更新日: 2023.12.16 その他暮らし
18歳、19歳の新成人が直面する消費者トラブルにはどんなものがある? その2 具体的な事例
「その2」では、さらに具体的な事例をいくつか挙げて、実際にどんな形で契約を強要されたのか、共通するパターンから新成人が消費者トラブルに巻き込まれやすい要因について考えていきます。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。
ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。
FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。
2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。
現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。
早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。
サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow
具体的な消費者トラブルの事例
まずは具体的な消費者トラブルの事例について確認してみましょう。以下の事例は、全国の消費者センター等に寄せられた相談をもとに、独立行政法人 国民生活センターが公表している資料の内容を要約したものです。
なお、すべての事例の当事者が新成人とは限らず、未成年者のケースも含まれますが、消費者トラブルの本質は変わりません。
・事例1 (10代女性)
友人から聞いた脱毛エステで1年間の契約を勧められたものの、40万円近い金額になるので一括払いはできないと伝えたが、クレジットカードを作って分割払いにすればいいと言われて契約してしまった。帰宅後に考え直し、高額な契約なのでクーリングオフしたい。
・事例2 (10代女性)
コンサートチケットを入手するためにSNSで検索し、他より安価で譲るという相手を見つけた。
前払いとしてチケット代金の約半額の支払いを求められ、購入した電子マネーギフトカードの番号を伝えたが、相手とは連絡が取れなくなった。
・事例3 (10代男性)
無料で副業の情報を提供するとうたったサイトに登録したが、実際には初心者に分かりやすいプランを勧められ、その代金として8万円を支払った。その後、さらにマニュアル代を請求されたので、解約を申し出たら解約料が発生すると言われた。
・事例4 (10代女性)
無料エステの体験後、断ったにもかかわらず別室へ案内されて、しつこい勧誘を断り切れず約20万円の全身脱毛コースを契約した。初回の施術の際に頭金として7万円を請求されたが、持ち合わせがないと言ったら、スマホを勝手に使われてリボ払いでキャッシングされ、事業者の口座に送金された。契約を取り消したい。
・事例5 (10代女性)
動画投稿サイトで「初回無料、送料500円のみ」というダイエットサプリメントの広告を見て、1回限りの購入のつもりで申し込み、クレジットカード払いなら100円で購入できるが、高校生でクレジットカードは持っていなかったのでコンビニ等の後払いを選択した。
購入後に販売サイトを確認すると、小さな文字で「2回継続が条件」と記載されており、2回目の商品を受け取った6日後に代金が約3万5000円となっていた。2回目の代金は支払えないので、販売業者に連絡したが電話がつながらない。
具体的事例から考えるトラブルの要因
これらの具体的な事例では、若者の知識不足や勧誘に流されやすいことが悪質な業者や相手に付け込まれた結果、消費者トラブルに直面しています。ケースはさまざまですが、そのなかで若者が消費者トラブルに巻き込まれる要因として以下が共通します。
1. 契約や金融に関する知識の不足
契約の内容を理解せずに署名したり、うまい話にだまされたりして高額な契約をしてしまうことがあります。これらは契約内容をきちんと確認・把握していなかったり、契約に関する知識不足だったりすることが原因となっています。
また、お金がないと相手に伝えても、借金やクレジットカードでの分割払いを勧めてくるという手口は、金融知識の乏しさに付け込んでいるといえます。これは若者だけでなく、年齢に限らず同じことがいえるでしょう。
2. 契約行為および人生経験の不足
若者の場合は知識不足のほかに、経験の不足によって勧誘を断りにくい状況に置かれやすいことも、トラブルに巻き込まれる大きな要因です。
これは契約行為自体に関する経験だけではなく、人生経験がまだ浅いことから人を信じやすく、だまされやすい、または疑わしいと思っても抵抗しにくい弱みを利用して、若者に不利な契約をさせる悪質な手口といえます。
また、勧誘者が高級なブランド品を身に着けている、豪華なオフィスで勧誘を行うなど、雰囲気で契約を断りにくくするのも一つの手法です。
無料エステのあとで別室に連れ込まれて高額の契約を強要され、後日、スマホを勝手に操作してキャッシングで支払いをされた事例などは、疑わしいと思っても、その場の雰囲気に圧倒されてNOといえない若者の弱みを突いた悪質な行為です。
まとめ
ここで取り上げた事例からは、新成人となったばかりの若者は知識や経験の不足だけでなく、悪意を持った相手から見れば圧力をかけやすい、簡単にだましやすいと思われていることが、消費者トラブルに巻き込まれる大きな要因といえます。
そのため、一定期間であれば契約を解除できるクーリングオフやなど、契約や消費者保護についての知識を身に付けるほか、少しでも不審に思ったときは、やはり家族や信頼できる人に相談することが大事です。また、トラブルに遭ったときの相談先として消費生活センター(消費者ホットライン)があることも覚えておきましょう。
出典
政府広報オンライン 18歳、19歳の皆さん、ご用心!成人になると増える、こんな消費者トラブル ~18歳から大人~
消費者庁 消費者ホットライン
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー