更新日: 2023.10.10 その他暮らし
妻がうつ病で長期のクリニック通い。「自立支援医療制度」は申告できる?
今回は、長期で「うつ病」に悩まされている方の医療費負担を軽減する「自立支援医療制度」について、解説していきます。
執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)
夢実現プランナー
2級ファイナンシャルプランニング技能士/2級DCプランナー/住宅ローンアドバイザーなどの資格を保有し、相談される方が安心して過ごせるプランニングを行うための総括的な提案を行う
各種セミナーやコラムなど多数の実績があり、定評を受けている
自立支援医療制度とは
自立支援医療制度とは、心身の障害を除去し、軽減するための医療について、自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
一般的な公的医療制度では、各種健康保険に加入していれば医療機関の窓口負担を3割にまで軽減させることができますが、自立支援医療ではさらに世帯の所得に応じて、月間の自己負担上限額が設定されています。
図表1:自己負担上限月額
出典:厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」
対象者は、精神疾患で通院している人や、身体に有する障害を除去・軽減する手術等により確実に効果が期待できる人となります。
対象とならないケース
自立支援医療制度は、主に精神障害を患って通院している人を対象として、医療費の自己負担を軽減する制度ですが、精神疾患で通院をしている人が全て対象となるわけではありません。
今回は「うつ病を患い長期でクリニックに通っている方」という例ですが、本制度の適用を受けられる医療機関は、各都道府県や指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション)で、「自立支援医療受給者証」に記載された機関に限られます。
この制度を利用する方は、通っているクリニックが対象になっているか確認し、対象外であれば、通院先を対象の医療機関へ変えることが必要になります。
また、医療機関以外の要件では、入院の費用や精神疾患とは関係ない疾患の医療費も対象外となります。病院や診療所以外での公的医療保険の対象とならない治療や投薬も対象外となります。
手続き方法
手続きをする際は、主治医に診断書を書いてもらい、自治体の窓口で申請を行います。申請書は自治体の窓口にありますが、通っている医療機関にある場合もあるようです。
主治医が自立支援医療制度の対象医療機関ではない場合もありますので、医療機関や自治体で確認をしましょう。
また、世帯の収入の状況が確認できる資料も必要です。住民税を負担している世帯では課税証明書、住民税非課税世帯では住民税の非課税証明書、生活保護世帯では生活保護証明書など、世帯の状況によって証明書が異なりますので、必要なものを入手する必要があります。
自治体によっては証明書類が異なることもあるようなので、窓口で確認しましょう。
必要書類を提出し、受理されると、自立支援医療受給者証が発行されます。通院する際には、健康保険証と自立支援医療受給者証を医療機関の窓口で提示します。
まとめ
自立支援医療制度は、主治医が「対象となる」と判断したときに、制度の利用を進める医療機関もあるようですが、自分で制度について存在を知って、申請を行う必要がある場合もあります。
かかりつけの医療機関が、自立支援医療制度の対象外であれば、制度を進めることもないのかもしれません。精神的な障害に対しても公的な保障があるか、自治体の窓口で確認してみることも大切です。
出典
厚生労働省:自立支援医療制度の概要
厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」
執筆者:吉野裕一
夢実現プランナー