更新日: 2023.10.27 その他暮らし

ロケット1機はどのくらいの費用でできている? 飛行機の何倍くらい?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ロケット1機はどのくらいの費用でできている? 飛行機の何倍くらい?
2023年3月7日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)はH3ロケット試験機1号機(H3)の打ち上げに失敗しました。宇宙ビジネス競争は、やはりアメリカが先行しています。
 
そのため、日本は何としてもH3の打ち上げに成功して遅れを取り戻す必要がありますが、今回は残念な結果になってしまいました。ところで、H3には一体どのくらいの開発費が投入されているのでしょうか。本記事では、H3の開発費や宇宙に関する話題などを紹介します。
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H3の開発はなぜ必要か?

H3は、日本のJAXAが威信(いしん)をかけて開発している、低価格の次世代型大型基幹ロケットです。宇宙への物資の輸送を主な目的としていて、現在運用中のH2Aロケット(H2A)に代わって、今後20年間に6機程度の打ち上げに成功することが期待されています。
 
日本がH3の開発を進める背景には、宇宙開発に関するしれつなビジネス競争があります。アメリカや中国などが火星や月の開発を計画していて、そのための輸送に必要なロケット開発が世界各国で進行中です。
 
日本もアメリカと共同で宇宙開発事業に取り組んでいて、米航空宇宙局(NASA)が計画している「月周回有人拠点(ゲートウェイ)」への貨物輸送を担当することで合意済みです。ただ、ロケット開発はアメリカの民間企業「スペースX」がリードしていて、JAXAは大きく引き離されています。そのため、日本は何としても低価格で使いやすい次世代型大型ロケットの開発が必要なのです。
 

H3の総開発費はいくら? 飛行機や車と比べてみると

JAXAが70年近くにも及ぶロケット開発の経験やノウハウを注ぎ込んで開発したH3の総開発費は、約2200億円ともいわれ、大型旅客機のボーイング787-8型機の価格が約270億円との報告もあることから、その10倍を超えています。また、価格が220万円のコンパクトカーなら、約10万台分にもなります。なお、H3の打ち上げ費用は1機あたり約50億円です(H2Aは約100億円)。
 

宇宙に関する最近の話題を紹介

ここでは、宇宙に関する最近の話題を紹介します。
 

・H2Aの打ち上げに成功

JAXAは、2023年9月7日に種子島宇宙センターからH2Aロケット47号機(H2A)の打ち上げに成功しました。今回のH2Aには、日本初の月面着陸を目指す小型月着陸実証機(SLIM)と、X線分光撮像衛星(XRISM)が搭載(とうさい)されています。SLIMの月面着陸は2024年1〜2月頃の予定で、成功すれば日本初の月面への軟着陸となります。
 

・古川宇宙飛行士が2度目の宇宙へ

古川聡宇宙飛行士(59歳)が乗った宇宙船「クルードラゴン(スペースX)」が、2023年8月26日にアメリカ・フロリダ州から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられました。その後、無事に同ステーションに到着した同宇宙飛行士は約半年間の滞在期間中に、尿を浄化して飲料水に再生する装置の改良など、さまざまな科学実験を行う予定です。
 

・スペースXのロケット打ち上げが前年比の2倍に

2022年のアメリカの民間企業「スペースX」によるロケットの打ち上げ回数は61回で、前年比2倍増でした。これは、世界の打ち上げ総数の3分の1を占めていて、ロケットの打ち上げは事実上「スペースX」の独占状態といってもいいでしょう。
 

H3の打ち上げ成功に期待

JAXAは2023年3月7日のH3の打ち上げには失敗しましたが、それから半年後のH2Aの打ち上げには成功しています。もちろん、H3はH2Aの後継機のため、現時点でJAXAが目指す最大のミッションはH3の打ち上げ成功です。次回の打ち上げに期待が高まっています。
 

出典

JAXA 予算関連(予算推移、プロジェクト関連)

JAXA JAXAとは

JAXA H3ロケットとは

JAXA 歴史

JAXA H3ロケット試験機1号機 打上げ失敗原因調査状況

JAXA X線分光撮像衛星(XRISM)及び小型月着陸実証機(SLIM)の打上げ結果について

文部科学省 H3ロケット

 
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