子どもが急遽「入院」することに! 大部屋希望でも「個室」しか空いてない場合、「差額ベッド代」は請求される? 不要になるケースについても解説
配信日: 2023.11.11
本記事では、本人が希望していないにもかかわらず病院側の事情などで個室に入った場合、差額ベッド代は後日請求されるのかどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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差額ベッド代の仕組み
差額ベッド代とは、大部屋以外の個室(正式には「特別療養環境室」と呼ばれる)などの環境で入院する際に必要となる料金です。入院環境の快適性向上や患者の選択機会を広げるために導入され、通常の入院費とは別で料金負担が発生します。差額ベッド代は公的医療保険の対象外となるため、全額自己負担です。
厚生労働省の中央社会保険医療協議会が公表した「主な選定療養に係る報告状況」では、2022年7月1日時点の「1日当たりの平均徴収額」は1人部屋が8322円、2人部屋は3101円です。
特に1人部屋は他の部屋に比べてよりプライベート空間が確保できるため、利用料金が高くなる傾向があります。あくまで全国平均のため、場所によってはさらに金額が上がることもあります。
差額ベッド代が不要となるケース
本来個室などは患者が希望する場合に提供されるサービスの1つであり、患者の同意がない場合に差額ベッド代は原則かかりません。病院側も患者に対して差額ベッドの仕組みや設備、料金体系などを明確に説明する必要があります。
・患者から同意書による同意の確認を行っていない場合
・患者本人の「治療上の必要」により差額ベッド室に入院した場合
・病棟管理の必要性等から差額ベッド室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合
以上に当てはまる場合は、差額ベッド代を請求してはいけないとされています。
大部屋希望でも個室しか空いていなかった場合は請求される?
患者の同意がない限り差額ベッド代はかからないため、大部屋を希望する患者が病院の判断で個室に入る場合は、患者本人の負担は発生しません。
ただし「患者の同意」をめぐって本人と病院側でトラブルが発生することも少なくありません。例えば、患者側は個室利用への同意を行ったつもりがない一方で、病院側は「患者が実質的に利用を希望した」と訴えるパターンです。
なぜこのようなことが発生するのでしょうか。
背景にはさまざまな可能性が考えられますが、患者側が「差額ベッド代が発生するのは個室(1人部屋)を使った場合のみで、それ以外は当てはまらない」と認識しているケースもあるかもしれません。
実際に差額ベッド代がかかるのは1人部屋だけでなく、2人から4人部屋まで含まれます。そのため病院が行うアンケートなどで「4人部屋まで希望」といった旨を記載すると個室利用を希望しているとみなされ、差額ベッド代を請求されることがあります。
このようなトラブルを防止するためには病院から提示された書類は必ず確認して「差額ベッド代が請求される部屋への自発的な入室は希望しません」などと明確に意思表示することをおすすめします。
まとめ
本記事では、子どもが夜中に救急搬送されて入院が決まって個室しか空いていなかった場合、大部屋希望でも後で差額分を請求されるのか解説しました。
差額ベッド代は高額療養費制度の対象外となり公的医療保険でカバーされないため、患者や家族にとって大きな負担となるおそれもあります。
差額ベッド代のトラブルを防止するためにも、個室への入室を希望しない場合はその旨を病院スタッフにしっかり伝えましょう。入院時に必要となる手続きでは渡される書類をしっかり確認し、疑問や不安な点を解消したうえで署名することをおすすめします。
出典
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 主な選定療養に係る報告状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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