更新日: 2024.01.16 子育て

大学生等の約半数が利用! 多額の借金してまで大学に行くメリットはある?

執筆者 : 新美昌也

大学生等の約半数が利用! 多額の借金してまで大学に行くメリットはある?
私立大学に進学すれば、卒業までの4年間の学費は平均約520万円になります。大学生の約半数は、奨学金などの借金をして進学しています。「多額の借金してまで大学に行く必要あるのか」と、疑問に思う方もいるかと思います。
 
なぜ大学に行きたいのか、借金してまで大学に行くメリットは何か、借金をする前によく考えてみましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

私立大の学費はいくら必要?

文部科学省の「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、私立大学の初年度学生納付金(授業料、入学料、施設設備費の合計)の平均は、135万7080円となっています。実験実習料等を含めた総計は、148万2964円となり、卒業までの4年間で実験実習料等を含めた総計は平均約520万円となります。
 
私立大学の学費は、国公立大学と異なり、学部・学科により学費が大きく異なります。理系では4年間で約600万円の学費がかかります。もちろん、学費以外にも教科書代・教材費・交通費や生活費も必要になります。
 

学歴別生涯賃金

高卒で就職した場合、22歳時点では男性の賃金総額は約1200万円と有利です(※)。しかし、人生は長いです。学歴が高まるにつれて就業年数は短くなりますが、大学卒のほうが高校卒に比べ賃金水準が高いため、最終的には大学の生涯賃金のほうが高くなります。
 
(※)令和4年賃金構造基本統計調査をもとに筆者試算
 
労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2022」によれば、「同一企業型の職業生涯の場合を見ると、生涯賃金(60歳まで、退職金を含めない)は、男性は高校卒2億5000万円、高専・短大卒2億4000万円、大学卒2億8000万円、女性は高校卒1億8000万円、高専・短大卒2億円、大学卒2億 4000万円となる」と試算しています。
 
このように、生涯賃金で見ると、男性は高校卒2億5000万円、大学卒2億8000万円と大学卒と大学卒のほうが有利になります。その差額は、1800万円(3000万円−1200万円)です。
 
これらの結果を見ると、統計上は、借金をしても経済的には大学に行ったほうが得といえます。なお、多くの学生が利用する日本学生支援機構の奨学金は、無利子または低利子(上限利率年3%)です。
 
ただし、上記の結果は統計上の平均値です。企業規模により生涯賃金は大きく異なる点は知っておきましょう。「ユースフル労働統計2022」によると、「企業規模別には、男性高校卒は 1000人以上規模で2億7000万円、10~99人規模で2億1000万円、男性大学卒は1000人以上規模で3億1000万円、10~99人規模で2億3000万円となっている」と試算しています。
 

大学に行くその他のメリット

高校卒の場合、男女ともに職種(生産工程、サービス職、事務など)が限られるケースが見受けられます。また、就職活動はハローワークで確認された求人票をもとに行われます。さらに、高校での一次募集の際、学校から推薦を受けられる生徒の応募は1人1社に限られます。就職先は、主に地元の企業になります。
 
大学卒の場合、このような制限がありませんので幅広い企業・職種から就職先を選ぶことができます。また、大学では専門的な知識を身に付けることができますし、教師や医師のように大卒が条件となっている職種もあります。また、全国や海外から学生が集まる職場が多くあるので人脈を築くこともできます。
 
大学で学びたいことがあり、しっかり学ぶのであれば、借金してまで大学に行くメリットは十分あるといえます。借金が単なる借金に終わるか、未来の投資になるかは本人次第です。
 

出典

日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果
文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生等調査結果について
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2022-労働統計加工指標集-
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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