更新日: 2019.01.10 その他暮らし

農業人口の減少に歯止めを!農業を始めたい人を応援する様々な支援策は?

農業人口の減少に歯止めを!農業を始めたい人を応援する様々な支援策は?
夏の甲子園での金足農業高校(秋田)の躍進(農業を志す若者の活躍)は衰退産業とされる農業に携わる多くの方に元気を与えたのではないでしょうか。
 
農林水産省によれば、2,000年に389万1千人だった農業就業人口は昨年には181万6千人となり、農業人口の減少が著しく、高齢化などにより衰退の一途をたどっています。
 
しかし、農業離れの一方で、あえて農業に取り組む人たちもいます。農林水産省では、農業を始めたい人を応援する様々な支援をしています。いくつか紹介します。
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

農業を学ぶには

道府県立の農業大学校や民間の農業教育機関などで農業を学ぶことができます。高卒程度の学力があり、入学時点で40歳未満の方などが対象です。
 
道府県立の農業大学校は学費等が安いのが魅力です。例えば、北海道立農業大学校(2年)畜産経営学科・畑作園芸経営学科の授業料は年間約16万円、教材費諸経費、資格取得費は1年生20万円程度・2年生50~60万円程度(海外農業視察研修費用を含む)です。
 
寮費は月額2,070円~2,690円、光熱水道費実費、食費は年間33万円程度です。道外の方でも入学できます。農業の基礎的な科目から履修できるようになっていますので、農業高校出身でなくても授業についていくことは可能です。
 
一般社団法人アグリフューチャージャパンが運営する日本農業経営大学校(2年)は、卒業後、独立就農、自家を含めた農業経営体に就農又は雇用就農し、農業に従事することが確実と見込まれる者で、未来を切り拓く農業経営を志す者が対象です。
 
入学時までに一定期間の農業従事、農業研修経験が必要です。授業料は年間60万円、寮費(朝・夕食含む)は年間100万円、その他実習費用がかかります。

就農準備の支援

道府県立の大学校や都道府県が指定する先進農業・先進農業法人等で研修を受ける人で一定の要件を満たす方には「農業次世代人材投資資金(準備型)」が交付されます。
 
次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする趣旨で、年間150万円、最長2年間交付されます。
 
ただし、研修終了後1年以内に就農しなかった場合などは交付を受けた資金は返還しなければなりません。なお、専修学校に位置付けられている大学校では、日本学生支援機構の奨学制度を利用できます。

就農開始の支援

新たに農業経営を営もうとする青年等で、市町村から自らの農業経営の目標などを記した「青年等就農計画」の認定を受けた人(認定新規就農者)には5つのメリットがあります。
 
1.「農業次世代人材投資資金(経営開始型)」の交付
2.青年等就農資金(無利子)の借入れ
3.経営体育成支援事業の補助
4.農業経営基盤強化準備金制度の利用
5.経営所得安定対策への加入

 
上記のうち主なものを見てみましょう。
 
●「農業次世代人材投資資金(経営開始型)」の交付
農業を始めてから経営が安定するまでの方で、一定の要件を満たした方は、年間最大150万円、最長5年間、資金が交付されます。
 
ただし、適切な営農活動を行っていない場合や交付終了後、交付期間と同期間の営農を継続しない場合は交付された資金を返還しなければなりません。
 
●青年等就農資金(無利子)の借入れ
認定新規就農者は、施設や機械等の取得(農地等の取得は除く)に必要な資金を日本政策金融公庫から無利子で借りることが可能です。
 
借入限度額は3,700万円(特認限度額1億円)、据置期間5年以内、償還期間12年以内、実質無担保。無保証人です。

保険への加入で経営リスクに備える

自然災害や価格低下など農業経営のリスクに備えて「収入保険」や「農業共済」に加入できます。農業共済は、自然災害による収量減少が補償の対象です。
 
価格の低下や為替変動による収入減少は対象外です。また、対象品目も主な作物に限定されています。
 
収入保険(平成31年1月スタート)は、ほぼ全ての品目が対象で、自然災害だけではなく、価格の低下や為替変動による収入減少も補償の対象です。
 
具体的には過去5年間の平均収入が1,000万円の農業者が、補償限度90%(保険80%+積立10%)、支払率90%を選択した場合、農業者が用意すべきお金は、加入1年目の保険料(掛け捨て)3.6万円と積立金(掛け捨てではない)22.5万円と事務費2.2万円の合計32.5万円となります。
 
万一の場合の補てん金額は収入減少の程度に応じて810万円~890万円になります。
 
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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