更新日: 2024.01.19 その他暮らし

親が二世帯住宅にしようと言っています。二世帯住宅はそんなに得なのでしょうか?

親が二世帯住宅にしようと言っています。二世帯住宅はそんなに得なのでしょうか?
都心部を中心に住宅価格が上昇しています。そこで、親子で資金を出し合い住宅を購入すると、各々の住宅を購入するよりも建築費用を抑えられることがあるようです。なにより親からすれば、子どもと暮らせることで、老後において精神的な安心感が得られるという、金銭的なメリット以上の効果がある場合もあるでしょう。
 
本記事では、住む前に検討すべきことを二世帯住宅のメリットとデメリットとして整理しました。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

二世帯住宅のメリット

1.子育てや家事のサポートを受けられる

子育て世代が二世帯に同居する場合には、身近にいる両親に子育てをお願いすることができたり、比較的時間のある親世帯から家事のサポートを受けられたりすることがあるでしょう。また、共働きの子世代が、子どもが病気になったときに看病をお願いして、働きに出られるなどのサポートも考えられます。
 

2.介護や健康面での安心感が得られる

親世帯から見ると、同居している子どもに面倒を見てもらうことができるというメリットがあります。また、そういった環境にいることで精神的な安心感を得ることができます。一方で、子世帯から見ると、身近に両親がいることで、両親の健康状態を近くで確認できたり、見守ったりできます。
 

3.電気、ガスなどの光熱費を抑えることが可能

電気、ガスなどの光熱費などのメーターを別々にすることも可能ですが、1つにまとめることで、別々に基本料金を払う必要がなくなります。2つの基本料金を1つにすることで費用を抑えることができるのです。
 

4.相続税を抑えられる可能性がある

「小規模宅地の特例」という制度を使える可能性があります。この制度は、相続する土地(上限330平方メートル)にかかる相続税の対象となる課税価格を最大80%減額できるものです。この制度の趣旨は、被相続人(親世帯)が住んでいた自宅を子どもなどが相続して、そこに住む人の相続税負担を軽減するものなので、原則としてその家に同居していた親族が対象です。
 
ただし、二世帯住宅を2戸の住宅とみなし、親子がそれぞれの名義で登記する区分登記では対象にならないなど、この特例を受けるためには一定の条件が必要ですので、購入する際に確認をするとよいでしょう。
 

二世帯住宅のデメリット

1.生活習慣などの違いでトラブルの可能性がある

親世帯と子世帯で生活する時間帯が異なるせいで、お互いにストレスを感じ、それがトラブルにつながる可能性があります。たとえば、子世帯は、夜型だけれども親世帯は朝方の場合は、生活時間のズレでお互いの生活音が問題になる場合があります。
 
また、リビングやキッチン、トイレなどを共用している場合には、使う人数が多いため、自分が使いたいタイミングで使えないということも発生することもあるかもしれません。
 

2.電気、ガスなどの光熱費などの費用負担でもめる可能性

コストを抑制するためにメーターを1つにして基本料金をまとめる場合には、光熱費をどのように配分するかでもめる可能性があります。親世帯は、あまり使わないが子世帯は、なにかと使う頻度が多かったり、子どもが電気をつけっぱなしにしたりするなど、低い省エネ意識にストレスと不公平を感じるかもしれません。
 

3.相続でトラブルになる可能性

両親が亡くなって、遺産が二世帯住宅しかない場合で、同居している子世帯に兄弟姉妹がいる場合に、遺産相続でトラブルになる可能性があります。具体的には、遺産である二世帯住宅を売却して現金化し、それを分配することを要求されることになるかもしれません。
 
その場合には、それまで同居していた子世帯家族は二世帯住宅に住み続けることができなくなります。したがって、同居していない兄弟姉妹が不公平感を持たないように、二世帯住宅に入居する前に遺産の配分についても検討しておくとよいでしょう。
 

まとめ

二世帯住宅に住めば、別々に住居を構える場合に比べて、建築費や電気・水道などの光熱費を節約したり、経済的なメリットや子育のサポートが受けられたりするなどのメリットを享受できます。
 
一方で、生活習慣の違いや光熱費の負担割合でトラブルになる可能性があります。また、相続についても、兄弟姉妹などの他の親族がいる場合、前もって相続人になる可能性のある親族らとしっかり話し合っておく必要があります。
 
したがって、二世帯住宅に住む前に、こういったメリット、デメリットを踏まえ、しっかりと話し合いをしておくことが必要です。
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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