更新日: 2023.12.21 その他暮らし

母がいわゆる「毒親」で、なんとか実家を出ましたがうつで働けません。「生活保護」を受けたいのですが、扶養照会は必須でしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

母がいわゆる「毒親」で、なんとか実家を出ましたがうつで働けません。「生活保護」を受けたいのですが、扶養照会は必須でしょうか…?
毒親との暮らしが苦しい場合、実家を抜け出すことは有効な対処法の1つです。とはいえ、うつ状態になっており、1人暮らしを始めたものの、働けないという人も見受けられます。
 
それで経済的に困っているなら、生活保護を受けたいと思うかもしれません。この場合、毒親への扶養照会を恐れて、申し込みを決断できない場合もあるでしょう。本記事では、上記のようなケースにおいて、生活保護に扶養照会が必須なのかということを解説します。
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毒親とはどのような人?

毒親とは、文字通り「子どもに悪い影響を及ぼす毒のような親」を指します。ただし、厳密な定義は存在しないため、人や組織によって解釈が異なる場合もあるので注意しましょう。
 
一般的には、慢性的な暴力や暴言などにより、子どもの肉体面や精神面に苦痛を与える親が該当します。子どもを自分の所有物のように考え、過度の干渉や管理を行わないと気が済まないケースも同様です。
 
また、育児や教育に関心を持たず、扶養の義務を放棄しているケースも毒親といえるでしょう。これらに共通しているのは、子どもが安心して過ごせる家庭環境を築けていない点です。その影響により、成長後も心に傷を抱えたまま生きている人は少なくありません。
 

生活保護の受給要件を満たしているのか?

扶養照会について心配する前に、まず制度を利用する資格があるのか確認しましょう。生活保護の受給要件は以下に挙げる3点となっています。
 

・【資産に関する受給要件】

生活保護は経済的に困窮している人が利用できる制度です。これは預貯金に限った話ではなく、その他の資産に余裕がある人は受給できません。今後の生活に不可欠と認められる場合を除き、自動車や土地、家屋などは受給前に売却が必要です。
 

・【能力に関する受給要件】

正当な理由がないのに働いていない人は生活保護の対象外です。労働を行える能力があるなら、それを生かして収入を得なければなりません。就労の意志があるにもかかわらず、けがや病気などが原因で不可能な場合には受給要件を満たします。
 

・【支援制度に関する受給要件】

人々の暮らしに関する公的なサポートは生活保護だけではありません。別の支援制度の対象者に該当する人は、先にそれらの利用を求められます。つまり、生活保護以外に申請できる支援制度が残っていないことも受給要件の1つです。
 

扶養照会は必須なのか?

生活保護の申請を受けた自治体の担当部門は、本人の扶養義務者にサポートの可否を問い合わせます。これが扶養照会であり、扶養義務者に該当するのは両親や祖父母といった3親等以内の親族です。仕送りなどが可能なら、生活保護による支援よりも優先されます。
 
ただし、扶養義務者が存命であっても、扶養照会が必ず行われるとは限りません。サポートを期待できない扶養義務者に対しては実施しないこともあるのです。親子関係を慎重に検討し、連絡自体が不適当と判断したケースも該当します。
 
つまり、毒親からDVなどの被害を受けた経験があるなら、扶養照会は見送られる可能性があります。よって、毒親と関わりたくないという理由があれば、生活保護の申請をあきらめる必要はないのです。
 

制度を理解したら不安を抱え込まずに相談を!

生活保護の申請を検討するなら、受給要件を把握しておくことが大事です。セーフティネットの役割を果たすものなので、資産や能力などの状況次第では承認されないかもしれません。あらゆる方法で改善を試みても生活できない人だけが受給できます。
 
また、扶養照会は必須ではないため、毒親への連絡を過剰に警戒しなくても大丈夫です。そのような不安も含めて、まずは自治体の担当部門に相談してみましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度

厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について
男女共同参画局 DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ―DVは子どもの心も壊すもの―

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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