更新日: 2024.01.03 子育て
周囲に「年収500万円で子ども2人を育てるのは無謀」と言われてしまいました。国からの援助があれば育てられそうですが……。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
子育て世帯の一般的な収入は500万円前後と推測
Webメディア「HugKum」の2022年1月の調査によれば、子育て世帯(0歳〜小学6年生までの子どものいる保護者818名を対象とする)の収入は、500万円から600万円未満が最多で、全体の15.7%です。次いで400万円から500万円未満が14.6%となっています。また、年収300万円未満という層と、300万円から400万円未満という層がそれぞれ11.1%存在しています。
あくまでもアンケートの結果にすぎませんが、子育て世帯は500万円前後の層だけでなく、それ未満の収入の層にも少なくありません。
ここから考えると、年収500万円で子どもを2人持つのは無謀とまではいえないでしょう。むしろ、一般的な子育て世帯だということもできます。
年収500万円で子育てするなら学費は国からの支援が期待できる
国は少子化対策として、さまざまな施策を講じています。高校や大学の無償化などがいい例です。高校や大学への進学には、多くのお金がかかります。公立か私立かといった区分や、学校によっても異なる部分がありますが、一般に学費には多額のお金がかかるものです。
日本政策金融公庫の資料によると、高校入学から大学卒業までには、子ども1人当たり942万円ほどかかるようです。子どもが2人いれば1884万円と、2000万円近い学費になります。
おそらく、周囲から「年収500万円で2人の子育ては無謀だ」と言われるのにはこの学費の存在が大きいと思われます。
しかし、文部科学省「高校生の学びを支えます」によると、年収500万円の世帯であれば、高等学校等就学支援金によって、年間で公立高校なら11万8800円、私立高校なら39万6000円、通信制の私立高校でも29万7000円の支援が受けられます(収入などの条件あり)。
また、日本学生支援機構などが実施している奨学金を利用することで、高校や大学進学にかかる費用を工面しやすくなるでしょう。成績次第では、返還不要の給付奨学金を受け取ることのできる可能性もあります。
また高校入学前も、幼児教育・保育の無償化によって、幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料も、月額上限2.57万円までは無償とされているようです。
このように、世帯年収500万円であっても国からの支援を受けることで、子ども2人を高校・大学へ進学させられる可能性がありそうです。
児童手当で高校入学まで支援される
国の少子化対策は、上記の無償化政策だけではありません。中学卒業までの間は、児童手当として子ども1人当たり月額1万円から1万5000円が支給されます(2023年12月時点)。児童手当によって、子どもの食費程度であれば賄うことができるでしょう。具体的には、下記のような区分で支給額が決定されます。
●3歳未満……1万5000円
●3歳以上小学校修了前……1万円(第3子以降は1万5000円)
●中学生……1万円
支給は毎年6月、10月、2月の年3回に分けて行われます。
※出典:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
なお、児童手当は自動で受け取れるわけではなく、現住所の市区町村に「認定請求書」と添付書類を提出して、申請しなければなりません。市区町村の認定を受けると、申請月の翌月分から児童手当が支給されることになります。
申請が遅れると支給もその分遅れてしまうため、手続きの詳細については必ず市区町村へ確認してください。
まとめ
年収500万円の世帯において、2人の子どもを育てるのは決して無謀ではありません。むしろ同じくらいの年収か、あるいはそれよりも少ない年収で子育てしている世帯が大多数です。
現在は国からの援助もあり、必ずしも楽ではありませんが、子育てできる環境が整っています。子育てと年収については周囲からの意見もあるかと思いますが、まずは一度どのような支援制度を利用できるのか確認し、実際の収支を基に試算してみるといいでしょう。
そうすることで、実際に子育てが自分たちにも可能であるかどうか、見えてくるはずです。
出典
こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化概要
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少 ~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
Hugkum 【緊急調査】子育て世代のお金事情|年収や貯蓄、食費はいくら?教育費や保険はどうしてる?
文部科学省 高校生の学びを支えます
執筆者:柘植輝
行政書士