更新日: 2023.11.30 子育て
子どもがゲームで成人だと、うそを入力して課金してしまった……どうしたらいい?
もし、子どもが「成人している」と、うそを入力して課金してしまった場合、取り消すことができるのでしょうか。子どもが親に内緒で課金してしまうトラブルを防ぐには、どうすればよいのでしょうか。
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
プラットフォームへ申し出を
民法第5条には、未成年者(子ども)が法定代理人(保護者)の承諾なしに契約を結んだ場合、契約を取り消すことができるとあります(未成年者取消権)。判断能力が不十分な未成年者を保護するためのものです。また、子どもが親の承諾を得ずに締結した契約は、子ども自身でも親でも取り消すことができます(民法120条)。
では、どこに「子どもが勝手にやったこと」を申し出ればよいのでしょうか。
オンラインゲームでの課金は、プラットフォームのアカウントを通じて行われます。プラットフォーム事業者とは、オンラインゲームの配信や有料コンテンツの取引、課金決済を管理している事業者です。アカウントでの課金は、アカウントの所有者に請求されます。よって、課金をしたアカウントから、プラットフォーム事業者に申し出ます。
しかし、子どもが親のスマートフォンや家庭用ゲーム機で、親のアカウントでログインして課金決済した場合は、アカウントの所有者である親が決済したとみなされ、取り消しが難しくなります。
プラットフォームの事業者から返金が難しい場合は、ゲーム会社に申し出ることもできますが、「子どもが、親の承諾を受けずに勝手に課金した」ことの事実確認は難しいため、取消が認められないことがあります。
「成人である」と偽った場合
未成年者取消権、これはどんなケースでも取り消しできるというものではありません。契約相手に「成人である」と信じさせるための詐術をした場合、また、親の同意があると偽った場合は利用できなくなります。
オンラインゲームの場合、使用している人が成人しているかどうか、親の同意を得たかどうかの確認ができないことから、この部分が大きな問題となります。
もし、年齢確認画面で成人と偽っていると、プラットフォーム事業者やゲーム会社が子どもの課金だと判断できないので、取消や返金は難しいでしょう。
ただ、詐術を用いたといえるかどうかは、具体的な事情を踏まえて総合的に考え、実質的な観点から判断されるとされています。困った場合、消費者ホットラインや、お住まいの地域の消費者センターに相談しましょう。
家族で課金のルールを決め、ペアレンタルコントロールの利用を
親が知らない間の子どものゲーム課金、防ぐ方法はないのでしょうか。消費生活センターに寄せられた子どものゲーム課金の相談から、以下のような問題点が見られます。
●保護者の携帯、保護者アカウントでログインしたゲーム機を子どもに使わせていた。
●決済時のパスワードの設定をしていない。クレジットカードの管理が十分でない。
●決済完了メールの見落としていたための、課金に気がつかなかった。
●子ども自身にお金を使っている認識がない。
(引用:独立行政法人 国民生活センター 令和3年8月12日 報道発表資料より)
まず、オンラインゲームでの課金ルールを家族で話し合いましょう。友だちやインターネットから誤った情報を得ているケースもあります。コインやアイテムに「お金を払っている」ことを認識させましょう。保護者も、クレジットカードやお金を子どもが勝手に持ち出さないよう、管理を十分にしましょう。
子どもに親のアカウントを使わせると、相手には親がやっているとしか見えません。課金を取り消すことが難しくなります。親のアカウントを使わせないことです。ペアレンタルコントロールという、親のアカウントで子どものアカウントを管理する方法もあります。
もし、子どもに親のスマートフォンを使わせる場合、アカウントのパスワード、決済時のパスワードの設定を確認しましょう。クレジットカードが登録済みのスマートフォンでは、パスワードの設定がないと確認されることなく即時に課金ができてしまいます。
決済完了メールは、普段使用しているアドレスになっているか確認しましょう。課金に早めに気づけば、高額になることを防げます。
子どもの成長とともに、少しずつ子どもが自分で判断できるようにしていくことが大切です。
出典
独立行政法人 国民生活センター 未成年の子どもが成人と偽ってゲームに課金した
独立行政法人 国民生活センター 未成年の子どもがスマホゲームで高額課金してしまった!
独立行政法人 国民生活センター 「スマホを渡しただけなのに…」「家庭用ゲーム機でいつの間に…」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?(令和3年8月12日報道発表資料)
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者