更新日: 2023.10.09 その他暮らし

歯並びをきれいにしたい!「矯正歯科」で保険適用になるケースとは?

歯並びをきれいにしたい!「矯正歯科」で保険適用になるケースとは?
矯正歯科は一般的には保険適用外であり、自由診療となることから、公的健康保険を使うことができません。そのため、全額自己負担になり高額な費用がかかることがあります。 しかし、病的な診断に基づいた矯正である場合、保険適用となるケースもあります。
 
この記事では、矯正歯科において保険適用になるケースについて解説します。
小山英斗

執筆者:小山英斗(こやま ひでと)

CFP(日本FP協会認定会員)

1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ

人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。

「未来が見えるね研究所」では、多くの人と多くの未来を一緒に描いていきたいと思います。
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なぜ矯正歯科は一般的に、公的健康保険が適用されないのか?

診察や検査、薬、手術・入院といったものに公的健康保険が適用されるには、「けがや病気の治療」が目的であることが必要です。
 
一方で、「美容」を目的とする美容整形手術には、公的健康保険は適用されません。矯正歯科で行う、歯並びをきれいにするための矯正も、美容が主な目的となるため、保険適用の扱いにされないのです。公的健康保険が適用されないものには、他にも「目を二重にしたい」「脂肪吸引したい」といった目的の整形手術などがあげられます。
 

矯正歯科で保険が適用になるケース

矯正歯科でも、医師による病的な診断のもと、治療を目的としたものであれば、公的健康保険が適用されるケースもあります。
 
公的健康保険の適用の対象となるのは、図表1のケースに限られています。
 
【図表1】

1 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
2 前歯および小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
3 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療

出典:公益社団法人日本矯正歯科学会 矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは
 
なお、唇顎口蓋裂に起因した音声・言語・そしゃく機能障害の改善に関する医療に限られますが、医療費の自己負担額が軽減される自立支援医療制度もあります。この制度により、更生医療(18歳以上の身体障害者手帳の交付を受けた人が対象)と育成医療(18歳未満の児童が対象)の指定自立支援医療機関として認可された医療機関では、1割負担で治療を受けることが可能となります。
 

厚生労働大臣が定める疾患とは

矯正歯科で保険適用となるケースにおける「別に厚生労働大臣が定める疾患」とは、図表2のとおりです。
 
【図表2】

1. 唇顎口蓋裂
2. ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)
3. 鎖骨頭蓋骨異形成
4. トリーチャ・コリンズ症候群
5. ピエール・ロバン症候群
6. ダウン症候群
7. ラッセル・シルバー症候群
8. ターナー症候群
9. ベックウィズ・ウイーデマン症候群
10. 顔面半側萎縮症
11. 先天性ミオパチー
12. 筋ジストロフィー
13. 脊髄性筋委縮症
14. 顔面半側肥大症
15. エリス・ヴァンクレベルド症候群
16. 軟骨形成不全症
17. 外胚葉異形成症
18. 神経線維腫症
19. 基底細胞母斑症候群
20. ヌーナン症候群
21. マルファン症候群
22. プラダー・ウィリー症候群
23. 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)
24. 大理石骨病
25. 色素失調症
26. 口腔・顔面・指趾症候群
27. メビウス症候群
28. 歌舞伎症候群
29. クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
30. ウイリアムズ症候群
31. ビンダー症候群
32. スティックラー症候群
33. 小舌症
34. 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
35. 骨形成不全症
36. フリーマン・シェルドン症候群
37. ルビンスタイン・ティビ症候群
38. 染色体欠失症候群
39. ラーセン症候群
40. 濃化異骨症
41. 6歯以上の先天性部分無歯症
42. CHARGE症候群
43. マーシャル症候群
44. 成長ホルモン分泌不全性低身長症
45. ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群およびXXXXX症候群を含む)
46. リング18症候群
47. リンパ管腫
48. 全前脳胞症
49. クラインフェルター症候群
50. 偽性低アルドステロン症
51. ソトス症候群
52. グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
53. 線維性骨異形成症
54. スタージ・ウェーバ症候群
55. ケルビズム
56. 偽性副甲状腺機能低下症
57. Ekman-Westborg-Julin症候群
58. 常染色体重複症候群
59. 巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)
60. 毛 ・鼻・指節症候群(Tricho Rhino Phalangeal症候群)
61. その他顎・口腔の先天異常

 
「その他顎・口腔の先天異常」とは、顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患であり、当該疾患に起因する咬合異常について、歯科矯正の必要性が認められる場合に、その都度当局に内議の上、歯科矯正の対象とすることができる。
出典:公益社団法人日本矯正歯科学会 別に厚生労働大臣が定める疾患
 

保険適用を受けられる医療機関は限られている

矯正歯科で保険が適用されるには、特定のケースであることに加え、「厚生労働大臣が定める施設基準に適合している」と地方厚生(支)局長へ届け出のある保険医療機関で治療を行うことが必要となります。
 
該当の医療機関については、地方厚生局のホームページに最新の情報が掲載されているので、以下の方法で検索します。

1. 地方厚生局のホームページにアクセスする
2. 自身が住んでいる地域の厚生(支)局のホームページにアクセスする
3. サイト内検索ボックスに「施設基準届出受理医療機関名簿」を入力して検索
4. 「届出受理医療機関名簿」や「施設基準の届出受理状況」など県別に医療機関をまとめたリストから「歯科」のPDFを探す
5. そのPDFから「受理番号」の欄にカッコ書きで「矯診」あるいは「顎診」と記載されている指定医療機関を探す

「矯診」と記載があるのは、先に説明した、公的健康保険が適用となるケースのうち1と2、「顎診」と記載があるのはケース3に対応する医療機関となります。
 

まとめ

矯正歯科で保険適用となるケースは多くありません。また、保険適用となる診療方法を扱える医療機関も限られています。自身で保険適用の症例か判断するのは難しいため、まずは歯科医院で相談しましょう。
 

出典

公益社団法人日本矯正歯科学会 矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは
 
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)

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