「物流2024年問題解決」に向けて「置き配」にポイント付与を決定! 政府の緊急対策を解説
配信日: 2023.10.14 更新日: 2023.10.16
本記事では、「物流革新緊急パッケージ」の目的や置き配による懸念点などについて解説します。
執筆者:桜下あかり(さくらした あかり)
FP2級
置き配でポイント付与
国土交通省の「令和4年度宅配便・メール便取扱実績について」によると、2022年度の宅配便取扱個数は50億588万個で、前年度と比較すると5265万個も増加していることが分かっています。増加率は約1.1%で、ECサイトの宅配荷物が増えていることが大きな要因となっています。
また、2024年4月からドライバーの時間外労働が制限されることで、さらなる人手不足の深刻化が懸念されています。
「物流革新緊急パッケージ」では再配達を減らす試みとして、置き配を選択した利用者にポイントを付与する制度を盛り込んでおり、政府は取り組みにかかる事業者の経費を支援します。
目的は再配達による時間外労働を減らすこと
国土交通省の報道発表資料によると、2023年4月の宅配便再配達率は11.4%です。再配達のために同じ家に何度も行くことはドライバーの時間外労働にもつながり、大きな負担となります。1回で届けられた場合も再配達で何度も訪問した場合も、ドライバーの報酬は変わりません。
再配達により生じた時間外労働や人手不足問題を解決できる手段の1つが置き配です。置き配であれば1回の配達で済むため、不在票を書いたり何度も訪問したりする手間が省けます。置き配は今後さらに人手不足が深刻化する運送業界にとって、解決の1つの糸口となるでしょう。
「物流革新緊急パッケージ」は、再配達率を現状の約半分である6%に減少させることを目標に実施されます。
置き配による安全面での懸念も
2023年10月5日に行われた自民党会議「物流調査会」では、「ポイント好きな日本人にとっては効果的」などの意見がある一方で、「安全性の問題からコンビニやガソリンスタンドなどに預かってもらいたい」など、置き配の安全性についての指摘もありました。
置き配を推進することによって、置き配した荷物がなくなるこというクレームの発生や、ポイント付与目的でばらばらに注文する人が増えるなどの懸念もあり、今後事業者と利用者の双方にとってより良い仕組み作りをすることが課題となっています。
置き配の後押しをする簡易宅配BOX「OKIPPA」
再配達を減らす取り組みとして注目されているのが、玄関前に吊り下げるだけで設置完了の簡易型宅配BOX「OKIPPA」です。自治体単位での実験的な導入が進められており、東京都八王子市では抽選で1万個のOKIPPAを無料配布する取り組みを実施中です。
OKIPPAは荷物が入れられる簡易的なバッグですが、盗難対策のために2種類の鍵がついています。さらに集合住宅でも利用可能なので、自治体での実験的な導入が進むことなどで利用者が増えていくことが予測されます。このような取り組みを推進することによって、置き配の安全性や利便性を高めることが期待されます。
まとめ
トラック運転手の人手不足が深刻化する「物流2024年問題」の解決に向け、置き配を推進する施策が始まろうとしています。置き配を利用する人が増えて再配達が少なくなることで、トラック運転手の時間外労働が減ることが期待されています。
しかし、置き配には安全性などにおける課題もあるのが現状です。防犯対策もできる宅配BOX「OKIPPA」の活用など、トラック運転手と利用者双方にとってより良い仕組み作りをしていくことが今後の課題といえるでしょう。
出典
国土交通省 令和4年度 宅配便・メール便取扱実績について
国土交通省 令和5年4月の宅配便の再配達率が約11.4%に減少
※2023/10/16 記事を一部修正いたしました。
執筆者:桜下あかり
FP2級