更新日: 2023.10.23 その他暮らし
予約したのに飛行機に乗れない!?「オーバーブッキング」の場合、補償はしてもらえるの?
飛行機に乗る際は、事前予約または当日予約をした後にチェックインをし、搭乗ゲートで機内への搭乗を待つわけですが、「いよいよ」というその段階で、「飛行機が定員オーバーのため搭乗できません」と言われることがあります。これが「オーバーブッキング」です。
しかるべき手順を踏んで予約したはずなのに、なぜ定員オーバーとなるのか、飛行機に乗れなかった場合、補償は受けられるのか。本記事では、そんな飛行機のオーバーブッキングトラブルについて解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
オーバーブッキングとは
オーバーブッキング(overbooking)とは、「over=越える」「booking=予約」で、航空業界においては座席の過剰予約のことを意味します。つまり、航空会社が本来の飛行機の座席数よりも多く航空券を販売し、乗客数が座席数を上回ってしまうことです。
しかし、一般的には商品数の上限と販売数の上限は同じであり、商品数以上を売るということは考えられません。それなのになぜオーバーブッキングが起こるのでしょうか。
実は航空会社は乗客の乗り遅れや、予約したものの実際には搭乗しなかった場合のキャンセル発生を見越して、本来搭乗可能な座席数より多くの予約を受け付けています。これは、空席がある状態で飛行機を運航させると損失が出るので、これを避けるためです。
航空会社では満席の状態で利益が出るように料金が設定されており、空席が多いと、その分損失が大きくなります。逆にキャンセルによる空席ありきで料金を設定すると、損失を防ぐため、航空券の価格が高くなることも考えられます。
つまりオーバーブッキングとは、航空会社の損失を抑え、乗客にできるだけ低価格で飛行機を利用してもらうための手段なのです。
このように、キャンセルがある程度発生することを見越して予約を受け付けるので、この推測が外れた場合にはオーバーブッキングが起こるのです。乗客には一見理不尽にも思えますが、オーバーブッキングは航空会社の運営上、正当な権利として認められています。
補償は?
かつてアメリカの航空会社でオーバーブッキングが起こり、乗客が無理やり引きずりおろされるというニュースがありましたが、日本ではオーバーブッキングで、乗客に強制的な搭乗拒否をすることはできません。
かわりに、協力金および代替交通手段を提示することで、自主的に便の変更などに応じる乗客を募る「フレックストラベラー制度」を設けています。
大手航空会社でのフレックストラベラー制度は以下のようになっています。
全日本空輸
乗客が、全日本空輸(ANA)でフレックストラベラー制度に応じた場合、振替便が当日であれば1万円、翌日以降であれば2万円の協力金を受け取ることができます。
また、ANAマイレージクラブ会員は協力金に代えて「AMCフレックスパートナー協力マイル」も選択でき、振替便が当日であれば1万円または7500マイル、翌日であれば2万円または1万5000マイルを受け取ることができます。
振替便が翌日以降になり宿泊手配が必要な場合には、「協力金」に加えて宿泊費および宿泊施設と空港間の交通費も負担してもらえます。宿泊手配が不要な場合には、全日本空輸の定める範囲で、自宅と空港間の交通費を負担してもらうこともできます。
また飛行機をキャンセルする場合は、手数料不要で航空券購入代金の全額を払い戻ししてもらうことも可能です。その際も「協力金」を受け取ることができます。
日本航空
日本航空(JAL)では、オーバーブッキングとなる便に予約済みで航空券も購入済み、かつ締め切り時刻までに手続きの申告をしている乗客を対象に補償を行っています。
振替便が当日の場合は協力金1万円または協力マイル7500マイル、翌日の場合は協力金2万円または協力マイル1万5000マイルとなっています。航空券の払い戻しを希望する場合には、所定の手数料が免除されたうえで、払い戻ししてもらえます。その際も協力金または協力マイルを受け取ることができます。
オーバーブッキングは航空会社の運営上必要
しっかりと予約しておいたのにオーバーブッキングで予定していた飛行機が乗れなくなってしまうと、その後の旅行やビジネスの予定が変わってしまいます。オーバーブッキングは避けたいものですが、航空会社の円滑な運営のためには仕方がないという側面もあります。
オーバーブッキングに遭うことは乗客としてはアンラッキーと考える人が多いでしょう。しかし、時間に余裕がありフレックストラベラー制度に応じることのできる場合は、補償金を使って、空港施設内をのんびり回ったり、空港内のレストランで名物料理を食べたりするチャンスだと前向きに考え、楽しく過ごしてみるのも良いかもしれません。
※ 2023/10/23 記事を一部、修正いたしました。
出典
全日本空輸株式会社 フレックストラベラー制度のご案内
日本航空株式会社 フレックストラベラー制度
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級