住んでいるアパートの家賃の値上げ通知がきました…応じなければいけない?
配信日: 2023.10.26
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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家賃の値上げは合法?適正家賃はある?
家賃の値上げは、当事者双方の合意があれば合法に当たります。しかし、借り主の合意なしで強制的に値上げした場合は違法になります。
家賃の設定については、国土交通省の「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改訂版)」に詳しくまとめられています。
●賃貸借契約の賃料は当事者間の合意によって決定される
●法定上の上限や標準賃料のような定めは存在しない
●一般的に立地・部屋の広さ・間取り・設備などの条件によって決められる
さらに家賃は、一度取り決めた場合でも一定の条件にあてはまれば値上げを提示できます。「借地借家法」第32条第1項によると、家賃の値上げができる正当な理由は以下の3点です。
●土地や建物に対する税金などが増加した場合
●土地や建物の価格が上昇するなど経済事情が変わった場合
●近隣の家賃相場と比較して不相応に低すぎる場合
家賃の値上げは拒否できる?交渉のポイント
家賃の値上げは双方の合意のもとで初めて合法となるため、借り主は拒否することも可能です。家賃の値上げを拒否する場合は、以下のポイントを押さえて交渉するとよいでしょう。
・値上げの理由や正当性を確認する
値上げの理由を大家や管理会社に確認して、データにもとづく根拠を提出してもらいます。自身で周囲の類似物件の家賃相場を調べて、値上げが妥当であるか確認しておくとよいでしょう。
・借りている物件に空き部屋があるか確認する
空き部屋の多い物件では、大家はこれ以上退去者が出ることを望まない場合がほとんどです。「できるだけ長く住みたい」旨を伝えることで、現状の家賃で承諾してくれる場合があります。
・値上げに応じる条件を提示する
例えば値上げ額が3000円の場合、1500円にしてもらうなど、値上げ幅の交渉も検討しましょう。値上げの時期を遅らせてもらう、または更新料を免除してもらうなどの交渉も有効です。値上げをする代わりに、宅配ボックス・防犯カメラ・インターネット回線などの新しい設備の導入を求めることもよいでしょう。
交渉がうまくいかない場合は?
交渉が進まないまま、契約の更新時期がくる場合があります。家賃の値上げを拒否する場合は、退去をお願いされることもあるでしょう。しかし、値上げ前の家賃を支払うことで、そのまま住み続けることは可能です。
支払った家賃を受け取ってもらえない場合は、法務局の「供託」制度が利用できます。法務局や地方法務局などの供託所に家賃を預けることで、家賃を払っていることを証明できる制度です。
また家賃の値上げに納得がいかないからと、家賃の滞納を行うことはやめましょう。家賃の滞納を理由に退去させられる可能性があります。
交渉を繰り返しても解決しない場合は、消費者相談窓口などの専門家に相談することをおすすめします。また、無理して住み続けるくらいならば、もう少し条件がよい物件に引っ越すという選択肢も視野に入れましょう。
家賃の値上げ通知がきても落ち着いた対応を!
借り主にとって、家賃の値上げはうれしくない知らせです。思わず慌ててしまったり感情的になったりする場合もあるでしょう。
しかし大家さんと争って関係が悪化すれば、家を借り続けることが難しくなります。落ち着いて冷静に交渉したり対処したりすることが大切です。また正当な理由があって値上げを通知された場合は、断固拒否をし続けるのではなく、双方が納得できる解決策を探すようにしましょう。
出典
国土交通省 賃貸借トラブルに係る相談対応研究会 民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(再改定版) 2.家賃 (1)家賃設定(30ページ)
デジタル庁 e-Gov法令検索 借地借家法 (借賃増減請求権)第32条第1項
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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