更新日: 2023.12.26 子育て

世帯年収「360万円」、子どもが大学進学予定です。学費の支払いが難しいのですが「大学無償化制度」は利用できますか? 貯蓄は700万円ほどあります…

執筆者 : 根本由佳

世帯年収「360万円」、子どもが大学進学予定です。学費の支払いが難しいのですが「大学無償化制度」は利用できますか? 貯蓄は700万円ほどあります…
子どもの大学進学が決まったのはいいけれど、高い入学金や授業料を払い続けられるか心配、という人は多いのではないでしょうか。
 
文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、2021年度の国立大学授業料は年間53万6000円、私立大学は平均で年間93万1000円と、30年前(1991年度)に比べて約1.4倍にも増えており、家計に大きな負担となっています。
 
このような状況をふまえ、子どもが家庭の経済状況に関わらず大学進学の機会が得られるように設けられたのが高等教育の修学支援新制度(大学無償化制度)です。本記事では、高額化する大学進学費用の負担を軽減できる本制度について分かりやすく解説します。
根本由佳

執筆者:根本由佳(ねもと ゆか)

FP2級、中小企業診断士

2つの支援内容と要件

2020年4月に始まった大学無償化制度は、意欲ある子どもたちの進学を支援するために、大学・短期大学・高等専門学校(4年、5年)・専門学校の費用を規定の上限額まで毎年無償化する制度です。具体的には「授業料(上限約70万円)・入学金(同約26万円)の免除または減額」「返還を要しない給付型奨学金(同約91万円)」の2つの支援内容があります。
 
支援を受けるためには「世帯収入や資産の要件を満たしていること」「進学先で学ぶ意欲のある学生であること」の2つの要件が課せられます。
 

世帯年収360万円・貯蓄は700万円で受けられる支援は?

「世帯収入や資産の要件」について、「世帯年収360万円・貯蓄700万円」の事例をふまえて説明します。
 
この制度の支援を受けられるのは世帯年収380万円以下(住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯)です。また年収の額によって支援の額が3区分に分かれます。
 
第1区分(年収目安270万円以下)の場合、上限額満額まで支援を受けることができます。第2区分(年収目安300万円以下)の場合は上限額の3分の2、第3区分(年収目安380万円以下)の場合は上限額の3分の1までです。
 
資産には、保有する預貯金やそれに準ずるもの(株や投資信託などの有価証券など。土地や建物は含まない)が当てはまります。生計維持者(学生の学費や生活費を負担する人。同居・別居は問わない)が1人の場合は保有金額が1250万円未満、生計維持者が2人の場合は2000万円未満なら支援を受けられます。
 
今回の事例は、世帯年収が360万円・貯蓄700万円なので世帯年収・資産の両方の要件を満たしているため、支援を受けることができます。年収から第2区分に該当するので、支援額は上限額の3分の1までとなります。
 

成績も制度の要件に入る!

次に「進学先で学ぶ意欲のある学生であること」の要件について説明します。
 
この制度では、一定以上の学業成績があることが必要です。具体的には、高校の各教科・科目等の評定の平均が3.5以上またはこれに準じることが求められます。また進学の目的や将来の展望、進学後の学修の意思を、通学する高校でレポートや面談を通して確認するとしています。
 
さらに支援の開始後は毎年適格認定が行われますが、そのなかで学業成績に関しても適合判定があり、習得単位数の合計が標準単位数の6割以下などの場合は学習意欲が低いと判断され、支援の廃止、停止、警告となる場合があります。
 

活用したいなら子どもとよく話し合おう

大学無償化制度の目的は、子どもの学びへの意欲に、経済的に応えることです。家計の条件はもちろんのこと、大切なのは進学する本人が学ぶ意思を強く持ち続けることだと子どもに説明し、じゅうぶん話しあったうえで制度を利用するのが良いでしょう。
 

出典

文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移 

文部科学省 高等教育の修学支援新制度

 
執筆者:根本由佳
FP2級、中小企業診断士

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