更新日: 2023.12.16 その他暮らし
日本人の死因第1位の「がん」。治療費や入院費は具体的にいくらかかる?
がんによっては先進医療を利用することもありますが、公的医療保険が適用されないため注意が必要です。
今回は、もしがんにかかった場合に必要な入院費や治療費についてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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日本人の死因トップ3
厚生労働省の「令和4年(2022年)人口動態統計(確定数)の概況」によると、令和4年における死亡者数は156万9050人でした。そのうち、最も多い割合はがんにあたる「悪性新生物<腫瘍>」の38万5797人で24.6%です。死因第2位は心疾患の14.8%、第3位は老衰で11.4%の結果となっています。
がんは全体の約25%を占めており、4人に1人はがんによって亡くなっている計算です。だれにでもがんになる可能性はあるため、万が一に備えて費用を知っておきましょう。
がんの入院費はどれくらい?
がんの入院費は、加入している健康保険の種類によって変動します。総務省統計局の「医療給付実態調査」によると、入院した場合における健康保険ごとの1日あたりの診療費は表1の通りです。
表1
全国健康保険協会管掌健康保険 | 組合管掌健康保険 | 国民健康保険 | 共済組合 | 後期高齢者医療制度 | |
---|---|---|---|---|---|
1日あたりの入院療養費 | 7万8525円 | 8万4546円 | 6万9595円 | 8万5501円 | 5万3236円 |
※総務省統計局 医療給付実態調査 表6「悪性新生物<腫瘍>」を基に筆者作成(2023年12月時点)
健康保険全体の平均は7万4280円になります。
ただし、医療給付実態調査は診療報酬明細書をもとにしているため、数値は全額自己負担の場合です。患者は一般的には3割負担なので、平均値から考えると入院した場合の1日当たりの診療費は約2万2284円になります。
また、医療給付実態調査によると、健康保険の平均入院日数は10.5日です。もし平均入院日数で入院したとすると、入院費は約23万3982円かかります。
先進医療を利用するといくらかかる?
がんの治療に先進医療を使うと、公的医療保険は適用されません。全額自己負担となるため、注意が必要です。
一般社団法人粒子線治療推進研究会 重粒子線治療ガイド「治療の流れ」によると、がんの治療で使用する先進医術は、重粒子線治療が代表例で、約300万円がかかるようです。(日本の健康保険証を持っている方の場合)
なお、先進医療を利用した場合でも、一般の診察費や薬代などには保険を適用できるので、確認しておきましょう。また、個室の差額ベッド代も保険適用外です。
費用負担を軽くするために利用できる制度
医療費が高額となった場合には「高額療養費制度」を利用できるケースがあります。制度では、年齢と所得に応じて上限額が決められており、医療機関や薬局などの窓口で上限額を超えて支払った分に対して給付金を受け取れることが特徴です。
※入院時の食費やベッド代は含まれません。
例えば69歳以下の場合、上限額は表2になります。
表2
所得条件 | 世帯における1ヶ月の上限額 |
---|---|
住民税非課税 | 3万5400円 |
年収約370万円まで | 5万7600円 |
年収約370~770万円 | 8万100円+(医療費-26万7000)×1% |
年収約770~1160万円 | 16万7400円+(医療費-55万8000)×1% |
年収約1160万円~ | 25万2600円+(医療費-84万2000)×1% |
※厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)を基に筆者作成
例えば、60歳で年収が約350万円の方が医療機関で20万円支払ったとすると、14万2400円が高額療養費として支給されます。治療を受けていて費用に不安がある方は、制度を活用してみましょう。
がん治療には制度の活用も検討する
がんの治療には想定より費用がかかるケースも少なくありません。不安が生じる場合は、高額療養費制度について調べておくといいでしょう。
出典
国立がん研究センター がん情報サービス がん種別統計情報 全がん
厚生労働省 令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況 結果の概要 2
厚生労働省 令和2年(2020)患者調査の概況 結果の概要 3
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
総務省統計局 医療給付実態調査 報告書令和3年度 表番号3 調査結果の概要2 年齢階級別にみた診療の 状況 (2)1人当たり医療費の制度比較
一般社団法人粒子線治療推進研究会 重粒子線治療ガイド 治療の流れ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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