成年年齢引き下げによる消費者トラブルの傾向 知っておきたいクーリング・オフ

配信日: 2023.11.09

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成年年齢引き下げによる消費者トラブルの傾向 知っておきたいクーリング・オフ
2022年4月1日の民法改正の施行により、成年年齢が18歳に引き下げられました。改正によって18歳になればさまざまな契約ができるようになりましたが、それに伴う消費者トラブルの増加が懸念されています。
 
この記事では、18歳・19歳を中心とする若者が巻き込まれる消費者トラブルの傾向や、その際の対処方法の1つである「クーリング・オフ」について確認したいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

18歳・19歳の消費者トラブルの傾向

独立行政法人国民生活センターは、2022年度の消費者トラブルに関する相談件数を公表しています。
 
以下の図表1は、契約当事者が18歳・19歳の商品・サービス別の相談件数で、2021年度と比較して増加した上位10位を示したものです。
 
【図表1】

図表1

※独立行政法人国民生活センター 「18歳・19歳の消費者トラブルの状況-成年年齢引下げから1年-」より筆者作成
 
件数が増加したものの特徴として、1位「脱毛エステ」や2位「医療サービス」(美容医療が中心)のほか、8位「エステティックサービス(全般)」など「美(び)」に関する相談が挙げられます。
 
また、4位「他の内職・副業」、7位「金融コンサルティング」(FX自動売買システムなど)といった「お金」に関するものも上位となっており、5位の「コンサート」(チケット)も増加傾向にあります。
 
この結果から、特に若年層が関心を示しやすい「美」や「お金」に関する商品・サービスでの消費者トラブルが増加していることが明らかに分かります。
 

特定商取引法によるクーリング・オフ

成年年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳・19歳の若者が契約した場合に未成年者を理由とした取消権が行使できなくなりました。
 
消費者を守るための法律として、「特定商取引法」「消費者契約法」「電子契約法」などがありますが、ここでは特定商取引法の「クーリング・オフ」について確認します。
 
消費者が契約書などの書類を受け取った日を起算日として、一定の図表2にある取引については、クーリング・オフ(無条件で契約を解除できる制度)を利用できる場合があります。
 
【図表2】

図表2

※金融広報中央委員会 「18歳までに学ぶ契約の知恵」より筆者作成
 
クーリング・オフを利用する場合には、必ず書面(またはメールなど電磁的記録)により事業者に対して期限内に通知しなければなりません。
 
また、特定継続的役務提供や連鎖販売の要件に該当する場合には、クーリング・オフの期間が過ぎても中途解約できるケースもあります。
 

まとめ

特定商取引法によるクーリング・オフのほかにも、消費者契約法では、重要事項に関する不実告知や不利益事実の不告知があった場合に契約の取り消しができます。
 
また、電子契約法ではパソコンやスマートフォンでの申し込みで確認画面を設けることを求めており、事業者がそれらの措置を講じていない場合は契約を解除できると定めています。
 
このような消費者を守るルールがあることを理解するとともに、決して1人で悩むことなく、最寄りの消費生活センターなどに相談することが重要です。トラブルが起きたときは、全国共通の電話番号で相談窓口を案内している消費者ホットラインを利用してください。
 

出典

独立行政法人国民生活センター 18歳・19歳の消費者トラブルの状況-成年年齢引下げから1年-
金融広報中央委員会 18歳までに学ぶ契約の知恵
消費者庁 消費者ホットライン
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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