国民年金保険料の催促と言って知らない業者から電話がありました。詐欺ではないでしょうか?
配信日: 2023.10.30
実は、国民年金保険料の未納の案内や催促は、日本年金機構が委託する民間の事業者が行っています。担当する民間委託事業者は地域によって異なるので、該当する業者からの電話連絡や郵送物は無視しないようにしてください。
本記事では、国民年金保険料の未納の案内や催促を行う民間委託事業者について、詐欺の疑いがある場合の対処法などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
国民年金保険料の案内を行う業者がいる?
国民年金保険料を未納している人に対する案内や催促は、日本年金機構ではなく民間委託事業者が行っています。民間事業者は未納になっていることを伝えたり、納付をお願いしたりするために電話をかける、文章を送付する、免除や納付猶予制度の案内を行っています。
ただし、自宅への訪問は令和5年5月以降実施していません。民間委託事業者は、図表1のように担当地域ごとに決まっています。
【図表1】
民間委託事業者 | 担当地域 |
---|---|
アイヴィジット・東洋紙業共同企業体 (代表企業:株式会社アイヴィジット) |
東京都(多摩地区)、山梨県 |
アイヴィジット・NTT印刷共同企業体 (代表企業:株式会社アイヴィジット) |
北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県、千葉県、富山県、石川県、愛知県 |
株式会社バックスグループ | 東京都(特別区・島しょ部)、埼玉県、神奈川県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県、滋賀県、京都府、兵庫県、大阪府、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、沖縄県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
出典:日本年金機構「国民年金保険料のご案内は、民間事業者に委託しています」
国民年金保険料を未納している場合、該当する民間委託事業者からの電話や郵送物などが届いても「知らない業者だから」といって詐欺を疑わないでください。また、民間委託事業者が国民年金保険料の案内や催促を行う際には、担当者の氏名や事業者名を名乗らないことはありません。
委託業者が自宅へ訪問・現金などの回収は行わない
先述のとおり、令和5年5月以降は民間委託事業者が自宅へ訪問するのは廃止となっています。
また、日本年金機構が民間委託事業者に提供するのは、案内をする際に必要な国民年金保険料未納者の情報だけです。民間委託事業者の担当者を名乗る者が自宅を訪問するのはもちろん、以下のような行為は有り得ません。
・未納になった国民年金保険料や手数料などを現金で徴収する
・金融機関やコンビニのATMにて操作を依頼する
・年金手帳や基礎年金番号通知書、年金手帳、年金証書、通帳やキャッシュカードなどを預かる
・代わりに手続きする
国民年金保険料が未納だと連絡してきた業者から、上記のような行為を求められても、一切応じないようにしましょう。
日本年金機構を装ったSMSや電話に注意
日本年金機構や各自治体では、不審なSMSや電話に対する注意喚起を行っています。
実際に以下のような報告事例があるなど、日本年金機構を名乗っているからといって安心してはいけません。トラブルに巻き込まれないためには、個人情報を教えたり、言われたとおりに現金を支払ったりしないようにしてください。
・日本年金機構の職員を名乗る者から「年金の支払いのために個人情報を教えなければ年金の支給を差し止める」とSMSや電話で言われた
・「国民年金保険料の還付金がある」と言われて、銀行名や口座番号などの情報を教えて現金を振り込んだ
詐欺の疑いがある場合は警察や年金事務所に確認
国民年金機構から年金の支払いを理由に個人情報を教えるように言われた、延滞金の支払いを求められた、還付金が戻るためには現金の支払いが必要と言われたなど、詐欺の疑いを感じたら、警察や年金事務所に相談や確認をしましょう。
即答したり応じたりせずに、一度電話を切る、訪問であれば帰ってもらうなどの対応が必要です。
警察や年金事務所に相談、確認する際には、電話をかけてきた人や訪問した人の個人名や事業者名、連絡先電話番号などをメモしておくと詐欺かどうかの判断をスムーズに行えます。
国民年金保険料の催促は民間の委託業者が行っているが詐欺にも注意!
国民年金保険料を未納していて、日本年金機構以外の業者から案内や催促を受けることは有り得ます。日本年金機構が民間の業者に対して、案内や催促の業務を委託しているからです。「知らない業者だから詐欺だろう」とすぐに疑うのではなく、電話や郵送物の内容は必ず確認してください。
ただし、自宅への訪問、保険料や手数料を現金で徴収しようとする、個人情報を聞き出そうとするような場合は、詐欺の可能性も高いです。警察や年金事務所に相談、確認するなどして、すぐに応じないようにしましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料のご案内は、民間事業者に委託しています
日本年金機構 日本年金機構の職員や委託事業者などと称して、現金を詐取する「不審な電話や訪問」にご注意ください
日本年金機構 振り込め詐欺ではないか心配なのですが、見分けるにはどうすればいいですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー