更新日: 2024.01.18 子育て

【令和6年度税制改正大綱】子育て世帯向け住宅ローン税制とリフォーム税制の概要

【令和6年度税制改正大綱】子育て世帯向け住宅ローン税制とリフォーム税制の概要
令和5年12月14日、「令和6年度税制改正大綱」が公表されました。所得税・住民税の定額減税などが注目されていますが、子育て支援策に関連する内容として、住宅ローン控除の改正と住宅リフォーム税制の拡充について説明します。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

子育て世帯等が対象の住宅ローン控除の改正

「令和6年度税制改正大綱」によると、子育て世帯等(子育て特例対象個人)に対する住宅ローン控除が拡充されるようです。
 
子育て特例対象個人とは、(1)40歳未満で配偶者がいる人、(2)40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、(3)40歳以上で19歳未満の扶養親族がいる人となっています。想定されるイメージとしては、若年夫婦世帯、一部の晩婚夫婦世帯、高校生までの子どもがいる家庭となるでしょう。
 
住宅ローン控除の改正のポイントは、対象の世帯について控除の適用を受けられる借入限度額(住宅ローンの年末残高の限度額)を上乗せすることで、令和4年・5年に入居した場合と同じ水準が維持される点です。
 
住宅区分によって異なりますが、借入限度額は新築等の認定住宅では5000万円で500万円の上乗せ、ZEH水準省エネ住宅では4500万円、省エネ基準適合住宅では4000万円と、それぞれ1000万円の上乗せとなっています。
 
注意しておきたいのは適用される期間が暫定的で、令和6年1月1日から12月31日までの間に居住の用に供した場合となっていることです。
 
つまり、令和6年限りの措置となりますが、これについては住宅価格の上昇など現在の経済状況を鑑み、子育て世帯のほか、若年夫婦などこれからの子育て世帯への先行的な対応とされています。
 

子育て世帯等に向けた住宅リフォーム税制の拡充

令和6年度の税制改正大綱で特徴的なのは、子育て対策を強調している点です。
 
特定の目的で住宅をリフォームした際に受けられる所得税額の特別控除では、適用対象として子育て世帯等(子育て特例対象個人)が新たに追加されています。
 
改正の内容としては、令和6年4月1日から12月31日までに子育てに対応するための一定のリフォームを行った場合、250万円を限度に工事費用の10%相当額について、その年の所得税から控除できるようになっています。
 
対象となる一定のリフォームは、(1)住宅内における子どもの事故を防止するための工事、(2)対面式キッチンへの交換工事、(3)開口部の防犯性を高める工事、(4)収納設備を増設する工事、(5)開口部・界壁・床の防音性を高める工事、(6)間取り変更工事(一定のものに限定)です。
 
このように見ていくと、子育ての環境を整えるという点で有意義な改正といえますが、対象の工事がリフォームであるため、控除を受けられるのは適用期間内に居住している既存住宅に限られます。
 
また、工事費用相当額(補助金がある場合は差し引いた額)が50万円を超えることや、その年の合計所得が2000万円以下といった要件もあります。
 

まとめ

令和6年度税制改正大綱を確認すると、子育て支援が一つのキーワードとなっているように見受けられます。
 
特に今回説明した内容は、税制の改正としては世間的にインパクトが小さく感じるかもしれませんが、子育て世帯や若年夫婦世帯を対象に住環境を整える政策が設けられていることを考えると、今後も少子化対策として国による子育て支援は少しずつ拡充されていくのではないでしょうか。
 

出典

自由民主党 令和6年度税制改正大綱
国土交通省 住宅ローン減税
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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