高校の「授業料実質無償化」で親の負担額はどのくらい減る?
配信日: 2023.10.26
2020年4月には支援額が私立高校の平均授業料を勘案した水準まで引き上げられ、私立校も含め高校の学費が実質的に無償になりました。
では、実際のところ親の負担額はどのくらい減るのか、確認してみましょう。
執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)
CFP(R)認定者、行政書士
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高校の授業料
公立高校の授業料の支給上限額は、11万8800円です。私立高校は、学校により差がありますが、授業料の支給上限額は39万6000円です。この金額を支給することで、実質無償化と考えます。
図表1
出典:文部科学省 私立高校授業料実質無償化リーフレット
世帯年収により制限がありますが、モデル世帯のように年収が約590万円未満の場合、私立も含めて高校授業料が無償となります。また、実際にかかる授業料を支援するものですから、全日制以外の高校では支給額が変わります(例:私立通信制 29万7000円)。世帯年収については、以下の式で判断します。
両親2人分の市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除額
●計算結果が15万4500円以上30万4200円未満で、11万8800円の支給対象
●計算結果が15万4500円未満で、最大39万6000円の支給対象
なお、課税標準額はマイナポータルで確認できます。支給上限額の3年間の合計は、公立高校で35万6400円、私立高校で118万8000円になりますので、支給対象の方は確実に申請をしてください。
申請方法
高等学校等就学支援金制度の利用には、申請が必要です。自動的に授業料が無償になるわけではありません。また、申請は入学後になるため、いったんは授業料を支払わなければなりません。
申請が受理されて支援を受けられる場合、支援金は学校に支払われ、7月頃に支払った授業料が返金されます。
所得基準や計算方法、申請の必要書類や提出期限など、申請の流れは自治体や学校によって若干異なります。支給額のイメージ図はあくまでも目安と考え、学校からもらう案内などをよく確認するようにしましょう。
参考:高校にかかる教育費
高校に係る費用は、授業料だけではありませんので、学習費として計画を立てなければなりません。文部科学省が実態調査した結果は図表2のようになっています。
図表2
出典:文部科学省:令和3年度子供の学習費調査-結果の概要
(1)教育費:授業料、入学金、修学旅行費、学用品費、体育用品費、楽器等購入費、実験実習材料費、クラブ活動費、通学費など
(2)学校外活動費:保護者が、子どもの学校外活動のために支出した経費
あくまでも平均値ですので、授業料の支援対象か否か、部活、通学にかかる交通費など、家庭の状況によって実際の支出金額は違うことになります。教育資金の準備には、実際の費用を想定する必要がありますので、授業料実質無償化の制度をしっかり理解して計画を立てておきましょう。
出典
文部科学省:私立高校授業料実質無償化リーフレット
文部科学省 高等学校等就学支援金制度リーフレット
文部科学省:令和3年度子供の学習費調査-結果の概要
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士