ガソリン代のうち50円以上が「税金」だった! 180円を超える代金の内訳を解説

配信日: 2023.09.30

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ガソリン代のうち50円以上が「税金」だった! 180円を超える代金の内訳を解説
ガソリン代の高騰が止まりません。ガソリン代の内訳には、ガソリン本体価格以外にもガソリンにかかっている税金が含まれます。
 
ガソリンにかかる税金は、揮発油税と地方揮発油税・消費税で50円以上となっており、ドライバーの負担が大きくなる要因となっています。本記事では、ガソリン代の詳しい内訳と国が実施する補助金について解説します。
二角貴博

執筆者:二角貴博(ふたかど たかひろ)

2級ファイナンシャルプランナー

高騰するガソリン代と日本のEV普及率

2023年現在、9月に入ってもガソリン代の高騰状態が続いています。資源エネルギー庁の調査によれば、レギュラーガソリンの店頭価格は全国平均で180円台・ハイオクは190円台となっており、下落する兆候はなかなか見られません。家計を圧迫していると実感するドライバーも多いのではないでしょうか。
 
電気自動車(EV)の普及も進んでいますが、現状ではまだまだガソリンを燃料とする自動車は多く、ガソリン代高騰の影響は大きいと考えられます。参考までに、2022年4月~2023年3月の自動車の販売台数を燃料の種類ごとにまとめると次のとおりになります。


・ガソリン 40.3%
・ハイブリッド(HV) 51.0%
・プラグインハイブリッド(PHV) 1.7%
・ディーゼル 5.5%
・電気のみ(EV) 1.5%

ガソリン代の内訳

ガソリン代の内訳は、本体価格の他、揮発油税と地方揮発油税、消費税です。税金の占める割合が大きく消費税を除いても53.8円以上を占めます。揮発油税と地方揮発油税は、本来の税率である「本則税率」と、暫定的な税率である「当分の間税率」に分けられます。


1.揮発油税(国の一般財源として使途に制限がない)

 48.6円(本則税率24.3円、当分の間税率24.3円)
 
2.地方揮発油税(全額地方のために使われる)
 5.2円(本則税率4.4円、当分の間税率0.8円)
 
3.消費税(ガソリン代の全体に対して課税されていて二重課税状態)

なお、本体価格を116.2円と仮定して試算すると、次のようになります。


・ガソリンの本体価格 116.2円
・揮発油税と地方揮発油税 53.8円
・消費税(10%)17円
・合計 187円

「当分の間税率」とは、 ガソリンにかかる税金のうち25.1円分に該当します。1974年から上乗せされた税金で、最初は道路を作るため財源に充てられていました。 その後、使途を限定しない一般財源に変更されましたが、現在は東日本大震災からの復興の費用に充てるため凍結されています。
 

国が行う補助の内容

国は高騰するガソリン代を175円程度に抑えるために、全国のガソリン価格の平均が1リットル168円以上になった場合、燃料油元売りに対し、12月31日まで次のとおり補助することとしています。制度は複雑で、1リットルあたりの小売価格によって補助額が変わります。


・185円を超える部分(2023年12月まで全額を補助)
・168円~185円までの部分(2023年10月~12月は60%を補助、2023年9月は30%補助)

一方、3ヶ月連続で1リットルあたり160円を超えた場合、揮発油税と地方揮発油税の当分の間税率(25.1円)を引き下げる、いわゆるトリガー条項については、政府の税収や地方への影響が大きいなどとして採用しないとしています。
 

ガソリン代の動向には今後も注意

ガソリン代の負担は家計に重くのしかかっています。日常生活で車を利用する人だけでなく、物流業界の輸送コスト増加にもつながるため、物価への影響も懸念されます。
 
また、原油価格は、産油国の集まりであるOPECプラスで減産を決めている事情などもあり、なかなか下落傾向とはならないようです。私たちの生活に深く関わるガソリン代の動向と国の補助について、今後も注視していく必要があります。
 
国は、2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中で、乗用車は2035年までに、新車販売で電動車(HV、PHVなどを含む)100%を実現するとしています。これから車の買い換えを控えている場合は、生活防衛のためガソリン車以外を検討するのもよいでしょう。
 

出典

資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果
経済産業省 自動車・蓄電池産業
財務省 自動車関係諸税・エネルギー関係諸税に関する資料
 
執筆者:二角貴博
2級ファイナンシャルプランナー

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