更新日: 2023.10.04 その他暮らし

賃貸暮らしですが、将来の年金は「月12万円」です。現在の家賃は8万円ですが、もっと安いところに引っ越すしかないでしょうか?

賃貸暮らしですが、将来の年金は「月12万円」です。現在の家賃は8万円ですが、もっと安いところに引っ越すしかないでしょうか?
賃貸住宅で生活している人は、老後の家賃の支払いをイメージすると、不安を感じることがあるかもしれません。年金だけで生活費をまかなえるのか心配になり、もっと安いところへの引っ越しを検討する必要がある場合も想定されるでしょう。
 
本記事では家賃8万円の賃貸暮らしを想定し、年金見込み額が月12万円のケースについて、老後の経済的な見通しや対策を説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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将来の支出はどれくらい?

老後の生活では、家賃以外にもさまざまな出費が生じます。そのトータルの金額を予想し、引っ越す必要があるのかを判断しなければなりません。参考資料としては、総務省がまとめた令和4年の家計調査年報が参考になります。
 
こちらの調査は無職の65歳以上単身世帯も対象としており、その平均支出が分かる情報も掲載されています。食費や水道光熱費といった消費支出の平均月額は14万3139円で、税金などの非消費支出の平均月額は1万2356円です。そして、これらを足した15万5495円がトータルの平均支出になります。
 
ただし、賃貸暮らしの人は、この金額をそのまま自分の予想に使ってはいけません。なぜなら消費支出のうち、住居費の平均月額はわずか1万2746円しか含まれていないからです。持ち家の世帯も計算に入っているため、このような安い金額になっているのです。よって、実際はもっと出費が大きくなることを理解しておきましょう。
 

安い賃貸物件に移るだけでは不十分

家賃が8万円なら、住居費の平均月額1万2746円に対して、6万7254円の差があります。これを先ほど算出した平均支出15万5495円に加えると22万2749円です。この金額こそが、家賃が8万円の賃貸物件における老後の生活費の予想となります。
 
将来受給する年金が月12万円の場合、毎月「22万2749円-12万円=10万2749円」の赤字が発生する計算になります。年間だと123万2988円も足りないため、早々に家賃の削減という選択肢を視野に入れることになるでしょう。
 
ただし、家賃が半分程度の賃貸物件に住んだとしても、まだ毎月6万円ほど不足してしまいます。この状態で生活を続けた場合、年間の収支は70万円以上もマイナスになりかねません。つまり、安いところに引っ越すだけでは、決定的な対策にならないといえるでしょう。
 

定年後の勤務や年金の繰下げ受給で対策を!

老後の生活費の不足分を引っ越しでカバーできないなら、他の対策も必要となります。例えば、定年後も働いて収入源をキープすることは有効な手段です。令和3年に高年齢者雇用安定法が改正され、年を重ねても働き続けやすい環境が整い始めています。
 
前述のとおり、家賃が半分程度のところに移った場合、毎月6万円ほど稼げば赤字を防げるようになります。とはいえ、いつまでも元気に勤務できるとは限りません。
 
高年齢者雇用安定法でも、事業主に推奨されているのは、70歳までの就業機会の確保です。よって、定年前から貯蓄を頑張るなど、現役世代のうちに対策を始めることが理想といえます。
 
また、年金の繰下げ受給を申請することも一つの方法です。受け取るタイミングを65歳から後にずらすと、1ヶ月ごとに年金の支給額が0.7%ずつアップします。70歳から受給する場合、増額率は「0.7%×12ヶ月×5年=42%」で、本来12万円だった支給額は17万400円になるといった具合です。
 

不足分を補う方法がセカンドライフには必須

住まいは老後の暮らしにも欠かせない重要な要素です。しかし、家賃の支払いが原因で家計が圧迫されてしまう可能性もあります。だからといって、安い賃貸物件に引っ越しても、年金だけで生活費をまかなえるとは限りません。
 
将来の支出を予想して、どれだけ不足するのか考えることが大事です。その結果を踏まえて対策を検討し、明るいセカンドライフの実現を目指せるようになりましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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