「礼金」ってなんのために払うんですか?「敷金」は理解できますが、礼金は払う意味が分かりません。払わないことはできないのでしょうか…?
配信日: 2023.11.11
敷金が物件の保証金としての意味合いが強いのに対し、礼金は入居者の気持ちを伝える「礼」の意味合いが強く、日本の賃貸文化において重要な役割を果たしています。本記事では、礼金の歴史やなぜ必要なのかについて紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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礼金の起源と歴史
礼金の起源は江戸時代にさかのぼります。当時の江戸では、家主に対する礼金の支払いが習慣として定着していました。礼金の金額は家賃の1~2ヶ月分が相場で、この習慣は庶民の間でも広く浸透していました。
また、現在のような敷金制度がまだなかった時代背景もあり、礼金が後の敷金制度の起源の1つとなったと考えられています。
このように、江戸時代から家主への敬意の意味を含む礼金習慣が生まれ、その文化が現在の日本の賃貸習慣にも引き継がれているといえます。当時の江戸の庶民は生活する家を大切にし、家主との関係を重視する傾向が強かったとされています。
そのため、家主に対する礼儀正しさを礼金の支払いで表現し、良好な人間関係の構築に努めていたのです。この精神は現代にも引き継がれ、礼金の意義が失われていない大きな理由の1つと考えられています。
なぜ今でも礼金が払われるのか
今でも多くの場合に礼金が払われている主な理由は大きく2つあります。
1つ目は、賃貸人との良好な人間関係構築のためです。礼金を支払うことにより、家主に対する感謝の気持ちを表すとともに信頼関係の基礎を築くことができます。物件への感謝の思いを金銭的に表現することで、入居者と家主の間に好循環を生み出す効果があると考えられています。
実際には家主ではなく仲介会社が礼金を受け取りますが、最終的には家主へ渡るので心配はいりません。
2つ目の理由は、日本の賃貸文化の中で礼金がしっかりと定着している習慣であることです。欧米先進国ではほとんど例を見ない礼金制度ですが、日本では多くの場合で当たり前のように払われ続けています。
これらの理由から、礼金が単なる金銭の授受ではなく、人と人との関係性を構築する上で重要な意味を持っていると思われます。入居者が礼金を支払うことで、家主との信頼感が醸成され、より円滑な賃貸生活を送る上での第一歩となります。礼金の意義を理解した上で、適正な金額を支払いましょう。
礼金の相場
礼金の金額は、家賃の1~2ヶ月分が一般的な相場とされています。ただし地域による差異もあり、都心部をはじめ人口密度が高く需要もあるエリアでは2ヶ月分程度が多く、地方では1ヶ月分程度が基準となるケースが多いようです。
また中には現金で直接家主に手渡すのがマナーとされる地域もあるようです。領収書の発行は任意ですので、必要であれば事前に依頼します。また5万円以上の領収書には収入印紙の貼付が義務です。領収書を求める側に罰則はありませんが、覚えておくとよいでしょう。
このように地域差はあるものの、一定の礼金のルールが共有されているのが日本の賃貸文化の特徴といえます。礼金の金額を決定する際には、物件の立地条件や設備の充実度合いなどを考慮して、ある程度の金額の幅は認められています。地域の相場や物件の条件に応じ、適当な金額かどうか判断しましょう。
礼金を払うか払わないかはよく考えて判断する
以上のように、礼金は日本の賃貸文化に根付いた習慣で、オーナーへの敬意と感謝の気持ちの表明が主な目的です。ただ、実際にはあってもなくても構わない不必要な費用と考えて最近は礼金なしの物件が好まれる傾向も否定できません。
金額やマナーに関するルールもありますので、礼金を正しく理解した上で要不要を判断しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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