更新日: 2024.02.29 その他暮らし

江戸時代のお金「1両」の価値はどのくらい?江戸時代の物価とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

江戸時代のお金「1両」の価値はどのくらい?江戸時代の物価とは?
歌舞伎の公演はチケットが完売するほどにぎわい、時代劇専門チャンネルや、江戸時代を舞台にしたテーマパークもなかなかに人気があります。そのなかでは、お金のやり取りに使われる大判・小判などの貨幣や、お金が詰まった千両箱をよく見かけます。そこで本記事では、江戸時代のお金1両は、現代ならばどれくらいの価値になるのかを紹介します。

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江戸時代の通貨

現代の日本では、おもに「円」が用いられていますが、江戸時代では、朱(しゅ)、分(ぶ)、両(りょう)、文(もん)などが4進法で用いられていました。
 
それぞれの価値換算は次の通りです。
 

1文 × 250枚 = 1朱
1朱 × 4枚 = 1分
1分 × 4枚 = 1両
1両 = 4分 = 16朱 = 4000文

 
4分の1単位で通貨を計算することは、現代の日本では考えにくいですが、アメリカの25セント硬貨の使い方と同じだと考えると、イメージしやすいかもしれません。
 
貨幣には一朱金、一朱銀、一分金、一分銀、などの種類があり、江戸ではおもに金貨が、大坂では銀貨が使われていました。文は銅や鉄製です。
 
時代劇のヒーローとして知られる「銭形平次」は、岡っ引きの平次親分が事件の犯人を捕まえる際に、腰にぶら下げた寛永通宝(穴の開いた銭貨)を小石のように投げつけて取り押さえます。このときに使用される寛永通宝には、一文銭と四文銭があります。
 

江戸時代の物価

では、当時の物価はどれくらいだったのでしょうか。代表的なものをあげて、今の価格に換算すると、以下の通りです。
 

現代の一般的価格
かけそば1杯  16文 約480円 約450円
お団子1本 4文 約120円 約100円
水茶屋のお茶1杯 6文 約180円 約300円
大根1本 7文 約210円 約200円
寄席の木戸銭 16~20文 約480~840円 約2000~3000円
米1升4合 100文 約3000円 約1000円

 
※江東区深川江戸資料館「江戸のお金について」をもとに筆者が作成
 
水茶屋とは、休憩に立ち寄ってお茶を飲む、手頃な値段の喫茶店のようなお店です。ちなみに、お米の一升四合は、約2キログラムです。           
 

江戸時代の1両はいったいいくら?

江戸時代の1両の価値は、簡単には換算できません。理由は、江戸時代と現代では、暮らしや制度などのさまざまな条件が異なるためです。
 
例えば、江戸時代に一般的に食べられていたお米は玄米ですが、現代はほとんどが白米です。白米と玄米ではどちらが高いかも、現代では商品によって違います。このように、ここでは、そのなかでも換算しやすいものを、ごく一般的な平均の価格で換算してみます。
 

お米の1両分はいくら?

お米も、江戸の前期と後期では値段が違いました。江戸の中期以降では、お米1石(約150キログラム)が1両だったといわれています。
 
現代のお米2キロを1000円とした場合、1キロを500円として150キロ分を求めると、1両は7万5000円程度と算出できます。 
 

お団子の1両分はいくら?

時代劇では三色団子をよく見かけますので、和菓子店で1本ずつ売られている三色団子を例にします。
 
1両=4000文、お団子1本は4文ですので、1両はお団子1000本分です。1本が100円とすると、10万円程度と算出できます。
 

おそばの1両分はいくら?

時代劇でよく見かけるのは、ざるそばやもりそばではなく、汁物のかけそばです。
 
1両=4000文、かけそば1杯は16文ですので、1両はかけそば250杯分です。かけそば1杯を450円とすると、1両は11万2500円になります。
 

まとめ

今回は、江戸時代にも現代にもあるものから、1両の価値を換算してみました。これだけあげてみても、1両の価値には差があることが分かります。
 
当時の歌舞伎役者には「千両役者」と呼ばれる人もいたようですが、本当に千両稼いでいたならば、1億円ほどの収入になります。現代にも「億り人」と呼ばれる人がいますが、江戸時代の億り人は、歌舞伎役者だったのかもしれません。
 

出典

日本銀行金融研究所 貨幣博物館 江戸時代の1両は今のいくら? ―昔のお金の現在価値―

独立行政法人 造幣局 江戸時代のお金のしくみ

江東区深川江戸資料館 資料館ノート 第149号 深川江戸資料館レファレンス(2) 江戸のお金について

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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