更新日: 2024.01.13 その他暮らし
新卒の同期が親に「スマホ代」を支払ってもらっているそうです。自分は「奨学金」の返済で苦しいのに、不公平ではないでしょうか?
社会人になってからも、親にスマホ代を支払ってもらっている友人や同僚がいれば、羨ましく思うのも当然です。奨学金を自らの給与から返済している人の中には、羨ましさを超えて不公平さを感じることもあるでしょう。今回は、実際に、親から仕送りをしてもらっている人がどの程度いるのかをみていきます。あわせて、奨学金の返済が苦しい人が利用を検討したい制度も紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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親から仕送りしてもらっている人の割合は?
厚生労働省による「令和4年国民生活基礎調査」では、仕送りの状況についてもまとめています。同調査結果によると、子どもへ仕送りをしている親世帯の割合は、約3.2%です。子どもへ仕送りをしている親世帯のうち、その目的が学業以外である世帯の割合は、全体の約1.06%です。
新卒の親の世代を50~60代とした場合、使用目的が学業以外の仕送りをしている親世帯の割合は、全体のわずか約0.52%です。新卒で社会人となっている人が親から仕送りをしてもらっているケースは、これらのデータからも非常に稀であるといえます。
学業以外で使用してもらう目的で渡される親から子どもへの仕送りの平均額は、同調査結果によると7万円でした。50~60代の世帯では、平均で6万7000円~7万9000円を子どもへ仕送りしています。仕送り金額のボリュームゾーンは「2~6万円」と「10万円以上」です。10万円以上の仕送りをしている親世帯が、平均金額を大幅に引き上げていることがわかります。
家庭ごとに環境や価値観は異なる
子どもへ仕送りをしている親は少数派であり、しかも、社会人になった子どもへ仕送りをしている親世帯はさらに珍しいでしょう。仕送りをしてもらったりスマホ代を親に支払ってもらったりしている人が近くにいれば、羨ましくなるのも仕方がありません。奨学金の返済で苦しんでいる社会人であれば、なおさら不公平感を抱くのも理解はできます。
しかし、家庭ごとに環境や価値観は異なり、どれだけ不満を抱いても、それらは変えられません。世の中のすべての人の経済状況を公平とするのは、少なくとも日本では不可能です。まずはその点を理解しましょう。人と比べるのは極力避け、自分の生活や仕事に全力を注いでください。
あるいは、不満をモチベーションとし、同期よりも昇格・昇給できるよう努力するのもよいでしょう。それらが実現すれば収入も増え、親から受け取る仕送り以上に価値のあるお金が手に入れられます。
奨学金の返還期限猶予制度や減額返還制度の利用も検討しよう
奨学金の返済がどうしても難しく生活が困窮する場合は、返還期限猶予制度や減額返還制度の利用を検討してみましょう。返還期限猶予制度は、経済的に困難な場合などにおいて、返還期限を延長してもらえる可能性のある制度です。減額返還制度は、返済期間は延長となるものの、毎月の返還額を減らせる制度となっています。要件を満たせば、月額で半分、あるいは3分の1に返済を減額できるため、無理なく返済できるでしょう。
そのほか、副業や転職で収入を増やすなど、苦しい生活状況から脱する方法はあります。将来も見据えたうえで適切な対策や行動がとれれば、豊かな人生を歩めるきっかけを手にすることも可能です。
人を羨ましがるよりも自分の生活や仕事への注力が重要
新卒の同期がスマホ代を親から支払ってもらっていると聞けば、不公平だと思うのも当然です。しかし、社会人の子どもに仕送りをしている親は少数派のため、非常に稀なケースであると認識したほうがよいでしょう。羨ましく思う気持ちは理解できるものの、それよりも、自分の生活や仕事への注力したほうが人生にとっては有意義です。奨学金は返還期限猶予制度や減額返還制度を利用し無理なく返済しつつ、副業や転職による収入増の可能性も模索しましょう。
出典
厚生労働省 令和4年国民生活基礎調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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