更新日: 2019.05.17 子育て

高校生の就職希望者も「進学のお金」を知っておいたほうが良い。でも何で?

高校生の就職希望者も「進学のお金」を知っておいたほうが良い。でも何で?
高校生の就職希望者は「進学のお金」について知る必要はないのでしょうか。現在はとても就職状況が良いのですが、東日本大震災の時には専門学校への進路変更をせざるを得ない生徒が多くいました。
 
最近も台風や地震の影響で大きな被害がでています。転ばぬ先の杖として、高校生の就職希望者や保護者も「進学のお金」について知っておきましょう。
 
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

専門学校って、どんな学校?

職業に直結する技術や資格を目指して学ぶ学校が専門学校(専修学校専門課程)です。修業年限は1年から4年までです。専門学校では、工業、農業、医療、衛生、教育・社会福祉、商業実務、服飾・家政、文化・教養の8つの分野を学ぶことができます。
 
専門学校のうち、修業年限2年以上、総授業時間数が1,700時間以上などの条件を満たすと「専門士」の称号が、修業年限4年以上、総授業時間数が3,400時間以上などの条件を満たすと「高度専門士」の称号が卒業時に付与されます。「専門士」を付与された者は大学2年次または3年次への編入資格、「高度専門士」を付与された者は大学院への受験資格が得られます。
 

専門学校もどきに注意!

専門学校は都道府県知事の認可を受けた学校です。時々、専門学校だと思って入学した学校が無認可校であったという話を聞きます。無認可校の中にも素晴らしい授業内容をもった教育施設もありますが、無認可校を修了しても正式な学歴とは認められません。
 
「専門士」や「高度専門士」の称号も得られませんし、日本学生支援機構の奨学金や通学定期の学割などの特典も受けられません。なお、国の教育ローンは利用できる場合もあります。
 
専門学校の名称は認可校でないと利用できませんので、学校名に専門学校の名称が付されていれば認可校です。学校名だけではわからない場合は、志望校に、日本学生支援機構の奨学金や国の教育ローンが利用できるか問い合わせてみましょう。
 

入試方法について

専門学校の入試方法には大学同様、AO入試、推薦入試、一般入試があります。大学と大きく違うのが一般入試です。多くの学校では書類選考の上、面接や適性試験などで入学者を決定しています。看護系などの医療系では学力試験を行うケースがありますが、それ以外は学力試験がありません。
 
なお、都内の専門学校の場合、AO入試のエントリー開始は6月1日以降、事務手続き開始は8月1日以降、推薦入試の願書受付は10月1日以降、合格発表・手続き開始は10月15日以降、一般入試の願書受付は11月1日以降、合格発表・手続き開始は11月1日以降となっています。
 

学費は総額でいくらかかるか

専門学校の初年度納付金の総平均額は約126万円です(平成29年度「学生・生徒納付金調査結果」/公益社団法人東京都専修学校各種学校協会)です。初年度納付金が最も高い学科が「理学療法、作業療法」の約170万円、最も安い学科が「看護」の約98万円となっています。
 
専門学校では座学よりも実習が中心になります。そのため、ユニフォーム代や材料費、実習費、研修旅行費などの費用が結構かかります。これらの費用を含めて卒業までにトータルでいくらかかるのか総額を把握しておきましょう。
 
また、学費の支払い時期の確認も大切です。特に、合格したら、いつまでに、いくら支払うのかを確認しておくことは重要です。合格後1~2週間以内に最小限、入学金と前期分を支払う学校が多いので、早ければ高校3年(卒業年次)の秋にはまとまったお金が必要になります。
 

学費の工面はどうしたらよいか

就職からの専門学校へ進路変更する場合、学費をどう工面したら良いかの問題があります。学費の工面の方法には大きく「教育ローン」と「奨学金」があります。ここでは、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」と「日本学生支援機構の奨学金」についてポイントを説明します。
 
「国の教育ローン」を利用できるのは保護者で、いつでも申し込みでき、借入限度額は学生1人当たり350万円(留学資金450万円)です。一方、日本学生支援機構の奨学金は、学生が利用でき、入学後一定額が振り込まれます。入学金等には利用できないので注意しましょう。
 
入学金等には「国の教育ローン」を利用します。申込から融資実行まで20日以上かかりますので、進路変更が決まった時点で申込んでおきましょう。お金が必要な2~3ヶ月前から申し込みができます。
 
日本学生支援機構の奨学金は進学前に申込む「予約採用」と進学した学校で春に申込む「在学採用」があります。「予約採用」は高校3年(卒業年次)の5月~7月上旬と10月~11月下旬に申込むことができます。志望校が決まっていなくても申込みできます。ただし、秋の募集を行わない学校もありますので注意しましょう。
 
奨学金の種類は無利子の第一種奨学金と有利子(上限金利3%)の第二種奨学金があります。採用条件として学力基準と家計基準がありますが、第二種奨学金は第一種奨学金よりも基準が緩やかです。例えば、第二種奨学金の学力基準は「大学等における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められること」を満たせば良いとなっています。
 
貸与月額は、第一種奨学金は学校の種別や通学形態により6.4万円~2万円となっています。第二種奨学金は2万円~12万円から選択します。
 
いずれも借金です。就職先がなくなったからとりあえず専門学校へ行こうといった安易な気持ちで利用するのはお勧めしません。
 
その他、詳細は、日本政策金融公庫や日本学生支援機構のホームページでご確認ください。
 
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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