、その特性ゆえに起こる困りごとを軽減できるよう、その子に合わせた計画を立て、必要なサポートを行ってくれます。例えば「ADHDの子にはこの療法」と決まっているわけではなく、その子に合わせた療法と目標が検討されます。
 
療育は通って受ける場合と、専門家の訪問を受ける場合などがありますが、小学校入学前であれば、児童発達支援センターや児童発達支援事業所に週1~2回通って受けるのが一般的です。親も子どもへの言葉かけなどのアドバイスを受けられますし、同じような悩みを持つ親子と接する機会も得られます。
 
ご家庭によっては、子どもの発達が心配だけれどちゅうちょしている場合もあると思います。
 
しかし、周囲と比べてできないことがあるために子どもが自信を失い、それによって起こる困りごとも考えられます。発達障害の診断がおりない、いわゆるグレーゾーンでも、発達障害の診断前でも療育を受けられるので、心配がある場合は早めに専門家に相談することを検討してみましょう。
 

療育の相談をしたいときは

最初に相談に行く場所としては、専門の医療機関、子ども支援センター、保健センターなどがありますが、迷っているのであれば1歳半検診、3歳健診のときに保健師さんに相談してはいかがでしょうか。その場でも相談できますし、必要であれば医療機関や児童発達支援センターなどにつなげてくれます。
 
専門医による診断は、なかなか予約が取れないこともあるようです。それだけ心配している親御さんが多いのかもしれません。
 
子どもはどんどん成長していきますから、診断の順番を待っている間に「もう心配しなくて良いのかな」と思えるようになるかもしれません。慌てずゆっくり、経過を見ながら診断を待つと良いかもしれませんね。市区町村によって基準は異なりますが、発達障害の診断を受けていなくても、療育を受けることができます。
 
児童発達支援センターや児童発達支援事業所へ通って療育を受けるには、「通所受給者証」(受給者証)の取得が必要です。市区町村の窓口に相談に行き、利用できる施設を紹介してもらいましょう。
 
いくつか見学に行き希望する施設を決めますが、定員がいっぱいだと受け入れてもらえません。施設の内定と申請、サービス利用等計画案の作成など、市区町村の窓口で相談しながら手続きを進めます。申請後、市区町村による調査が行われ、療育の必要があると認められた場合に受給者証が交付され、療育に通えるようになります。
 

療育は幼児教育無償化の対象

3歳から小学校に入学するまでの療育の利用者負担は、無償化の対象となっています。正確にいうと、無償化の対象となる期間は満3歳になって初めての4月1日から3年間です。ですから、発達障害の診断を受けていても、満3歳になって初めての4月より前に受ける療育は、残念ながら無償化の対象となりません。
 
なお、利用者負担以外の医療費や食費などの実費は保護者の負担です。また、保育園や幼稚園、認定こども園などに通っている場合で療育を受ける場合は、両方とも無償化の対象となりますので留意しましょう。
 

出典

(※)文部科学省 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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