更新日: 2023.10.20 子育て

生活苦で「子どもは1人しか産めない」のですが、世帯年収350万円でも子どもを育てられますか?

執筆者 : 柘植輝

生活苦で「子どもは1人しか産めない」のですが、世帯年収350万円でも子どもを育てられますか?
子育てについては経済的な問題もあり、多くの親が頭を悩ませています。特に年収が平均より少ない世帯については切実な問題でしょう。そこで、世帯年収350万円というケースで、1人の子どもを育てていくことができるのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

世帯年収350万円での子育ては厳しいものになる

世帯年収350万円での子育ては、不可能ではないかもしれませんが、かなり厳しいものになります。総務省統計局の「家計調査」で、「世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出」によれば、3人世帯の消費支出は月に30万4339円となっています。子どもが小さいうちはまだそれほどお金がかからないとしても、2人世帯の支出でも月に25万5318円となっています。
 
だからといって、子育ては不可能というものでもありません。上記はあくまでも統計上の数値であり、工夫次第で子育ても可能になります。
 
そこで、世帯年収350万円で、賞与などについては加味せず、月々22万円の手取り収入が生じると考えてみましょう。もし、手取り22万円以内で生活するとなると、下記のような支出が一例となります。
 
図表
 

項目 金額
家賃 6万円
食費 5万円
水道光熱費 3万円
交際費 2万円
被服費 1万円
通信費 1万円
家具・家事用品 1万円
教育費 1万円
その他・雑費 1万円
貯金 1万円
合計 22万円

 
※筆者作成
 
生活できないというほどではありませんが、大きな余裕はなく、子どもが大きくなって学費がかかるようになってくると、生活がより厳しくなるかもしれません。
 

手当や助成制度でなんとかなる場合も

世帯年収350万円での子育ては決して楽ではないかもしれません。ただし、現在はさまざまな公的支援が充実しており、額面から想定するよりも、実際には負担が小さくなっていることがあります。
 
支援の一例としては、15歳までの間、子どもの年齢や人数に応じて5000円から1万5000円の給付が受けられる「児童手当」や、最長5歳まで保育施設の利用料が無料になる「幼児教育・保育の無償化」などがあります。
 
また、進学についても、高校生は「高等学校等就学支援金制度」による授業料の減免があります。
 
大学に進学する場合も「高等教育の修学支援新制度」によって、約15万円の奨学金の給付と約8万円の入学金の減免、約23万円の授業料の減免が受けられます(私立大学に自宅から通った場合)。
 
その他にも受けられる支援制度は多々あるため、上記のような支援制度をうまく組み込み、子育ての計画を立てていくことで、世帯年収350万円でも子育てをしていくことが可能になります。
 

家計の見直しも行うべき

子育てをしていくに当たっては、不安があれば家計の見直しも行うべきでしょう。限られた収入の中で、安定した子育てを実現していくのであれば、支出は堅実なものにしておく必要があります。特に家賃や通信費などの固定費は、安い方が突発的な支出に対応しやすいです。
 
例えば、スマホは格安SIMにして、住居は多少駅から離れても安いところを選ぶようにする、電気やガスはいくつか比較して、安い事業者のプランで契約するなどが考えられます。
 
同時に、食費など変動費も削減するべきです。例えば、コンビニは利用せずスーパーなどを中心に買い物することでも、支出を下げることができます。他にも、副業をする、転職してより好条件の勤務先で働く、パートやアルバイトの時間を増やすといったことで収入を増やすことも有効でしょう。
 
いずれにせよ、子育てをしていくのであれば家計の見直しを行い、収入を増やし、支出を減らすことも必要となります。
 

まとめ

世帯年収350万円であっても、子育てを行っていくことは可能です。ただし、子育てをするに当たって、経済的に余裕があるといえる状況ではありません。安定して子育てをするには、各種の公的支援を利用しつつ、適宜家計を見直していくことが必要になってくるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査 3-1世帯人員別 1世帯当たり1か月間の収入と支出 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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