更新日: 2023.11.07 子育て
子育てにはすごくお金がかかるようですが、具体的にいつごろからたくさんかかるのでしょうか?
一説では子ども1人あたりの養育費は3000万円※1ともいわれていますが、実際にどれくらいの金額がかかるのでしょうか? 子育て期間のどのタイミングで多くの支払いが必要になるのか解説していきます。
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。
子育てにかかるお金はどれくらい?
子育てには、一説によると子ども1人あたり3000万円のお金が必要になるといわれています。これはマイホームの購入費用に匹敵する金額のため、多すぎると感じるかもしれません。
しかし、子育てで増加する支出項目には、食費や雑費といった生活費や通学に必要な教育費のほか、塾や習いごとの月謝やスマートフォンなどの通信費もふくまれます。
また、世帯主などの収入を得ている方が病気やけがなどで働けなくなった場合に備え、保険金額も手厚くする必要があるため、保険料負担も増加します。
このように世帯人数の増加による家計支出への影響は広範囲にわたるため、費用が高額になる可能性があります。
子育て費用の必要額とタイミングは?
主な子育て費用として教育費と習いごとの月謝の傾向を確認しておきましょう。教育費の家計負担は基本的に幼稚園に入園するころから生じ、学年・進学とともに増加していきます。
特に大学進学後は家計負担が大きく増加していきます。仮に小学校から大学まで全て私立に通った場合、必要な教育費の総額は約2200万円で、中学校までは公立に高校・大学は私立に通った場合の教育費は総額約1280万円です。
教育費は進路によって大きく変動する点に注意が必要です。また、高校の授業料無償化については世帯年収等によって制限があるので注意が必要です。
次に習いごとの月謝ですが、株式会社バンダイが実施した「習い事に関する意識調査」によると体力づくりを理由に未就学児のうちから習いごとをはじめるケースが多いようです。こちらも基本的に年齢と共に家計負担が増加していく傾向にあります。習いごとに関する平均的な月謝は約1万3600円となります。
この月謝を18年間にわたって支払った場合、約300万円の支出となり、主な子育て費用の合計額は最大でおよそ2600万円になります。この他にも子どものための生活費やお小遣いなどを合わせると3000万円は現実的な金額といえるでしょう。
ちなみに文部科学省が令和3年度に実施した子ども1人当たりの学習費(学校教育費、学校、給食費、学校外活動費)の調査は表1のとおりとなっています。
表1
公立幼稚園 | 16万5126円 |
私立幼稚園 | 30万8909円 |
公立小学校 | 35万2566円 |
私立小学校 | 166万6949円 |
公立中学校 | 53万8799円 |
私立中学校 | 143万6353円 |
公立高等学校(全日制) | 51万2971円 |
私立高等学校(全日制) | 105万4444円 |
多岐にわたる子育て費用。おのおのの資金性質に注意を
支出には、金額が不確定である、分割払いができず一時金で支払う必要があるなど、それぞれに特徴があります。
例えば、人生でも高額な支出のひとつであるマイホームの購入費用は、費用総額をある程度固定することができ、支出するタイミングは購入者がコントロールすることができます。
子育て費用も例外ではなく、教育費は支出額・タイミング共に定まっているため、資金計画が立てやすいですが、塾などの習いごとの費用は子どもの意思によっても左右されます。教育費・習いごとの月謝のいずれも支出額やタイミングを完全にはコントロールできないため、余裕をもった資金計画を立てるようにしましょう。
まとめ~子育て費用の家計負担は大学在学時に最大化する~
一説によると子ども1人あたり3000万円ほどといわれていますが、大学まで私立に通い平均的な月謝を支払い続けた場合、これらだけで総額2600万円に達し、さらに生活費の増加などを合わせると、やはり3000万円は子育て費用の目安となる金額といえます。
子育て費用の家計負担は子どもの年齢とともに増加していき、大学在学時に最大化するため、大学進学に向けて資金の準備を進めていくとよいでしょう。
しかし、子育て費用は子どもの意向も関わってくるため、必要額や支出のタイミングを完全にコントロールすることはできません。子育て費用をプランニングする際はおのおのの支出の性質を踏まえた上で資金計画を立てていかないと最終的に資金不足に陥るおそれがあるため、余裕を持った資金計画と定期的な見直しを行っていくことが重要です。
出典
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表