会社員は20年以上勤めてから辞めたほうが得のワケ
配信日: 2018.09.20 更新日: 2019.01.10
これは、扶養手当のようなものです。現在、独身の方でも、65歳の2日前までに婚姻届けを出せば加給年金の対象になります。加給年金のポイントを解説します。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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加給年金をもらうための条件
加給年金をもらうための条件は、本人が厚生年金に原則20年以上加入していること、配偶者がいること、その配偶者の年収が850万円未満であること(生計を維持されていること)、配偶者は厚生年金に20年以上加入していないことが必要です。
この条件を満たすと、本人が65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)から配偶者が65歳までになるまで加給年金をもらえます。
配偶者が65歳になると加給年金の受給権はなくなりますが、代わりに配偶者の老齢基礎年金に振替加算が付きます。振替加算は一生涯受け取ることが可能です。離婚しても振り込み加算がなくなることはありません。
このように、加給年金は厚生年金加入者であった本人の年金にプラスされるもの、振替加算は配偶者の年金にプラスされるものです。分かりやすいように、以下、本人を夫、配偶者を妻と仮定して説明します。
いくらもらえるの?
加給年金額は、夫(受給権者)の生年月日によって異なります。昭和18年4月2日以降の場合、平成30年度、年額389,800円(加給年金額224,300円+特別加算額165,500円)になります。
振替加算の額は妻が昭和61年4月1日に59歳(大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれ)の方は、配偶者加給年金額と同額の224,300円で、年齢が若くなるごとに金額は下がっていき、昭和61年4月1日に20歳未満(昭和41年4月2日以降生まれ)の方には支給されません。
子どもの加給年金額(年額)は、第1子・第2子は各224,300円、第3子以降は各74,800円となります。子どもが18歳到達年度の末日(1・2級の障害ある子どもは20歳未満)まで支給されます。
加給年金をもらうためのポイント
●年収850万円未満とは?
加給年金を請求する時の妻の年収が850万円以上であっても、5年以内に850万円未満になる見込みであれば夫は加給年金をもらえる可能性があります。
●配偶者の厚生年金加入期間は19年11月までとする
共働きで夫婦とも厚生年金に加入している場合、両方とも20年以上加入すると加給年金はもらえません。たとえば、年下の妻の厚生年金加入期間を19年11月までとし、後は国民年金に加入します。そうすれば、加給年金が支給されます。
●妻が年下の場合
例えば、夫が20年以上厚生年金に加入している場合、妻が65歳になるまで、夫に加給年金が支給されます。年の差があるほど、夫は長く加給年金を受け取れます。加給年金額(特別加算額含む)は年額約40万円ですので、妻が5歳年下であれば約200万円、10歳年下であれは約400万円、20歳年下であれば約800万円、加給年金をもらえることになります。
一方、年上の妻の場合は、加給年金はもらえません。ただし、夫が65歳になった時点から妻の老齢基礎年金に振替加算がプラスされます。
●独身者は65歳になる2日前までに婚姻届けを出すと加給年金をもらえる
配偶者がいない場合、加給年金は支給されません。しかし、65歳になる2日目までに婚姻届けを出せば加給年金をもらうことが可能です。なお、配偶者は法律婚のほか、事実婚も含みます。これから婚姻する方、再婚する方は、年の離れた若い配偶者ほど加給年金は多くもらえます。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。