更新日: 2023.10.16 その他暮らし

給与から毎月引かれる「社員旅行積立金」5000円。旅行に「行かなかった」場合は返してもらえる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

給与から毎月引かれる「社員旅行積立金」5000円。旅行に「行かなかった」場合は返してもらえる?
毎月の給与から天引きされるのは、健康保険料や住民税などです。しかし、保険料や税金以外にも天引きされるものがあることは知っていますか。それは、給与明細の「その他控除」です。
 
「その他控除」とは、税金などの法律で定められている控除ではなく、労使協定で会社と従業員の間に合意がなされた控除項目を指します。たとえば、社員旅行のために控除される社員旅行積立金も、「その他控除」の一つです。しかし、昨今では旅行を行わない企業もあります。
 
今回は、社員旅行積立金を始めとする「その他控除」を決める際のルールや、社員旅行積立金が控除されていても旅行に行かなかった場合、返還要求はできるのかなどについて解説します。
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社員旅行積立金とは

社員旅行積立金とは、社員旅行の参加費の一部として、給与から天引きされるお金です。労使協定により決められた「その他控除」の一つとして扱われます。
 
また社員旅行積立金は、会社にお金を預ける社内預金になっている場合もあります。社員旅行積立金を始めとする「その他控除」は、協定控除とも呼ばれます。
 

「その他控除」を決めるときのルール

その他の控除を決めるには、労使協定で労働者側、会社側双方の同意が必要です。
 
そもそも労働基準法の第24条によれば、給料は全額支払うのが原則とされています。ただし例外も記されており、労働組合など労働者の代表と書面による協定があれば、賃金の一部を控除した上で支払えます。
 
この書面による協定が労使協定です。
 
社員旅行積立金もこの例に該当するため、労使協定で合意が結ばれている場合は控除されます。
 
なお、労使協定は個人と会社が結ぶのではなく、労働組合や労働者の過半数を代表する人との間で取り決められるため、自身が控除に反対していたとしても、基本的には控除されます。
 
しかし労使協定で決められていないにもかかわらず、無断で天引きされている場合は違法に当たるため注意しましょう。
 

社員旅行積立金を返還してもらいたいときは労使協定を確認する

社員旅行積立金が天引きされていても、社員旅行に行かない場合や、社員旅行に行く前に退職した場合はどうなるのでしょうか。実は、こうした理由で返還を望む場合は、会社に要求することができます。
 
労働基準法第18条には「労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない」と明記されています。
 
ただし労使協定で「社員旅行積立金は返還されない」という内容で記載されていた場合は、返還されません。
 
社員旅行積立金は、会社にお金を預けて管理してもらうことになるため、労働基準法第18条に該当しますが、社員旅行直前のキャンセルでキャンセル料が発生した場合など、全額返還してもらえないケースもあります。
 
なお、労使協定は労働基準法第106条により、従業員に周知することが義務付けられています。従業員は必ず確認できるもののため、労使協定の確認方法が分からなければ、上司に確認してみましょう。
 

社員旅行積立金は基本的には返還してもらえる

「社員旅行積立金」は労使協定で合意を得ている場合のみ、控除できます。
 
そのため、労使協定に記載がないにもかかわらず控除されていた場合は違法です。
 
また、労使協定で社員旅行積立金について記載されていても、旅行がなかった、もしくは退職するなどの理由で返還してほしいときは、基本的に返還してもらえます。
 
ただし、労使協定に「社員旅行積立金は返還されない」と明記されていた場合は、返還されないため注意が必要です。
 

出典

デジタル庁 e-gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 
第二章 労働契約(強制貯金)第十八条
第三章 賃金(賃金の支払) 第二十四条
第十二章 雑則(法令等の周知義務)第百六条

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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