更新日: 2023.12.18 その他暮らし
かつて国会職員に「乱闘手当」が出ていたって本当? 支給は総額で「3億6400万円」!? 廃止の理由についても解説
そこで今回は、乱闘手当の成り立ちや目的、それに支給実態や廃止された理由などを紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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乱闘手当の成り立ちと目的
かつて日本の国会では、「国会特別手当」、通称「乱闘手当」が国会職員に支給されていました。この手当は、国会の議事運営における特殊な状況に対処するものとして、1960年から支給が開始されたのです。
特に、当時は日米安保条約改定などの際に、与野党議員間の乱闘騒ぎによって国会職員が危険にさらされる可能性があったのです。
そのため、「勤労の強度が著しい事務に従事する職員」に対しての、事実上の危険手当として支給されたのが「乱闘手当」とされています。つまり、乱闘手当は、国会の期間中に与野党議員の乱闘に巻き込まれる可能性がある職員を支援することを目的として導入されたのです。
支給実態と支給金額
乱闘手当は、本来、国会が開会している期間中に与野党議員の乱闘に巻き込まれる可能性がある職員に対して支給されるはずでした。しかし、実際には国会での乱闘の有無にかかわらず、この手当は部長以上の幹部職を除いたほとんどの職員に、年に1回恒常的に支給されていたようです。
2004年度のデータでは、衆議院の職員1674人に対して、総額で約3億6400万円が支給されています。これは一人当たりの平均にすると約21万7000円に相当する金額です。
廃止の理由と時代背景
国会職員に支給されていた「乱闘手当」は、その資金が国民の税金から支出されているため次第に問題視されるようになりました。庶民感覚から見ると支給額があまりにも不適切であるうえに、実際の乱闘が発生していなくても支給されていたことなども理由です。
そのため、乱闘手当の支給が国民から疑問視されるようになり、手当の正当性が次第に失われ始めました。これらの事情を背景に、国会内でも乱闘手当の廃止に向けた動きが出てきたのです。
実際には、議会における庶務小委員会によって「趣旨が時代に合わない」と判断されたことが、乱闘手当の直接の廃止につながったとされています。また、国会内での乱闘騒ぎ自体が減少していたことも、廃止の大きな要因といえるでしょう。その結果として、2006年度には管理職に対しての乱闘手当が廃止されました。
その後、2008年度には一般職員に対する乱闘手当も廃止されることとなったのです。これは、国会で働く職員への対応が、時代の流れとともに変化していることを示しています。それに加え、税金の使われ方に対する国民意識の変化も、乱闘手当の廃止に影響を及ぼしたといえるでしょう。
時代の変化とともに廃止された乱闘手当
1960年から支給が開始された乱闘手当は、2008年までには全面的に廃止されました。支給額があまりにも庶民感覚からズレていたことに加え、時代が変化して支給理由が現状とそぐわなくなったことが大きな原因とされています。
手当が税金から支給されるものである限り、その動向は国民の目を通して見守られるのが本来の姿です。乱闘手当の一件は、税金の使われ方に対する国民の意識に一石を投じたといえるでしょう。
出典
衆議院 第163回国会 総務委員会 第5号(平成17年10月20日(木曜日))
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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