昨年10月の改正で酒税UPした「第3のビール」とビールの価格差はどれくらいになった?

配信日: 2024.01.05

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昨年10月の改正で酒税UPした「第3のビール」とビールの価格差はどれくらいになった?
2023年10月に酒税改正が行われ、ビールの酒税が6円引き下げられた一方、第3のビールは9円あまりの引き上げとなりました。ビールと第3のビールの酒税の差が狭くなったことで、小売価格にも影響が出る可能性があるでしょう。
 
本記事では、2023年10月の法改正の内容から、ビールと第3のビールの価格差がどのように推移していくかを試算します。
FINANCIAL FIELD編集部

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2023年10月の法改正でビールと第3のビールの価格差が縮まった

2023年10月1日に酒税法が改正されて、ビール系飲料の酒税が変更されました。財務省の「酒税に関する資料」より、2020年10月以前からのビール系飲料350mlあたりの税率の推移は【表1】のとおりです。
 
【表1】

ビール 発泡酒 第3のビール
2020年10月以前 77円 46.99円 28円
2020年10月~ 70円 46.99円 37.8円
2023年10月~ 63.35円 46.99円 46.99円

※財務省「酒税に関する資料」をもとに筆者作成
 
改正により、ビールは6.65円の値下げ、第3のビールは9.19円の値上げとなっています。なお発泡酒の酒税に関しては、2020年10月以前から変更ありません。

小売価格はどのように変動した?

酒税が改正されたことにより、ビール系飲料の小売価格がどのように変動していくのかを、過去の酒税改正時のデータから試算してみます。
 
総務省統計局の「小売物価統計調査年報 2020年」によると、ビール系飲料の小売価格の動きは【表2】のとおりです。なお【表2】では、東京都区部の350ml×6缶の価格を1本分に割って、小売価格を算出しています。
 
【表2】

ビール 発泡酒 第3のビール
2020年9月 約196円 約136円 約111円
2020年11月 約188円 約136円 約124円

※総務省統計局「小売物価統計調査年報 2020年」をもとに筆者作成
 
2020年10月の法改正による小売価格の動きは、ほぼ法改正による税率の動きと連動しています。そのため、2023年10月以降の小売価格が税金の変動と連動する場合、次のようになると考えられます。

 
・ビール:約188円-6.65円=約181円
 
・発泡酒:約136円(税率の変動なし)
 
・第3のビール:約124円+9.19円=約133円

 

改正前よりも、さらにビールと第3のビールの価格差が狭くなったことが分かります。
 

ビール・発泡酒・第3のビールを毎日飲んだらどれくらい違う?

酒税の改正により、ビールと第3のビールの価格差は狭くなりました。ここでは、毎日飲んだ場合の出費に、どの程度の差が生じるのかを試算してみましょう。
 
1日1缶として、1年365日毎日飲んだ場合の、ビール、発泡酒、第3のビールの金額差を【表3】で比較します。なお、各ビール系飲料の価格は【表2】をもとにした試算で求められた金額とします。
 
【表3】

1本あたり 年間(365本) ビールとの差額
ビール 181円 6万6065円
発泡酒 136円 4万9640円 1万6425円
第3のビール 133円 4万8545円 1万7520円

2023年10月の酒税改正で、発泡酒と第3のビールの税金が同額になったことから、発泡酒と第3のビールにはほぼ差はありません。

第3のビールとは?

第3のビールとは、ビールと呼ばれているものの、ビールの原料である麦芽を使わずに醸造された「その他の醸造酒」を指します。ビールと発泡酒、第3のビールの違いは表4のとおりです。
 
【表4】

ビール 原材料に麦芽を67%以上使用したもの
発泡酒 原材料の麦芽使用率が67%未満のもの
第3のビール 麦・米・とうもろこし・ばれいしょなどを発酵させたもの

※独立行政法人酒類総合研究所「ワイン・ビール」をもとに筆者作成
 
酒税改正によって価格差が狭くなるようであれば、第3のビールではなく、ビールを飲みたいと考える方もいるのではないでしょうか。
 

2026年10月に税率が一本化される予定

ビール系飲料の税率は、2020年10月から3段階で調整され、2026年10月には、350mlあたり54.25円に一本化されることになっています。発泡酒と第3のビールは7.26円の値上げとなるものの、ビールは9.1円の大幅な値下げが予定されています。
 
小売価格にも差がなくなることが予想されますので、価格ではなく純粋に好みで商品を選べるようになります。
 

法改正によりビールと第3のビールの価格差は過去最少に!

2023年10月1日からの酒税改正により、ビールと第3のビールの税率の差が狭くなりました。酒税の差が狭くなったことから、小売価格にも反映されて、ビールと第3のビールの価格差も過去最少となることが考えられます。
 
2026年には、ビール系飲料の税率が一本化される予定です。よりビールがお手頃になるのを、待ち遠しく感じている方も多いでしょう。
 

出典

独立行政法人 酒類総合研究所 ワイン・ビール 「ビール、発泡酒、第三のビールとは何が異なるのですか?」
総務省統計局 小売物価統計調査年報 2020年 動-Ⅰ 小売価格の動き-東京都区部-(12ページ)

政府統計の総合窓口(e-Stat) 小売物価統計調査(動向編) 2020年 表番号1 調査品目の月別価格及び年平均価格【都道府県庁所在市及び人口15万以上の市】「2021 ビール」 ~ 「2134 ぎょうざ(外食)」
財務省 酒税に関する資料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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