「生活保護」を受けたいのですが、パソコンやスマホまで処分が必要になりますか?

配信日: 2024.01.08

この記事は約 3 分で読めます。
「生活保護」を受けたいのですが、パソコンやスマホまで処分が必要になりますか?
生活保護を受けると、さまざまな制約が課されます。そういった制約が不安で、生活保護を受けることをためらう、ということもあるでしょう。特に、資産の保有制限は気になるところです。スマートフォンやパソコンといった、現代生活に必須といえる財産も保有できないのでしょうか。その点について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

生活保護によって資産の保有が制限される理由

厚生労働省「生活保護制度」によると、まずは資産を活用することが要件となっているようです。例えば、高価なアクセサリーなどの貴金属類であれば、売却して収入を得られるでしょう。そのようにして収入を得られるのであれば、まずは生活保護を利用する前に、それら資産を売却して収入を得て、そのお金で生活すべき、ということになります。
 
そのため、資産を有していると、資産を最大限活用しているとはいえず、生活保護の要件を満たしていないために、資産の保有が制限されることになるのです。
 

生活保護で保有が許される資産とはどんなもの?

では、生活保護で保有を禁止される資産とは、どのようなものをいうのでしょうか。資産といえば、大なり小なりいろいろなものが該当し、自分の物が一切持てないのではないか、趣味で使う物すら持てないのではないか、と心配になってしまうでしょう。
 
その点については、基本的に貴金属や、自分が住むため以外に保有している土地や建物、生命保険などが該当します。要は「一般的に価値と換金性が高く、生活に必須といえないようなもの」が、生活保護において保有を禁止される資産に該当しているのでしょう。
 
そのため、価値や換金性が高いとはいえ、自動車や生命保険などの保有は、一定の場合で認められることもあるようです。例えば、車は生活に必要であるなど、特別な事情があり必要だと判断されれば、保有が認められることもあります。生命保険も、保険料が少額であり、返戻金も少額であれば、解約までは求められないこともあるようです。
 

パソコンやスマートフォンの保有はどうなる?

基本的に、パソコンやスマートフォンの保有は、生活保護の受給において禁止はされていないようです。理由としては、生活保護には最低限度の生活を保障するという側面以外にも、自立を助長することを目的としている側面があるからです。
 
そのため、就職活動に利用したり社会活動に参加したりするために必要であろう、パソコンやスマートフォンの保有は、自立の助長という観点からも保有を続けても問題ないようなので、処分する必要はないでしょう。
 
また、生活保護の受給中にこれらを購入しても、問題がないはずです。
 
実際に、住んでいる自治体のホームページの、生活保護のページについて確認してみてください。保有が禁止される財産が記載されていると思いますが、そこにパソコンやスマートフォンの類いの記載は見受けられないでしょう。ただし、パソコンでも、一般の家電製品売り場には売っていないような、価格が30万や40万円、はたまた50万円などと超高額になるものの保有は認められない可能性があります。そこまでいくと資産価値があるとみなされ「一般的なパソコンを購入すべき」などの指導がされるかもしれません。
 

まとめ

生活保護は、最低限度の生活保障と自立の促進を目的としている制度です。資産の保有には一定の制限がかかるものの、基本的には、スマホやパソコンはその制限の対象外となっていると考えられます。
 
生活保護の受給について悩んでいることがあれば、一度自身の住んでいる地域を管轄する福祉事務所などへ相談してみてください。
 

出典

東京都福祉局 西多摩福祉事務所

 
執筆者:柘植輝
行政書士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集