更新日: 2023.12.04 その他暮らし

正直インフレについてよく分かっていません。出回るお金が増えればそれで解決ではないのですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

正直インフレについてよく分かっていません。出回るお金が増えればそれで解決ではないのですか?
モノやサービスの価格が上がる「インフレ」についての是非が、さまざまな媒体で議論されています。そもそも、議論になる理由や、インフレの本質がよくわからないという人も少なくありません。物価が上がり、多くの人がお金を使うようになれば社会に出回るお金の量も増えるので、それでよいのではないかと考える人もいるでしょう。
 
今回は、インフレについて掘り下げ、可能な限り本質へと近づいてみます。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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インフレは2つの種類に分けられる

インフレとは、その原因により2つに大別されます。モノやサービスを作るためのコストの上昇により価格が上がる現象が「コストプッシュインフレ」です。一方で、需要が高まり価格上昇が起こる現象を「ディマンドプルインフレ」と呼びます。
 
通常、物価は、原料や人件費などのコストに利益を上乗せして決定されます。例えば、1000円の商品があったとして、これを作るのに300円のコストがかかったとすれば、売れたことによって得られる利益は700円です。
 
コストプッシュインフレによりコストが500円になった場合、販売価格が1000円のままでは利益は500円と減ってしまいます。インフレ前と同じ利益を得ようとすれば、価格は1200円に上げる必要があります。
 
次に、ディマンドプルインフレの場合を考えてみます。その商品を欲しいという人が増えれば、1000円の商品を1200円にしても売れるでしょう。需要の高まりにより値上げしたため、コストは300円のままです。
 
つまり、利益は900円となります。同じ1200円に値上げしたにもかかわらず、コストプッシュインフレでは利益はそのままで、ディマンドプルインフレでは利益が増える点がポイントです。
 
上記の例は、あくまでも単純な計算による比較です。しかし、利益が増えれば従業員の給料が上げられるため、同じ値上げであれば、ディマンドプルインフレの方が社会に与える影響はプラスになるといえるでしょう。
 

日本で起こっているインフレとは

コロナ禍以降、日本で起こっているのはコストプッシュインフレです。戦争などの外的要因や円安になるような金融政策により、エネルギーや輸入品の価格が上がっています。給与を上げる企業も増えてはいるものの、国民全体にまでは波及していません。
 
そもそも、デフレ脱却のために日本が目指していたのは、金融緩和政策によるディマンドプルインフレです。そういう意味では、意図しないインフレが起こっているともいえます。とはいえ、デフレとはいえない状況になっていることに対し、よい兆候と捉える人もおり、この視点も重要です。
 
確かに、物価が上がれば生活必需品などに使うお金は増えるでしょう。しかし、それだけで必ずしも社会に出回るお金が安定して増え続けるとはいえません。従業員の給与が上がりにくいコストプッシュインフレのままでは、買い控えする家庭も増えるためです。
 
今後、為替や世界情勢の影響で、インフレの状況も変わってくる可能性があります。それでも給与を上げ続ける企業があれば、徐々にではありますが国民全体へと波及し、出回るお金の量はさらに増えていくでしょう。結果的にディマンドプルインフレへと移行し、日本の景気も次第に回復する未来もあります。いずれにしても、自分の資産は自分で守る意識と行動が大切です。
 

インフレの原因によって結果は異なる

コロナ禍以降に日本で起こっているインフレはコストプッシュによるものです。需要の拡大により生じるディマンドプルインフレとは異なり、従業員の給与を上げる効果は限定的でしょう。
 
しかし、デフレから脱却しつつあるのはよい兆候といえます。また、為替の動向や世界情勢にも影響を受けるため、日本の物価状況は流動的です。よい状況になるのを待つだけではなく、個々人が自分の資産をどう守るかを考える必要があります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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